感動
ウズラ
ヒヨコ誕生
第795回 2005年8月21日
日本そばに串揚げ、中華丼に欠かせない物
と言えば、
ウズラの卵
。実はこれ程、
ウズラの卵を食べているのは日本人ぐらい
なのだそう。しかし、卵には馴染みがあるけれど、
生きているウズラ
ってあんまり見たこと無いですよね。そこで今回は、卵も鳥そのものも全部まとめて、
ウズラの知られざる秘密
に迫りました。
ウズラはキジ科
で、木の上ではなく
主に地上を歩いて生活している
鳥。しかし、実は
ウズラは大空に羽ばたいて飛んで行ける
というのです。本当でしょうか?
そこで野生に近い状態で飼育されているというウズラを、
放鳥機
と呼ばれる機械にセットして、実際にどのくらい飛ぶのか計測することに。いざ放鳥機を開け放つと、ウズラは勢いよく羽ばたいて飛んで行きました。
その距離およそ80m
。確かに、ウズラは長い距離を飛んだのです。しかし、なぜこんなに飛ぶことができるのでしょう? 実は、それはウズラの
生き残り戦略
。地上で暮らす同じキジ科の
キジやヤマドリなどは、森の中で単独で暮らしています
が、
ウズラは群れで暮らしています
。すると、多くのウズラが同じ場所にいるのでエサがなくなってしまい、エサを求めて新たな場所へ移動しなくてはなりません。そのためウズラは、キジ科の中で唯一、長距離を飛べるようになったと言われているのです。
また、ウズラの中には渡り鳥になるものもいます。
8月に北海道にいたウズラが翌年の1月には山口県で確認された
という記録も残っているほどなのです。
その理由は、
ウズラの生きていける温度帯が10℃〜30℃
と、キジの−30℃〜30℃、ニワトリの−10℃〜38℃に比べて狭いから。だから夏は涼しい所で過ごし、冬は暖かい南の地域に渡るのだそうです。
ウズラはキジ科の中で、唯一長距離を飛べる鳥だった!
中には渡り鳥になるものもいる!
ウズラのヒナをふ化させたいと、有精卵をもらいに行った矢野さん。玄関先で飼われていた1羽のメスのウズラを見て、あることに気が付きました。なんと、産んだ
卵の模様が全部同じ
だったのです。
そこで、3羽のメスのウズラを3日間観察してみました。すると3日間とも、
ゴマ粒模様の卵を産むメスからはゴマ粒模様の卵が、まだら模様の卵を産むメスからはマダラ模様の卵が産まれた
のです。
さらに驚くことには、
ウズラの卵を酢につけておくと、しだいに卵の模様がはがれてきて、約10分後には完全に真っ白な卵になってしまった
のです。一体どういうことなのでしょう?
実はこの模様は、白い卵の上に後からつけられたもの。
ウズラの粘膜には卵をすっぽり囲うところがあり、そこで産まれる1,2時間前にポルフィリンという色素が分泌され、卵の表面に模様を印刷していた
のです。この印刷された模様は、草やぶの中ではカモフラージュとなり、卵を守る役目があります。
同じメスのウズラから産まれる卵の模様は同じ!
またあの模様は、産まれる直前に印刷されたものだった!
ウズラの有精卵をもらってきた矢野さん。家族一丸となってウズラのふ化に挑戦です。37℃〜38℃で温めると、およそ16日間でふ化するとのこと。そしてもう一つ、ふ化に欠かせないのが
転卵
という卵を回す作業。これによって、
卵の中の黄身が片方に寄らず、成長が均一になる
のだそうです。実は、野生の鳥も時々くちばしで卵を回して、この転卵を行っています。
そこで、今回は目がテン特製のふ卵器を使い、
1日8回3時間ごとに転卵をします
。朝は子どもたち、昼間は奥様、そして夜は矢野さんが交代で転卵しながら、家族みんなで卵を見守りました。果たして矢野さん一家は、卵をかえすことができるのでしょうか?
そして、いよいよ予定日。午後6時、一つの卵にヒビが入りました。ヒナがくちばしを使って、少しずつ卵を割っています。そして午後9時、ついに
体長わずか4cmほどの小さなかわいいヒナが誕生しました
。