知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


実の中に花!? イチジク
第797回 2005年9月11日


 食欲の秋到来!そんな秋に旬を迎える果物のひとつに、実はイチジクがあるのです。イチジクは9月の中旬からが収穫の最盛期。昔は、どの家の庭先にもあってみんなに愛されていた果物だったのですが、なんと最近の若者の中には、イチジクを知らない人も多いのです。そこで今回、目がテン!がイチジクの人気を復活させるべく立ち上がりました。

 イチジクはクワ科イチジク属の植物で世界に700種ほどあります。その歴史は古く、エジプト時代から栽培されていたと言われ、日本には江戸時代に蓬菜柿という品種が中国から伝わったのが始まりなのだそうです。現在、日本で栽培されている品種は、ほとんどが桝井ドーフィンという種類です。
イチジクの花  ところで、イチジクの特徴といえば果実の中にあるつぶつぶ。一体、このつぶつぶは、いくつあるのでしょう?そこで目がテン恒例!「数えてみよう」のコーナー。矢野さんが「40代には辛い作業だぁ!」と言いながら、体を張って数えてくれました。
 数えること5時間、イチジク1個の実の中につぶつぶは1834個ありました。実は、このつぶつぶ1つ1つが花。熟すと、種子になるのです。イチジクは漢字で「無花果」と書きますが、このように花は実の中でひっそり咲いていたのです。実の中に咲くので目立つ必要は無いため、花びらも無い花なのです。

所さんのポイント
ポイント1
イチジク(無花果)の花は、実の中に咲いていた!

 実は、イチジクにはオスの木とメスの木があって、イチジクコバチというハチが花粉を運ぶことで受粉し、種子をつくります。つまり、イチジクコバチがいないとイチジクは子孫が残せないのです。また、イチジクコバチもイチジクの実に卵を産むので、イチジクなしでは子孫が残せないのです。しかし、両者には、もっと不思議な関係がありました。
 イチジクのオスの木になるのがオスの実で、中に花粉を持っているお花があり、メスの木になるのがメスの実で、中に受粉できるめ花があります、しかし、この2つの実は、外見からは区別がつきません
 オスの実で花粉をつけたメスのイチジクコバチがメスの実に入ると、花粉がめ花につき、イチジクは受粉が完了します。しかし、そのメスバチは、メスの実の中ではめ花が邪魔になり卵を産むことが出来ず、そのまま死んでしまうのです。一方、花粉をつけたメスバチがオスの実に入ると、今度は、イチジクは受粉が出来ませんが、メスバチは無事卵を産むことが出来るのです。
 つまり、花粉をつけたメスバチがオスの実に入ると、ハチは卵を産めますが、イチジクは受粉出来ず、花粉をつけたメスバチがメスの実に入ると、イチジクは受粉出来ますが、ハチは卵が産めないというわけなのです。メスバチがどちらの実に入るかは、半々の割合だと言われています。
 このように、イチジクとイチジクコバチははるか昔から、両方が生き残れるように共に進化してきたのです。これを共進化と言います。
 しかし、ここでまだ一つの疑問が残ります。イチジクコバチのオスはどこにいるのでしょう。実はイチジクコバチのオスは、オスの実の中で産まれた後、中で一緒に産まれ、交尾をしたメスを実の外に出すために力を使い果たしてしまい、そのまま実の中で息絶えてしまうのです。なので、花粉をつけて外を飛び回るのは、オスの実から出てきたメスバチだけなのです。
 ちなみに日本にはイチジクコバチは寒いために生息できず、日本にあるのもイチジクのメスの木だけ。これでけでも実を太らせることが出来、また、さし木でイチジクは増える事が出来るのです。

所さんのポイント
ポイント2
イチジクにはオスの木とメスの木が有り、イチジクコバチが受粉をしていた!

フィシン(タンパク質分解酵素)  なんと料理の世界には、「イチジクを使うと、指紋が消える!?」という、奇妙な噂があるのです。そこで早速、スタッフが事実を究明すべくイチジクを使って料理してみると、イチジクを触っていた指の異変に気がつきました。確かに、触っていた指の指紋が消えかかっていたのです。
 その原因は、イチジクの軸を切ったときに出てくる白い液体。実は、これはフィシンというタンパク質分解酵素で、イチジクが傷ついたときに侵入してくる細菌を殺すためにあると言われています。
 昔から、イタリア料理などでイチジクが使われていたのは、イチジクのフィシンが肉のタンパク質を溶かすので、肉料理が軟らかくなるためだったのです。



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