レッサーパンダ
子育て
第803回 2005年10月23日
今年、もっとも話題を集めた動物
と言えばレッサーパンダ。
2本足で立つ、「風太君」が大ブーム
になりました。実は日本には、
世界で飼育されているレッサーパンダのうちの3分の1がいる
という、レッサーパンダ大国だったのです。
実は、野生のレッサーパンダは、
ヒマラヤの高山地帯に生息している
ため暑さが大の苦手。動物園のレッサーパンダは晴れるとグッタリしていて日陰にいて、なんと寝起きする部屋には3台ものクーラーが付けられていました。
さらに、レッサーパンダは
一日の大半を木の上で過ごします
。これは
外敵から身を守るため
なのだそうで、たとえ動物園でも眠るときは高いところに上って眠るのです。
そもそも、
レッサーパンダってパンダなのでしょうか?
白、黒、茶色のユニークな体色とストライプの長い尻尾からすると、
パンダというよりはアライグマにそっくり
なのですが。
そこで、
レッサーパンダとジャイアントパンダとアライグマを比較
してみると、まずレッサーパンダの体長は1m、体重は7.5kg。そして、ジャイアントパンダは体長1.5m、体重130kgで、アライグマが体長60cm、体重10kgでした。どうやら、
見た目や体格はアライグマに近い
ようです。
しかし
生息地を比較してみると、アライグマが北アメリカ大陸なのに対して、レッサーパンダとジャイアントパンダは共に中国、ネパールの国境付近
。
さらに食べるエサも、
レッサーパンダとジャンアントパンダは、雑食で何でも食べるアライグマと違って、タケやササを主食にしている
のです。ということは、やっぱりレッサーパンダはジャンアントパンダの仲間なのでしょうか?
実は、
レッサーパンダの分類は、まだハッキリしていない
のです。最近までは「アライグマ科」に属すると言われていたのですが、
最新のDNAによる分類では、ジャイアントパンダともアライグマとも別の「レッサーパンダ科」ではないかと言われている
のです。
それでは、
なぜレッサーパンダは「パンダ」と呼ばれるのでしょうか?
その理由は、1820年頃にイギリス人がネパールでレッサーパンダを発見し、
「ニガリャポンヤ(=竹を食べるもの)」と現地で呼ばれていたのが、なまって「パンダ」になった
そうなのです。しかしその後、同じく竹を食べる
ジャンアントパンダが発見され大人気になったため、区別するためにレッサー(=劣った、小さい)という名前が付けられた
そうなのです。
そもそもパンダと言えば、レッサーパンダのことだった!
ジャイアントパンダの出現で「レッサー(=劣った、小さい)」という名が付いたのだ!
レッサーパンダと言えば、あの2本足で立つ「風太君」が有名ですよね。ところが
レッサーパンダは、「風太君」に限らず、みんな立つことが出来る
というのです。
一体、なぜレッサーパンダは立つことが出来るのでしょうか?
その謎を解くヒントは歩き方。実は、
ほ乳類の歩き方には3種類
あります。まず、
イヌなどの歩き方は「指行性」といって、指だけを地面につけて歩く歩き方
。ヒトに例えると背伸びをしながらあるいている状態です。また、
ヤギなどの歩き方は「蹄行性」(ていこうせい)といってヒヅメを地面につけて歩く歩き方
。ヒトに例えるとつま先立ちで歩いている状態。最後に
ヒトは、つま先からかかとまでをペッタリと地面につけて歩く歩き方
で、これを
「しょ行性」
と言います。
実は
レッサーパンダの歩き方は、ヒトと同じ「しょ行性」
。「しょ行性」の動物は、
足と地面の接する部分が多いため、立った状態を維持しやすい
のです。
レッサーパンダは、ヒトやサルと同じ「しょ行性」の歩き方。だから2本足で立つことができるのだ!
今回番組では、
特別にレッサーパンダの赤ちゃんに会わせてもらう
ことができました。産まれたばかりのかわいい赤ちゃんに佐藤アナもデレデレ。すると
レッサーパンダの赤ちゃんから「キュルキュルキュル」という小さな鳴き声が聞こえた
のです。
実は普段、野生のレッサーパンダは単独で行動するため、鳴き声でコミュニケーションをとることはありません。しかし
赤ちゃんの時期だけは、親とコミュニケーションをとるために例外的に鳴き声を出す
のです。つまり、
レッサーパンダの鳴き声が聞けるのは、生後6ヶ月くらいまで
のたった半年間で、とても貴重なものなのです。