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簡単 ガラス 強化大作戦
第827回 2006年4月16日


 身の回りにあるガラス。窓ガラスに食器、車、電車などなど、現代の生活にはもはや欠かせないものですが、その正体となると意外と知らないものです。原料はいったい何なのでしょう?そしてなぜガラスは割れやすいのでしょう?そこで今回、謎の新キャラクター・矢野ばあさんが、ガラスコップの手作りに挑戦しながら、ガラスの素朴な疑問に鋭く迫りました。

 ガラスの原料はいったい何なのでしょう?さすがの所さんも答えられなかったこの疑問への答えを求め、矢野ばあさんはガラスの原料の取れる場所へと向かいました。すると、そこに広がっていたのは一面赤い色をした山。ここから茶色い砂をブルドーザーで掘り出し、精製工場に運び込みました。これが本当にガラスの原料なのでしょうか?
 すると、工場ではこの砂に水を流して石や砂利を取り除いていきました。何回もこれを繰り返すと、茶色い砂は最終的に白っぽい砂になりました。実は、これこそがケイ砂(けいしゃ)と呼ばれるガラスの原料なのです。
 このケイ砂は、もともとはマグマが固まって出来た岩石の花崗岩が風化して細かくなり砂になったもの。確かに、顕微鏡で見てみると透明でガラスみたいでした。
 早速、矢野ばあさんは、分けてもらったケイ砂でガラスコップ作りに挑戦しました。ガラス作りでは、ケイ砂を1000度以上の熱で融かすと聞いたので、1200度で熱してみたのですが、いっこうに融けません
珪砂・ソーダ灰・石灰  実は、ガラスの原料はケイ砂だけではなかったのです。実は、ケイ砂はそれだけでは1700度以上にならないと融けません。そこで、ソーダ灰というもの一緒に混ぜて融ける温度を下げ、ケイ砂を融かしているのです。
 さらにガラスを作るには、石灰も必要とされます。実は、ガラスを長年使っていると、徐々に空気中の成分と反応して融けてしまうのです。それを石灰は防いでくれます。この、ケイ砂、ソーダ灰、石灰が、窓ガラスやビンなどに使われるガラスの主原料なのです。

所さんのポイント
ポイント1
ガラスになるケイ砂、融けやすい状態にするソーダ灰、長持ちさせる石灰が、基本的なガラスの主原料なのだ。

 なぜガラスは割れやすいのでしょう?そこで、まず通常の100倍のスピードで撮影ができるハイスピードカメラを使って、ガラスがどのように割れているのか撮影してみました。すると、力が加わると亀裂が四方に広がり、一気にガラスの端まで到達していたのです。しかし、なぜガラスは一カ所から全体に亀裂が広がってしまうのでしょう?
割れているガラス  実は、その理由はガラスが普通の結晶ではないからなのです。ガラスは、液体のような不規則な並び方のまま、固まっています。例えば、規則正しく並んだレンガは、衝撃を与えてもブロックの境目でひびは止まり、全体には広がりません。一方、ガラスは1枚のコンクリートのようなもので規則的な境目がないため、ヒビが途中で止まらず、一気に端まで広がってしまうのです。このガラスの不規則な状態を「非結晶」と言います。
 そのガラスの割れやすさを克服するために開発されたのが強化ガラス。割れないように窓やレストランのグラスなどにも使われています。しかし、どのように強化されているのでしょう?
 実は、なんとただ焼きを入れてすぐ冷ますだけというのです。そこで、焼きを入れたガラスと普通のガラスに鉄球を落とす実験してみると、焼きを入れたガラスの方が5倍近くの高さから落としても割れなく、強くなっていたのです。しかし、なぜ焼くだけで強化されるのでしょう?
 実は、高温で焼きを入れたガラスは一度全体が膨張し、その後急激に冷やすと先に外側の部分が冷やされて縮みます。一方、内側は時間がたつと冷えて固まろうとしますが、すでに外側が固まっているので、縮むことができません。つまり強化ガラスは、外側は圧縮された状態に、内側は引っ張られている状態になっているのです。すると、強化ガラスの表面は強力に圧縮されているため、傷やヒビが入りにくく、さらに傷も広がりにくくなるというわけなのです。しかし強化ガラスは、逆に言うとパンパンに張っている状態。そのため、ひとたび大きな亀裂が入るとガラス全体にその力が伝わって、粉々に砕けてしまうのです。

所さんのポイント
ポイント2
強化ガラスの作り方は、焼きを入れてすぐ冷ますだけだった!
すると、外側が強力に圧縮されるため傷やヒビが入りにくくなるのだ!





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