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傷に弱い!? クリスタル
第828回 2006年4月23日


 前回に引き続き、今回もガラスがテーマ。前回は、ガラスの材料ガラスが割れやすい理由などを紹介しました。今回は応用編。身近な板ガラスの作り方や女性に人気のクリスタルガラスの輝きの謎をご紹介します。

 どうして窓ガラスはあんなに平らなのでしょう?実は戦前まで、窓ガラスのような平らな板ガラスは、なんと手作りだったというのです。そこで、今でも当時のままの作り方をしている工房に矢野さんが向い、板ガラスの手作りを体験してみることにしました。すると、手作りの板ガラスは、一度ガラスをコップのような形にした後、再び炉に入れ柔らかくして、木の板で丸く伸ばしていたのです。しかし、木の板で丸く伸ばすには、かなりの高度な技術が必要で、矢野さんが挑戦するも全く形になりませんでした。
 さらに、四角い板ガラスを作るには、一度ガラスを筒状の形に作り、縦に切れ目をいれます。すると、Uの字型のガラスになりますよね。その後、Uの字型のガラスを機械の中にいれて、再び熱します。すると段々ガラスは柔らかくなって、24時間後には、Uの字に曲がっていたガラスが平らな板ガラスになるという製法なのです。昔の人は、このように手間ひまかけて板ガラスを作っていたのです。
 しかしこんなに苦労して作っても、これらの方法で作った板ガラスは、透明、まっ平らにはなっていないのです。では、窓などに使われている本当にきれいで平らな板ガラスは、どうやって作られているのでしょう?
フロート法  実は、最近では、ドロドロに溶かしたガラスを、フロートバスと呼ばれる装置の中に入れ、溶けて液体になった金属のスズの上に浮かべて平らなガラスを作っていたのです。ガラスよりもスズの方が比重が大きいため、ガラスはスズに浮きます。また、スズは液体の状態なので引力の関係で自然と水平な面になっているのです。
 このように、金属のスズはガラスよりも比重が大きく、金属にしてはかなり低い約230度という温度でも融けるという特徴を活かして、大きくて平らな板ガラスが作られているのです。

所さんのポイント
ポイント1
大きくて平らな板ガラスは、ドロドロに融かしたガラスを、金属のスズの上に浮かべて作っているのだ!

 なぜクリスタルガラスは、あのようにキラキラと輝いているのでしょう?なんと、その秘密は、クリスタルガラスをレントゲンで見ればわかるというのです。
 そこで、クリスタルガラスと普通のガラスにX線を通してみると、なんと、普通のガラスは黒く何も映らなかったのに対し、クリスタルガラスが真っ白く映ったのです。これはX線を通しにくい、密度の大きい金属のような物質を多く含んでいるということ。実は、クリスタルガラスには、基本的に24%以上ものが含まれていたのです。  クリスタルガラスに鉛を入れると、鉛は電子の数が多い金属なので、光を反射し、散乱するようになります。そのため、クリスタルガラスはキラキラ輝いて見えるというわけなのです。
 また、鉛を入れるとガラスが柔らかくなるので、クリスタルガラスは細工がしやすいのだそうです。そのため、細やかな細工ができ、より一層輝きが増すというわけなのです。

所さんのポイント
ポイント2
クリスタルガラスには鉛が入っていた!
鉛が光を散乱させるので、クリスタルガラスはキラキラ輝いて見えるのだ!


 実は、身近な窓などに使われる板ガラスは、厳密には無色透明ではないそうなのです。一体、どういうことでしょう?
 そこで、薄い板ガラスをどんどん重ねていくと、たしかに段々緑色になっていきました。実は、普通の板ガラスには微量の鉄分などが含まれており、無色透明ではなくかすかに緑色をしているのです。
石英ガラスと普通のガラス  ところが、本当に無色透明で不純物がほとんど入っていない石英ガラスというものがあるというのです。そこで、先ほどと同じように、石英ガラスを重ねてみても、確かに無色透明のままでした。実は、石英ガラスとは、水晶を細かい粉にして不純物を徹底的に取り除き、更に高温でこれを融かして作られた、非常に高価なガラスなのです。この石英ガラスは、現在、光ファイバなど、本当に無色透明を要求される物に使用されています。



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