真夏ですから
氷
の科学
第844回 2006年8月13日
暑い夏が続いていますが、夏に活躍するものといえば、冷たい
氷
ですよね。しかし、
氷は融けてすぐ水になっちゃう
のがたまにきず。そこで今回の目がテンは、なんと人類の夢、
融けない氷作りに挑戦
しました!
皆さんご存知、
氷といえば0度で出来る
もの。しかし、なんと
氷点下50度
の、普通の氷より凍っている氷を作っちゃいました。名づけて、
スーパークール氷
。
そのスーパークール氷の実力を試してみるために、クーラーも窓もない四畳半に、スーパークール氷と普通の氷をそれぞれ同じ量だけ準備し、部屋の温度を観察してみることにしました。
すると、
普通の氷は3時間で融けてしまい
、すぐ部屋の温度も上がってきたのですが、
氷点下50度のスーパークール氷は6時間以上も融け残っていて
、部屋の温度も低い状態のままでした。部屋の住人も快適だとのこと。
では、このスーパークール氷は、一体、どうやって作ったのでしょう?その秘密は、
ドライアイス
。実はケーキやアイスクリームを長時間冷やすときに使用するドライアイスは、氷点下80度というとても低い温度なのです。つまり、ドライアイスを使って、さらに氷を冷やしていたというわけ。
そこで、スーパークール氷の作り方をご紹介。(1)まず氷をアルミホイルに包みます。(2)それをタッパーに入れ、氷と同量程度のドライアイスを上からかぶせるように置きます。(3)フタをして約2時間冷やします。これで完成。ただし、ドライアイスは、温度がとても低いので必ず軍手などをして取り扱ってください。
氷は、ドライアイスで冷やすと0度以下にもなる。
すると、普通の氷よりも冷たいスーパークール氷ができるのだ!
聞くところによると、秩父の山奥に
普通の氷よりも融けずに長持ちする氷
があるというのです。果たして本当なのでしょうか?
そこで、秩父の氷と家庭で作った氷をそれぞれ100g準備し、気温30度の中に放置してみました。すると、なんと
秩父の氷のほうが30分も長持ちした
のです。一体、何が違うのでしょうか?
そこで、氷の研究では最前線の国立極地研究所を訪ねました。すると、秩父の氷の方が
氷の結晶が大きい
ことがわかったのです。
実は、氷は表面からだけでなく結晶と結晶の境目からも融けていきます。ですので、氷の結晶が大きい秩父の氷の方が結晶の境目が少なく、融けにくいロングライフ氷になったというわけなのです。しかし、なぜ秩父の氷は結晶が大きいのでしょう? その理由は、
凍る時間
の違いでした。秩父の氷は、池に水を張り冬の寒さを利用して、約1ヶ月かけて凍らせます。一方、家庭の氷は冷蔵庫でわずか2時間ほどで出来ます。実は、
ゆっくり凍れば凍るほど結晶が大きくなる
そうなのです。
そこで、このことを踏まえて、家庭でも出来るロングライフ氷の作り方をご紹介。(1)まず、凍らせる水を沸騰させます。沸騰させると空気が抜け、結晶が大きくなりやすいのだそうです。(2)そして、タオルなどに包んで凍らします。すると冷気が遮断され、時間をかけて凍らせることができるのです。
さらに他にも、氷を長持ちさせる方法を発見。それは、バーテンダーの方が教えてくれました。よくバーテンダーの方は、氷を丸くしていますよね。実は、
丸い氷の方が融けにくい
というのです。
そこで、同じ重さの丸い氷と四角い氷の融ける早さを比べてみました。すると、丸い氷の方が30分も長持ちしたのです。実は、球という形は表面積が一番小さくなる図形。
氷は空気や水に触れる部分から融けだすので、表面積が小さな球体は、融けにくくなる
というわけだったのです。
今回、いろいろな方法で、普通の氷よりも冷たく長持ちする氷を開発した目がテン。何か役立つことは無いかと探していると、そうこの時期、お天気コーナーでへばっている様子が紹介される
ホッキョクグマ
。なんと、通常の氷だと、半日で融けてしまうのだそうです。
そこで目がテンは、お節介にも
巨大な融けない氷をホッキョクグマにプレゼント
。その名も、
巨大スーパークールロングライフ丸氷
。すると、普通の氷よりも冷たいからか、いきなり目がテン特製氷に飛びつきました。そして、完全に融けるまで、なんと28時間も長持ちしたのです。大成功!
さらに氷は、ゆっくり冷やして結晶を大きくすることや、丸くして表面積を小さくすることで長持ちさせることが出来る!