知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


幻の ムシキング を発見
第845回 2006年8月20日


 楽しい夏休みも、残りあとわずか。そこで今回の目がテンは、今からでも間に合う夏休みの自由研究として、「水生昆虫」を取り上げました。一見、カブトムシやクワガタの方が人気はありますが、実は水の中に住む昆虫たちもとっても不思議で面白かったのです。

 まずは、水生昆虫採集へ矢野さんが出かけました。準備は、至って簡単。と採った虫を入れる用の穴をあけたタッパー。そして、長靴。ちなみに、水生昆虫を捕る網は、水の底がすくえるように網の先が平らになっているのです。
 最初に矢野さんは、アメンボを簡単に捕まえることができました。そこで、まずはアメンボの観察からです。そもそもアメンボは、なぜ水の上を浮いていられるのでしょう?実は、アメンボの脚先には水を弾く油がついているからなのです。だから、水を弾いて浮くことができるのです。
沈んだアメンボ  そこで、こんな実験。用意するのは、アメンボを入れた水槽と台所用洗剤。実は、アメンボを入れた水槽に台所用洗剤を垂らすと、なんとアメンボが沈み始めたのです。一体、なぜでしょう?
 実は、台所洗剤を入れると、洗剤が食器の脂汚れをとるように、アメンボの脚先の油をはがして、水を弾かなくしてしまうのです。だから、アメンボは沈んでしまったというわけ。しかし、沈んだアメンボを水面から上げると、すぐにアメンボは脚をこすり合わせ、なくなった油をまた出して脚先にまんべんなく塗りだします。すると約10分後、このアメンボを水面に戻してみるとちゃんと浮くようになっているのです。
 続いて、アメンボを使ったこんな実験。用意したのは、家庭用流しそうめんセット。そこにアメンボを入れてみます。すると、驚くことが起こるのです。
 それは、なんと水は一定の方向に流れているのに、アメンボは逆向きに泳いで、同じ場所に留まろうとするのです。これを「保留走性」と言って、エサを獲るのに最適な場所を維持しようとする、アメンボの習性なのです。実はアメンボは、目で自分の位置を確認し、このように自分のいる場所を維持しています。

所さんのポイント
ポイント1
アメンボは、脚の先に油がついているので水に浮くことができる。また、流れがある水面でも、目で位置を確認し同じ場所に留まろうとする習性がある。

 昔は、たくさんいたゲンゴロウも、今ではあまり見られなくなりました。その理由は、ゲンゴロウがサナギになれる環境が減っているからと言われています。
 実は、水中でふ化したゲンゴロウは、幼虫になると陸に上がって土の中でサナギになります。そして、サナギから羽化して成虫になり、再び水に戻るのです。ところが、今の都会ではほとんどの川が護岸工事されていて、コンクリートで固められています。そのため、ゲンゴロウの幼虫が川辺の土の中でサナギになることができずに、次第にいなくなってしまったそうなのです。現在、ゲンゴロウが捕まえられそうな場所は、水がきれいで周りに自然が残っている所。例えば、無農薬の田んぼなどにはいる可能性があるそうです。

 水中昆虫捕りの名人にゲンゴロウを捕まえてもらった矢野さん。今度は、ゲンゴロウの観察を始めました。まず不思議に思ったことは、ゲンゴロウは、どのくらい潜っていられるのかということ。
 そもそもゲンゴロウは昆虫なので、水面で呼吸をしなければいけないのですが、測ってみるとなんと5分以上も潜っていました。一体、なぜそんなに長く潜ることができるのでしょう?
 実は、ゲンゴロウは羽と背中の間に空気を蓄える器官があります。その空気ボンベのような器官を持つことで、ゲンゴロウは昆虫なのに長く潜ることが出来るのです。ちなみにミズカマキリなどは、お尻から長いシュノーケルのような管を水面にだして、水の中で呼吸している昆虫もいます。
潜水大会  そして矢野さんは、なんと捕まえた水生昆虫たちで潜水大会を開きました。ゲンゴロウ・ミズカマキリ・マツモムシ・タガメの中で、果たしてどの虫が一番深く潜ったでしょう?
 結果は、ゲンゴロウが1位で水槽の一番深い2m地点まで潜りきりました。その次は、マツモムシで1m30cm。3位がミズカマキリで60cm。4位が、タガメの38cmでした。

所さんのポイント
ポイント2
目がテン!潜水大会で優勝したゲンゴロウは、羽と背中の間に空気を蓄えることで、長い間潜ることができるのだ。




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