冷めてもうまい
揚げ油
第849回 2006年9月24日
揚げたり、炒めたりと毎日の料理に使うのが
油
。実は昨年、植物油の生産量で、世界一の座を守ってきた大豆を抜いて、
パーム油が第一位になった
のです。しかし、パーム油って、あまり馴染みがありませんよね。実は、
街の弁当屋の揚げ油
や
スーパーの菓子類
などに使われていて、日本人一人当たり、
年間4リットル
も使っているんだそうです。
そこで今回、矢野さんがパーム油の生産国
マレーシア
に飛び、
パーム油の秘密
に迫りました!
そもそも、
パーム油の原料はヤシの実
らしいのですが、現地で矢野さんが見た原料のヤシの実は、ちょっと変わった形をしていたのです。一体、どういうことでしょう?
実は、私たちに馴染みがあるヤシの実は
ココヤシ
。そしてパーム油を採るヤシは、ココヤシではなく
アブラヤシ
という種類だったのです。アブラヤシの果実は、ブドウのように房状になります。これには、所さんも「初めて知った!」と驚いていました。
そこで、目がテン恒例
「アブラヤシの果実を数えてみよう!」
。マレーシアの農園の方にも手伝っていただき、重さ40キロのアブラヤシに果実がいくつついているのか数えました。すると、その結果は
3227個
だったのです。
実は、
パーム油を作るには、ある小さな生き物が必要不可欠
なのだそうです。一体、どんな生き物なのでしょう?
実は、昆虫の
ゾウムシの一種
。この虫は、ゾウの鼻のような口吻(こうふん)を持つので、このように名づけられました。このゾウムシが、雄しべにある花粉を食べに来ると体に花粉がつき、その花粉が雌しべにつくことで受粉が行われるそうなのです。すると、アブラヤシに果実ができます。
もともとパーム油を作るために、アブラヤシはアフリカから持ち込まれたのですが、
実はアブラヤシだけでなくゾウムシも一緒に持ち込まれた
のです。
さらに、矢野さんが現地の農園を歩いていると、
猛毒のインドコブラに遭遇
しました。矢野さん、絶体絶命のピンチ!と思ったら、実は
わざわざ農園で放している
というのです。一体、どういうことでしょう?
実は、
アブラヤシの実を食べに来るネズミを捕まえるため
に放していたのです。また、同じようにネズミを捕るために
フクロウ
も飼っていました。
このようにパーム油は、ゾウムシのように小さな昆虫をはじめ多くの動物たちの力で作られているのです。
パーム油は、受粉に貢献しているゾウムシや、ネズミから果実を守るコブラやフクロウなどの力で作られていた!
なぜパーム油は、生産量が世界一になったのでしょう?
実は、パーム油には驚くべき優れた特徴があったのです。
実は食用油には、
動物性と植物性の2種類
があります。一般的に植物油は、不飽和脂肪酸が主成分で、この不飽和脂肪酸は融ける温度が低いので、常温では液体です。一方、動物性の油は飽和脂肪酸が主成分。この脂肪酸は融ける温度が高いので、常温では固体になってしまうのです。
ところがパーム油は、
植物油なのですが飽和脂肪酸を50%含んでいるので、温度が低いと固まってしまう
という性質があります。
そこで、スタジオでこんな実験。パーム油とサラダ油で天ぷらを揚げて、1時間たった天ぷらを所さんに試食してもらいました。すると、
明らかにパーム油で揚げた方の天ぷらがサクサクしている
と言ったのです。
実は、パーム油は融ける温度が高いので、冷めてもベタベタしないというわけ。そういうわけで、弁当屋、惣菜屋ではパーム油が好んで使われるのです。
パーム油は植物性の食用油なのに、温度が低いと固まってしまうので、冷めてもベタベタしないのだ!