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学んで安心 スズメバチ
第852回 2006年10月15日


スズメバチ標本  最近、ニュースで話題のスズメバチ。そんな危険なスズメバチの、最も凶暴な季節が秋なのです。しかもスズメバチは、今、住宅地や町の中など、人間の生活圏に進出してきています。一体、私たちは、どうやってスズメバチから身を守れば良いのでしょうか?

 スズメバチは、「ホスホリパーゼ」という毒を持っていて、細胞を壊す力があります。その証拠に、ヒトの血液にスズメバチの毒を入れたとたん、なんと赤血球が壊れていったのです。このようにスズメバチに刺されると、体のありとあらゆる細胞を壊れ、ショック症状から死に至るのです。
 またスズメバチは、集団で攻撃を仕掛けて来ます。約10匹に刺されれば、毒は致死量に達するそうなのです。しかも恐ろしいことに、人によっては、1匹に刺されただけでも死んでしまうことがあるというのです。それは、「アナフィラキシーショック」というもの。
 ぜん息や花粉症などアレルギー体質の人は、スズメバチに一度刺されると、毒に抵抗するための抗体が体内に大量に出来ます。すると、2度目に刺されたときに、毒に抵抗するための抗体の力が強くなりすぎて、自ら体内の細胞を壊してしまうのです。その結果、呼吸困難や血圧低下などのショック症状が起き、死に至ってしまうのです。
 つまり、たった一匹に刺されただけでも、「アナフィラキーショック」が起これば、命を落とす可能性があるのです。

 そんな恐ろしいスズメバチの毒が、そのパワーを発揮するのは、刺されてからだけじゃないというのです。一体、どんな役割があるというのでしょう?
 そこで観察してみると、スズメバチは毒液を噴射することも出来ました。実は、毒が目に入れば失明する危険性があり、また傷口などに入れば刺されたのと同じダメージを受けるというのです。
 さらに毒には、他にも恐ろしい役割があることが判明しました。それは、毒液を噴射した後、興奮した仲間のスズメバチがたくさん集まってきたのです。これは一体、どういうことなのでしょうか?
 実は、スズメバチの毒には「警報フェロモン」と呼ばれるにおい物質が含まれています。なんと、スズメバチの毒には、においで仲間に敵が来たことを知らせる役割もあったのです。

 さらに驚いたことに、私達が持ち歩いている物の中にも、警報フェロモンと同じ成分が含まれているというのです。そのため、知らず知らずのうちにスズメバチを引き寄せ、事故が起こることもあるのだとか。一体、スズメバチを呼び寄せてしまう物とは何なのでしょうか?
 今回の実験で、スズメバチが寄ってきた食材は、オレンジジュース。実は、オレンジジュースの中には、2ペンタノールという警報フェロモンにも含まれているにおい成分が入っており、スズメバチを呼び寄せたようなのです。しかもこれは、多くの果物にも含まれているにおい成分の一つ。そのためスズメバチは、果物やジュース、またフルーツ系の香水などにも寄ってきてしまうのだそうです。

所さんのポイント
ポイント1
スズメバチの毒には、仲間を呼び寄せる役割もあった。
そのにおい成分は、果物やジュースにも含まれているので要注意!


 よく、“スズメバチは黒いモノを襲う”って聞きますよね。しかし今回、誰もが知っている、この常識が覆ったのです。
 それは、安全なはずの白い防護服を着たスタッフが、スズメバチに刺されてしまったから。防護服を着ていたため、大事には至らなかったのですが、なぜ白い服を着ていたのに襲われてしまったのでしょうか?
 実はスズメバチは、色のコントラストで物を見ているそうなのです。スズメバチ対処法そのため、昼は目立つ黒いモノを攻撃しますが、逆に夜は黒色が見えにくくなり白色が目に付くので、白いモノを攻撃したと考えられるそうなのです。

 最後に、もし昼間にスズメバチに遭遇したら、黒い髪の毛を隠すように頭を覆い、そーっと身を低くして、その場から5m以上離れるようにしてください。手で振り払ったり、素早く動いたりすると、興奮して襲ってくる可能性があるので危険です。

所さんのポイント
ポイント2
スズメバチは目立つ色に反応するそうなので、必ずしも、黒色が危険で白色は安全と言うわけではなかった!




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