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密着キリン驚き（秘）寝姿

第886回　2007年6月10日

　今年はキリンが日本にやってきて１００周年を迎えます。そこで今回は動物園の人気者、キリンの素朴な疑問を解決し、知られざるキリンの生態に迫りました。

　いろいろな疑問を解決するために、宇都宮動物園で見習い飼育員になってキリンのお世話をすることになった矢野さん。この動物園で飼育しているキリンは３頭。１３歳のお父さんのハツカ君と５歳のお母さんメイちゃん、そしてこの２頭の間に生まれた１歳のコウメちゃんです。
　まず、身近で見るキリンの大きさに驚いた矢野さんは、特大定規を設置して背の高さを測ってみました。すると、ハツカ君の背の高さは約４メートル８０センチ。メイちゃんは約４メートル。コウメちゃんは約２メートル８０センチでした。やはり１番歳をとっているオスが１番高いのかと思いきや、飼育員の方によると、キリンはたとえ同じ年齢であっても、オスの方がメスよりも背が高い動物なのだそうです。実はキリンは、サバンナの限りあるエサを取り合うことがないようにオスの方がメスより約１メートル背が高いのです。
　ところで、キリンの特徴と言えば長～い首ですよね。どうしてあんなに首が長いのでしょう？元々キリンは、今から２０００万年前のパレオトラグスという動物から進化したといわれていて、草原で生活するために、他の動物が食べない上の方にある葉っぱを食べるために首が伸びたという説があります。またこの長い首は、お互いの優劣を決めるためにオス同士が首をぶつけ合うネッキングという行動にも使われます。

　さて、続いて、キリンは一体何を食べているの？という疑問を解決。草食動物のキリンは、木の葉や草などを食べています。動物園ではキリンが食べやすいように高さ２メートルの所に干草が入ったエサ箱を設置していました。
　そこで、キリンはどれくらいの高さまでのエサを食べることができるのか実験です。まずはハツカ君の身長より２０センチ高い５メートルの位置にキリンの好きなポプラを特別に設置してみました。すると、長い顔を上げて楽々食べることができました。次に１０センチアップしてみました。これは顔を上げても届かない高さですが、キリンは舌を伸ばし上手く使って簡単に食べました。その舌の長さを測ってみると、なんと口から出ている部分だけで２５センチもありました。キリンは口の中の長さもいれると約５０センチもある長い舌を持っていたのです。その後も高さを上げて挑戦した結果、キリンは自分の背の高さより３０センチ高い高さまでエサを食べることができました。
地面のエサを食べるキリン

　では逆に低い所ではどうでしょう？そもそもキリンは首を下ろしただけでは地面に届きません。エサを地面に置いてみると、辺りに警戒を払った後、なんと大きく足を広げて地面に落ちたエサを食べ始めたのです。実はこれが水を飲む時の姿でもあるのです。

　続いては、首が長いキリンの血圧はどれぐらい？という疑問を解決します。以前キリンの血圧測定に失敗した苦い経験を持つ矢野さんは、キリン飼育のプロ３人にお手伝いをしてもらって再挑戦しました。ブラッシングやエサで機嫌を取りながら、尻尾に血圧計を通します。キリンの血圧は心臓とほぼ同じ高さの尻尾で測るのです。そして待つこと２０秒。その結果はなんと上が２５５、下が１９７でした。上が１１７、下が６９のウシと比べても、キリンは超高血圧だったのです。これには理由があり、キリンは脳が心臓より約２メートルも高い位置にあるため、血圧が高くないとポンプで血液が脳まで運び込めないからなのです。

首が長いキリンは、脳が心臓より２ｍも高い位置にあるため、超高血圧なのだ！

　さて、最後は、キリンはどんな姿で眠るの？という疑問です。閉園後、寝床となるキリン舎へ戻ったキリンを離れた場所で観察してみました。すると、コウメちゃんとお母さんは共に座りだし、やがてお母さんがウトウトし始め、ゆっくりと首を背中にまわして眠りにつきました。しかし、驚くことに眠りについてから１分４８秒で起きてしまいました。コウメちゃんも５分５８秒で起きて動き回り、エサを食べ、また短く眠って反芻・・・。これらの行動を繰り返し、朝を迎えたのです。一晩中観察した結果、動物園のキリンは首を背中にまわして眠り、睡眠時間もとても短かったのです。

キリンは長い首を背中にまわして眠るが、肉食獣からの攻撃を警戒しているため睡眠時間がとっても短いのだ！

　ちなみにキリンの出産は、立ちながら約２メートルの高さから生み落とし、生まれた赤ちゃんも２時間後にすぐ立ちます。これも同じように肉食獣に襲われないためと考えられているのです。