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史上初!? 乗馬 VS(秘)乗牛
第888回 2007年6月24日


 誰もが一度はやってみたい憧れのスポーツといえば、「乗馬」。乗馬人口は年を追うごとに増えていて、最近では乗馬フィットネスマシンも大人気!そこで今回は今ブームになっている乗馬を科学します。

 乗馬のスペシャリスト達が腕を競う馬術には色々な種目があります。コースに設置された障害を飛び越えてその技術とタイムを競う「障害飛越」。決められたエリアの中で馬をいかに正確で美しく運動させるかを競う「馬場馬術」。さらにはタイムを競う「クロスカントリー」などがあります。
 そして、佐藤アナはその中から、ウマで障害物を華麗にジャンプするワザに挑戦。しかもそれをたった一週間でマスターしようという試みです。
 まずは最初のレッスン「常歩」(なみあし)に挑戦です。常歩とは、ゆっくりとしたウマの歩きで乗馬の基本です。何とかウマの背中に乗り、基本姿勢をとりました。アブミにつま先だけを乗せ、頭、腰、かかとが一直線上に並ぶとウマの重心と重なるので安定して乗馬ができるそうです。発進方法はふくらはぎとかかとをウマのお腹に押し付けるだけ。佐藤アナ、常歩は見事にマスターしました。
口の中のハミ  そしてウマはほんの少し手綱を引いただけで止まってくれました。止まってくれる秘密を探るため、手綱をたどっていくと、口の中にハミという金属製の馬具が入っていました。
 実は馬などの草食動物には歯槽間縁という空間があり、敏感なこの場所にハミをつけて操っていたのです。ならば、ハミがあるのと無いのではどれくらい違いがあるのか実験です。まずはハミを外した状態で馬を止めるときの力を計測してみるとおよそ4キロでした。それに対し、ハミをつけている状態ではわずか1/4の力の1キロで止まったのです。

所さんのポイント
ポイント1
乗馬に必要なハミは、ウマの口の中の敏感な空間に入っているため、わずかな力でウマを簡単に操ることができるのだ!

乗牛シーン  ならば、このハミを使えば他の動物だって操ることができるはず!ということで乗馬ならぬ乗牛に挑戦。ウシにもウマと同じく歯槽間縁があるため、ハミもピッタリ入りました。助走をつけてウシに乗り、乗馬と同じくお腹を蹴ってみると、なんとウシも歩き出したのです。
 さらに、手綱を引くとピタリと止まり、実験成功かと思ったその時、ウシの口から大量のよだれが溢れ出してしまいました。これは実は、ウシは一度胃の中に入ったものをもう一度吐き出して噛み砕く反芻(はんすう)動物のため、ハミが反芻の邪魔をしてしまったためでした。一方ウマは反芻しないため、ハミが邪魔にならず自由に操ることができていたのです。

 さて、続いてのステップは常歩からスピードアップした「速歩」(はやあし)です。佐藤アナは順調にこなしているように見えましたが、振動のせいでお尻が痛くなってしまいました
 そこで、痛くなった原因を調べるためにウマ専用のランニングマシーンでそれぞれの肢の動きを見てみました。すると、常歩では4本の肢がそれぞれ順番に前に運ばれていて常に肢が地面についているのに対し、速歩では対角線上にある2本の肢が一緒になって順番に前に運ばれていて、4つの肢すべてが地面を離れ宙に浮く一瞬があったのです。この上下の大きな反動が痛みの原因でした。
 しかし、先生はこの激しい動きでも平気そうでした。そこで実験。もち米が入った目がテン特製クッションをウマの背中にセッティングして、先生と佐藤アナに10分間速歩をしてもらいました。10分後、中を開けてみると先生のもち米は粒がしっかりと維持されていました。しかし、佐藤アナのもち米は見事に潰れており、まさにサトウの尻餅が完成したのです。一体この違いはどこにあるのでしょう?
 実は、先生はウマの動きに合わせて体を上下に動かしていたのです。この乗り方の秘訣を教わると、立ち上がりと座りでしっかりと二拍子のリズムをとることなのだそうです。そこで佐藤アナは普段からウマの背中に見立てたバランスボールに乗り二拍子のリズムを忘れないように体に叩き込みました。
 猛特訓の末、なんとか速歩をマスターした佐藤アナでしたが、夢は馬に乗って障害を飛ぶこと。しかし150センチのバーを飛び越えるには速い助走の「駈歩」(かけあし)をマスターしなくてはいけません。そこで次に佐藤アナは駈歩に挑戦してみたのですが、あまりに難しくあっさり断念
 そこで、低いバーなら助走なしでも飛べるのでは?とウマの前に50センチのバーを設置したところ、またごうともしません。ウマの周りを囲い、バーの外からニンジンで誘惑しても、飛び越えようとはしませんでした。結局バーの高さを35センチに下げたところでようやくバーをまたぎました。なぜ低いバーでも飛び越えようとしないのでしょうか?専門家に聞いてみると、ウマの背中は硬く曲がりにくいので障害は苦手なんだそうです。確かにウマはジャンプするときも背中がまっすぐになったままでしたが、一方、ジャンプが得意なネコは直前に背中を曲げ勢いよく伸ばされているのがわかります。
 この違いは背骨の構造によるもので、ウマの背骨には棘(きょく)突起と呼ばれる骨があり、これが密になっているため背骨を曲げることが難しいのです。それに比べネコは棘突起がほとんど発達していないので柔軟に曲がるのでした。背中が曲がらないウマをジャンプさせるには助走で勢いをつける必要があったのです。

所さんのポイント
ポイント2
ジャンプが苦手なウマで障害を越えるためには、騎手の適切な指示や合図など、熟練した技術が必要なのだ!




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