いざ出航!
炭酸
噴射船
第895回 2007年8月12日
暑さの厳しい夏…そんな時に美味しいのはシュワっと爽快な
炭酸飲料
ですよね。今回はそんな炭酸飲料の驚きの秘密を科学します!
そもそも炭酸飲料とは、
二酸化炭素
、いわゆる炭酸ガスが溶け込んだ飲み物のことで、コーラ・ラムネなどに代表されるジュース類、ビール・シャンパンなどのアルコール類、そして炭酸ガス入りのミネラルウォーター、いわゆる天然の炭酸水などがあります。まずはこんな実験をしてみました。
天然の炭酸水、ビール、炭酸ジュース
それぞれ350mlのものを用意して、
缶に同じ大きさの穴をあけ、5回しっかりと振り、どれが一番勢いよく噴射するか比べてみました
。すると
一番飛んだのは炭酸ジュース
でした。これはもしかして、
炭酸ガスの量に違いがあるのでは?
ということで、実際にどのくらい炭酸ガスが入っているのか計測器で量ってみました。ビールに入っていた炭酸ガスはおよそ520ml。天然の炭酸水はおよそ710mlで、炭酸ジュースはなんと920mlでした。でも
なぜ炭酸ガスの量に差があるのでしょうか?
実はそれぞれの炭酸ガスの入れ方が全く違ったのです。
まずはビールです。原料となる麦芽とホップを混ぜ、タンクで寝かせておくとブクブクと炭酸ガスが出てきます。これは
酵母
という微生物の力によるもの。原料に混ぜられた
酵母は、原料の中に含まれる糖分を食べてアルコールと二酸化炭素に分解
します。この過程で
ビールに二酸化炭素が溶け込み炭酸ガス入りのお酒になる
のです。次にスタッフは天然の炭酸水がブクブクと湧き出ている、福島県金山町の井戸を訪れました。飲んでみると確かにシュワっとした炭酸が含まれていました。実は
天然の炭酸水は、火山から放出されるガスに含まれる炭酸ガスが長い時間をかけて地下水に少しずつ溶け込んだもの
なんです。
そして
炭酸入りジュース
は、工場でボンベから炭酸ガスを送り込む機械によって
科学の力
で作られていました。ところで、炭酸ジュースのペットボトルを開けると泡が出てきますよね?実は、炭酸ガスは
圧力をかけるとより液体に溶ける
性質があり、炭酸ジュースのボトルには高い圧力がかけられ炭酸ガスがたくさん溶ける状態になっています。だからフタを開けるとかかっていた圧力が開放され溶けきれなくなった泡が出てきていたのです。さらに夏の暑い日に、
車のダッシュボードに缶の炭酸ジュースを放置してみたところ、缶は破裂
してしまいました。
この時の車内の温度は65.8度。なぜ破裂してしまったのかというと、炭酸ガスは
温度が低い方が水によく溶け、逆に温度が上がると段々溶けなくなり60度を超えるとほとんど溶けなくなってしまいます
。そのため、この炭酸ジュースの場合、溶けていた炭酸ガスが気体に戻り缶を膨張させ、ついには爆発させてしまったのです。つまり
炭酸ジュースは圧力をかけ、さらに温度を下げて作られていた
のです。そしてスタジオで所さんに牛乳、抹茶、トマトジュースに炭酸を入れた目がテン!特製のオリジナル炭酸飲料を飲んでもらうと、なんと所さんは炭酸入りトマトジュースを大絶賛でした。
炭酸ジュースは、科学の力で圧力をかけ、さらに温度を下げるなど、最新の技術を使って作られているのだ!
さて、飲み会でとりあえずビール、食前酒にはシャンパンなどはよく見る光景ですよね。
食前に炭酸を飲むと一体どんな効果があるのでしょうか?
そこでこんな実験をしてみました。
体型がほぼ同じ20代の男性6人を3人ずつの2チームにわけ、片方のチームには食前にコップ一杯の水を、もう片方には炭酸水を飲んでもらい、同じメニューで同じ総重量13kgの料理をバイキング形式で限界までおなか一杯食べてもらいます。そして食後に残した料理の重さを計測してどちらが多く食べたかを調べます。残った料理の重さを計測すると、食前に水を飲んだチームは約8.6kgに対し、炭酸水を飲んだチームは約7.1kg。つまり
食前に炭酸水を飲んだチームの方がたくさん食べていた
のです。正確を期すため、後日同じメンバーで、食前に飲む水と炭酸水を入れ替えて実験してみました。結果は、炭酸水を飲んだチームは約7.1kg、水を飲んだチームは約7.9kgと、炭酸水を飲んだチームがたくさん食べていたのです。これはなぜでしょう?実際にX線を使い、水とバリウムを混ぜたものを飲んだ胃と、炭酸水を飲んだ胃を見比べてみると、炭酸水を飲んだ時だけ胃の形が変わり、腸とつながる部分がよく動いていました。さらに胃カメラで直接見てみると胃の出口の部分が収縮運動をしていました。つまり
食前に炭酸水を飲むと、胃袋が広がり胃の神経が刺激され、胃酸が出て動きが活発になるから
たくさん食べられたのです。
食前に炭酸を飲むと胃が活発になり、おいしく食事が食べられる!つまり夏バテ防止にもつながるのだ!
燃焼ガスを噴射して宇宙に飛び出すロケット。このロケットのように炭酸水の噴射力を何かに使えないでしょうか?そこで、
炭酸水が噴き出す力で船を動かせるのか大実験
です!佐藤アナが乗った小型のボートに炭酸水をセットする台を取り付け、まずはよく振った1.5Pの炭酸水の
ペットボトル10本
でスタート。一斉に噴射できるよう取り付けられた装置を使い発射しましたが、わずかに進んだだけ。そこで本数を30本に増やしてみても、動きませんでした。原因は本数を増やしたことで噴射のタイミングや圧力がバラバラになってしまっていたからです。そして最後の挑戦では、
ペットボトルを50本
に増やし、同じミスが起こらないように入念にチェックして発射すると、ついに大成功!なんと
船は炭酸の力だけで8mも進みました
。