盲導犬
&
介助犬
スゴ技
第896回 2007年8月26日
ペットとして不動の人気ナンバーワンを誇る人間のベストパートナーといえば犬ですよね。今回は「
働く犬
」にスポットを当てて犬の優れた能力の秘密を解明します。
まずは、犯罪者に立ち向かう勇敢な
警察犬
の訓練所を訪ねた矢野さん。矢野さんも訓練を体感し、腕に噛みつき命令があるまで決して離さない警察犬の力に驚きました。そして、警察犬の最大の仕事は
鋭い嗅覚
を生かし、臭いをたどって逃亡した犯人や行方不明者などを探すこと。しかし
いくら嗅覚が優れていると言っても人間が目で見た方が確実なのでは?
ということで警察犬の鼻に矢野さんは目で挑戦しました。実験は保育園の下駄箱に並んだ園児達の60足の靴の片方をすべて回収して別のテーブルに並べ、その中から1足を選び、もう片方の靴を下駄箱の中から探し出すという方法で行われました。
まずは警察犬が挑戦です。片方の臭いを嗅いで記憶したところで実験スタート。正解の靴を見つけるまでのタイムは
46秒
でした。続いて矢野さんは、
23秒
で正解に到達。警察犬より矢野さんの方が早いという結果になりました。そこでもう一度靴を代えて実験しましたが、矢野さんの記録には届かず・・・。しかし、VTRを見てあることに気が付きました。警察犬は
一度、正解の靴をチェックしていた
のです。でも、いきなりそれをくわえるのではなく
全体をまんべんなく嗅ぎ回ってから正解を選んでいた
のです。
警察犬は、スピードではなく、正確に臭いを嗅ぎ分けられる圧倒的に優れた嗅覚を活かして働く犬だったのだ!
ところで、
なぜイヌの鼻はとても鋭いのでしょうか?
人間もイヌも、臭いを感じ取っているのは
鼻の内側にある細胞
。この細胞が分布している
面積が広いほど嗅覚が鋭い
ということ。しかし、イヌと人の鼻の大きさはさほど変わりません。ところが断面図を見比べてみると人の鼻の内側はツルツル、
イヌの鼻は内側にたくさんのヒダがありました
。そのためイヌの鼻は臭いを感じる細胞が分布する面積が大きく、広げるとなんと
畳5枚分
もあるのです。一方
人間はわずか切手2枚分
。この面積の違いがイヌとヒトの嗅覚の違いだったのです。
イヌの嗅覚が発達したのは、イヌの祖先・
オオカミが狩りの時に、獲物を長時間追跡して仕留めるため
、鋭い嗅覚が発達したと言われています。
イヌの嗅覚のすごさをさらに実感するために、スタジオに
災害救助犬
のサンドラ君が登場。3つの箱のうち1つに矢野さんが入り、他の2つには「矢野さんの服を着たマネキン」と「矢野さんの声が流れるラジカセ」を入れます。これらの箱からサンドラに矢野さんが入った箱を当ててもらいます。すると、矢野さんが入った箱の前で吠え、見事探し出しました。実は、災害救助犬は、崩れた建物の下敷きになった生きている人を探すために訓練されているため、
生きている人が継続的に発する特有の臭いを手がかりに探していると考えられています
。
さて、続いては身体が不自由な人の手足の代わりになり、頼めば色々なモノを探して持ってきてくれる
介助犬
。
なぜ介助犬は飼い主の要求通りに物を運んでこられるのでしょう?
実は犬の祖先オオカミには、狩りで手に入れた
獲物を巣に持ち帰る習性
があり、犬にもこの習性が残っています。だから介助犬も、モノを拾って取ってくるという性質を活かして働いているのです。さらにスタジオに登場した介助犬ウィリー君は、口で割り箸を割ったり、お菓子のフタを開け、さらには袋を開ける手伝いまでしてくれたりと、所さんも感心してしまうすごい技を披露してくれました。
次は最近本や映画などで人気を集めている
盲導犬
です。盲導犬と一緒に歩いてみたいと思っていた佐藤アナですが、その前に目の見えない状態で、通いなれた地下鉄の出口から日本テレビのスタジオへの道を一人で歩いてみることにしました。すると、まっすぐ歩いているつもりが車道の方へ行ったり、障害物があると怖くてなかなか前に進めない状態で、普段なら3分もかからない道のりを30分近くかかってしまいました。では、本当に
盲導犬がいればちゃんと歩けるようになるのでしょうか?
まずは今回のパートナー、盲導犬の卵イソップ君と歩く基本をお勉強です。
「ハーネス」
と呼ばれる器具を持ち、犬の動きを手で感じ取り、歩く人は
道順を英語で指示
します。これは日本語だと人によって訛りがあるため犬が混乱してしまうからです。「ストレイト・ゴー」 と指示を出すと、イソップ君の誘導で普段のスピードで歩くことができました。盲導犬は、
常に道の左端
に沿ってまっすぐ歩きますが、前方の障害に気付いた瞬間、
身体を押し当て障害物にぶつからないように誘導
してくれました。
さらに、曲がらなくてはいけない角にさしかかるとイソップ君は止まり、曲がれる方向に首を振って教えてくれました。この角の数をカウントしておけば、曲がるべき角で指示が出せるのです。階段のような段差がある時は、
一段目に前足をかけて止まり、段差の位置と高さを知らせてくれ、さらに犬は通れても人間は通れない高さにある障害物も、きちんと計算して避けてくれました
。佐藤アナはイソップ君のおかげで数々の障害をクリアして無事にゴールできました。
ところで、人間の命令をきく動物は、たいていエサが欲しくて行動することが多いですが、
なぜ盲導犬はエサもなく言うことを聞いてくれるのでしょう?
実は盲導犬は訓練中、一つの動作ごとに
トレーナーに徹底して褒められていた
のです。これは、ボスを頂点とした上下関係を築く祖先オオカミの習性からきています。盲導犬にとっては一緒に歩いている人間がボスになるため、
上位の者に認められたいという性質を生かして育成
されているのです。
曲がり角や段差、障害物などあらゆる情報を知らせて安全に人を導いてくれる盲導犬は、人間が褒めることによって育てられるのだ!