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なぜ美味? サンマ
第897回 2007年9月2日


 この時期に美味しい身近な秋の味覚といえば、なんといっても「サンマ」ですよね。今回は、脂がのった今が旬のサンマを科学します。

 サンマはダツ目サンマ科の魚で、日本でのサンマの年間消費量は11万5000トンと、日本は世界で一番サンマを食べている国なんです。
 矢野さんはサンマ漁を体験するため、サンマの漁獲量日本一を誇る北海道根室漁港へ向かいました。矢野さんを乗せた漁船は午後3時に漁港を出発し、3時間後、ようやく根室漁港から約30km離れた漁場に到着しました。夜の海上は旬のサンマを漁獲しようと、全国から集まった100隻以上もの漁船の光に埋め尽くされていました。サンマ漁は、漁船から飛び出している翼のようなものに取り付けられた集魚灯で海を照らしてサンマを集めて行われています。早速その光に誘われサンマが集まってきました。まずは強力なサーチライトで海面を照らし、さらに船の近くへとサンマを誘導します。次に右側の集魚灯を消し左側だけ光を付けておきます。すると、船の左側にサンマが集まってきます。その間に集魚灯を消した右側に網を入れて準備完了。網の準備が終ると再び右側のライトを点灯。そして左側のライトを消し、網を仕掛けた方にサンマを誘導します。そして、集魚灯を消した次の瞬間、海面を赤色のライトで照らします。するとたくさんのサンマが海面へと上がってきました。そこを一気に網の中に閉じ込め、大量のサンマが一網打尽に!しかしなぜ赤い光に反応するかは完全には解明されていないんだそうです。
 漁師さん達は、網に入っている大量のサンマの中に、なにやら太いパイプを入れました。この装置は、海水と一緒にサンマを吸い上げるフィッシュポンプという機械で、なんと1分間に約600匹ものサンマを吸い上げるそうです。

水槽で泳ぐサンマ  ところで、サンマが水族館で泳ぐ姿はなかなかお目にかかれないですよね?そこで、全国各地にある水族館を調べてみたところ、日本ではたった一ヶ所の水族館でしか展示していませんでした。実はサンマは飼育をするのがとても難しい魚だったのです。サンマはウロコが取れやすく、取れてしまうとほとんど死んでしまうので生け捕りが難しいのだそうです。日本で唯一サンマを展示しているアクアマリンふくしまを訪ねると、ずいぶん暗い所に水槽がありました。サンマは光に寄ってくるので水槽に光を当てすぎると興奮し水槽にぶつかって死んでしまうため、最低限の光で飼育しているそうです。
 では、この水族館ではどうやってサンマの成魚を捕っているのでしょう?実は職員の方は、船で太平洋に出て、海に浮かぶホンダワラという海草を探し、この海草に産みつけられたサンマの卵を手に入れていたのです。卵の大きさは直径約2mmで楕円形。付属糸と呼ばれる細い糸が卵についていてまとまっています。卵の中を見てみると、今にも孵化しそうで、もうすでにサンマの形をした稚魚の姿がありました。
 この水族館ではこの卵を持ち帰り、研究所で孵化させるのです。研究を重ねた今では水族館で塩化ビニールパイプをチェーン状にした産卵床でサンマの産卵にも成功しました。

所さんのポイント
ポイント1
サンマはとても身近な魚だが、生け捕りはとても難しく、泳ぐ姿を水族館で見られるのはとても貴重なのだ!

 さて、たいていの魚は調理する時、内臓を取りだしますよね?その理由の一つは内臓に排泄物が残っているからです。ではなぜサンマの内臓はそのまま食べるのでしょうか?そこで、タイとサンマにエサを与えどれくらいで消化するのかを観察してみました。まずはタイにエサを与えたところ、8時間以上経過してもフンをしませんでした。一方サンマは、一生懸命エサを食べ続け30分という驚きの早さでフンをしました。一体、この時間の差は何なのでしょうか?そこで、タイの内臓を見てみると胃や腸などの消化器官がきちんとあるのに対し、サンマのお腹を開けてみると胃や腸の区別が無く、一本の長い消化官があるだけでした。そのためサンマは消化が早く内臓に排泄物が残っておらず、内蔵も一緒に食べられるのです。

所さんのポイント
ポイント2
胃や腸がないサンマは、消化が早く、内臓に排泄物が残らないため、そのまま丸ごとおいしく食べられるのだ!

 内臓はそのまま食べられるサンマですが、さすがに頭までは食べませんよね。そこで、サンマの頭がもったいないということで、目がテン!では素晴らしい再利用法を考えました。注目したのはサンマの頭の中にある小さな白い石のような物体。実はこの石は耳石(じせき)といい、耳の中にある平衡感覚をつかさどる器官なのです。実は耳石には年輪があり、その本数でサンマの年齢がわかるそうなんです。
サンマの耳石 イヤリング  耳石の主成分は真珠と同じ炭酸カルシウムで出来ています。ならば、耳石で装飾品を作ってみようということで、耳石を集めることにしました。お魚屋さんなどで捨てるはずだったサンマの頭を大量に頂き、その中から耳石を採取します。そして必死に集められた耳石は装飾品を作ってもらうために宝石店へ。そして40個の耳石を使ったサンマジュエリー、美しいイヤリングが完成しました。サンマの頭の再利用は大成功でした!?



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