知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


裏技満載! デジカメ
第901回 2007年9月30日


 秋といえば、スポーツや行楽のシーズン。そんな時に大活躍するのが思い出の一枚を残すカメラですよね。そこで、今回は今や定番となった「デジタルカメラ」を徹底的に科学して、上手な撮り方の秘密テクニックも探ります。

 そもそもカメラは、一体どうやって写真を撮っているのでしょうか?ということで、こんな実験をしてみました。まず大きな箱を用意して、壁の一ヶ所に小さな穴を開けます。そしてその箱の前に人が立つと、なんと中の暗い壁に、外の様子が逆さまに写し出されます。実は、この外の様子が写る部分に、光に反応する素材を使うことで、記録に残したのが写真の始まりなのです。
 そして今やカメラといえば、デジタルカメラの時代。デジカメが日本で始めて一般に売り出されたのは1995年。当時は25万画素だったのがたった12年で1200万画素まで進化しました。このデジカメを購入する時に気にする「画素」ですが、そもそも画素というのは何なのでしょう?
 フィルムカメラの場合はレンズを通った画像がカメラの中に映し出されます。フィルムには、光に反応する銀の化合物が塗られていて、それが化学反応を起こして画像が記録されるという仕組みです。一方デジカメは、中身を見ると、CCDという電子の目がついています。CCDとは「電荷結合素子」と言って、役目はレンズを通った画像を読み取りデータ化することです。これをメモリーカードに送っているのです。CCDを顕微鏡でのぞいてみると、赤・緑・青の細かいマスがビッシリ規則的に並んでいます。実は、CCDは、撮りたい画像を細かいマスに分けて記録していて、この1マスが1画素です。だから画素数が多いほど細かくキレイな画像を記録できるのです。しかもCCDは、この3色の、色の濃さを変えることで画像を記録しているそうです。しかし本当にそれだけで画像を表現できるのでしょうか?そこで、目がテン!手作りCCD大実験を行いました。準備したのは、色の濃さが違う赤・緑・青の紙3000枚つまり3000画素です。
3000枚の紙で作ったリンゴの絵  これを順番で並べていけばある画像が浮かび上がるというのです。矢野さんとスタッフが必死に並べていき、作業開始から10時間でようやく完成。間近でみるとただの3色ですが、離れた高い場所から見てみると、なんとリンゴの絵が見えました。色の濃さが違う3色、3000枚の紙だけで見事リンゴの姿を表現することができました。

 ところで、デジカメを使っていると、写真が遅れて撮れてしまうというのはよくあるお悩みですよね。これは一体なぜなのでしょう?そこで少年野球チームとプロのカメラマンに協力してもらい、バッターがボールを打つ瞬間を写真に撮ってみました。矢野さんが、狙いを定めシャッターを押してみましたが、完全に打ち終わった後の写真になってしまいした。デジカメには、シャッターを押した瞬間と写真に写る瞬間にどうしてもタイムラグと呼ばれる時間差が出るというのです。そこでタイムラグを検証してみました。ほぼ同じ性能のデジカメとフィルムカメラのシャッターを同時に押して、動いている電車を撮影してみました。すると同時に押したはずなのに、デジカメの方の電車がかなり進んでいました。この間、実におよそ0.4秒のタイムラグがありました。この違いは、カメラの撮影方法にあるそうです。フィルムカメラの場合は、撮影ボタンを押すと、まずは赤外線や超音波などでピントを合わせ、ピントが合うと閉じていたシャッターが開いて写真を撮る仕組みです。一方、デジカメの場合は、いつも液晶画面に画を映しだしているため、通常シャッターは開いている状態です。そして、撮影ボタンを押すとまず開いていたシャッターを閉じ、次に自動でピントを合わせるオートフォーカス機能が起動し始め、そこから再びシャッターを開きます。すると今度はCCDが被写体を読み取ってピントを合わせるのです。そして、ピントが合ったところでようやく撮影。こうして画像を記録しているため、手順が多いデジカメはタイムラグが出てしまうのです。しかし、プロが撮った写真はタイミングがピッタリでした。プロが使っていたのは、「置きピン」と言ってあらかじめシャッターを半押ししてピントを固定する方法。実は、こうすることで先ほどの行程をあらかじめ行い、後は撮影したいタイミングでボタンを押すだけで画像を記録するのでタイムラグがほぼ無くなるのです。

所さんのポイント
ポイント1
デジカメのタイムラグを防ぐには、シャッターを半押しにし、事前に撮りたいものにピントを合わせておく「置きピン」をするとうまく撮れるのだ!

人物を撮ったデジカメとフィルムの違い  デジカメの時代に、あえてフィルムカメラを使う人に話を聞いてみると、デジカメは平面的だけどフィルムは立体感があるというのです。そこでこんな実験を行いました。10人の人に1m50cmずつ離れて並んでもらい、2種類のカメラで写真を撮りました。するとフィルムカメラは、ピントが合っているのは手前の人だけで、奥の人たちはボケてしまいました。一方、デジカメの方は奥の人までちゃんとピントが合っていました。このように2つのカメラではピントが合う範囲に違いがあります。広い範囲にピントが合うデジカメは簡単に集合写真が撮れます。一方、フィルムカメラはピントが合うのが狭い範囲なので背景をわざとボカしたりでき、立体感がある写真を撮ることができるのです。

所さんのポイント
ポイント2
一般的に、広い範囲にピントが合うデジカメは集合写真、立体感を出す写真を撮影したいときは、範囲が狭いフィルムカメラが適している!

 さて、暗いところで撮影するのが難しいデジカメですが、暗いところでも上手に撮影する方法がありました。夜、打ち上げ花火を背景に人物を撮るには、スローシンクロといって、人物と夜景を一緒に撮影するときの機能を使います。これは、最初にストロボを発光して人物だけを撮影し、その後、光の少ない背景を、時間をかけてキレイに写す仕組みなのです。ちなみにこの機能は背景の撮影時間が長くなるため手ぶれが生じるので、傘などを台にして手ぶれを押さえることがポイントです。



物・その他編へ
前週 次週
ページトップ

ジャンル別一覧 日付別一覧