巨大
カボチャ
馬車製造
第954回 2008年10月12日
今が旬の秋野菜、
カボチャ
。最近は日本でもお馴染みになったハロウィンにも欠かせない存在になっています。そこで今回はカボチャを科学で徹底解剖します!
ハロウィンといえば、カボチャのランタン。カボチャは外皮が硬く、中をくり抜いても崩れにくいから使われていると言われています。では、どれほど硬いのでしょうか?そこで、
ゴーヤ、パイナップル、スイカ、カボチャで硬い食べ物NO.1選手権を開催!
抜刀の達人に日本刀で水平にバッサリ切ってもらいました。しかし、ゴーヤ、パイナップル、スイカをいとも簡単にクリアした名人も、
カボチャには大苦戦。力いっぱい斬ろうとしてもキレイには斬れなかった
のです。そこで、硬度を機械で測り比べてみると、ダントツでカボチャが硬く、さらに電子顕微鏡で細胞を見比べてみると、カボチャの細胞は他に比べとても小さく、びっしりと詰まっていました。実、ここにカボチャが原産地である中南米の砂漠や熱帯地域の過酷な自然環境で生き抜いてきた秘密が隠されていたのです。
試しにカボチャ、ダイコン、キュウリ、ニンジン、ナスを一週間放置してみたところ、カボチャ以外の野菜は1週間で水分が抜けてシワシワになってしまいましたが、カボチャは実験前と重さを比べても全く変化はありませんでした。つまり
カボチャは過酷な環境で生き抜くために、水分や栄養分の流出防止対策として皮が硬くなったと考えられているのです
。そして、スタジオでは所さんが一番硬いカボチャと言われている「マサカリ」という品種で釘を打てるのかチャレンジしてみると、見事に木の板に釘を打ちつけることができました。
さて、カボチャの意外な素顔が見られるということで、矢野さんは日本一の収穫量を誇る北海道和寒町へ向かいました。なんと、農家の方は広大な畑のカボチャを、機械を使わず全て手作業で収穫していました。カボチャは、果梗(かこう)と呼ばれる柄の部分が枯れてくると、収穫のサイン。まずはハサミで柄を長めに残して切ると、実には触らずにしばらくの間放置し、およそ1時間後、先ほどわざわざ残した長い柄を切り落とし、手で丁寧にコンテナに積んでいきます。収穫したばかりのカボチャは柔らかいから丁寧に扱うと言うので、実際に
採れたてのカボチャと市販のカボチャの皮の硬さを機械で測定し比べてみると、採れたてのカボチャの方が圧倒的に柔らかかった
のです。つまり、採れたてはまだ柔らかいため、傷をつけないよう、柄の部分以外は触らないようにして、表面が乾いて皮が固まってから、改めて柄をきれいに切り取り慎重にコンテナに積み込み出荷するのです。
採れたてのカボチャはとても軟らかく、手で丁寧に収穫しなければならないほど、デリケートな野菜だった!
採れたて新鮮な野菜は何でも美味しいもの!と、矢野さんが
採れたてのカボチャを蒸して食べてみたところ…なんと甘味がなかったのです!
試しに「採れたて」、「収穫後1ヶ月」、「収穫後3ヶ月」のカボチャを同じ蒸し器で調理し、主婦5人に試食してもらい順位をつけてもらうと、ダントツで採れたてのカボチャが最下位でした。そこで、採れたてから数日おきに、甘みの元である糖の量を測定すると、収穫してから1ヶ月保存するうちに、糖分が増えていたのです。
甘みが増すのは、収穫後にデンプンが分解して、糖へと変化するため
だそうです。ならば日数の経った3ヶ月モノが1番甘いのでは?と思いきや、なんと主婦が1位に選んだのは1ヶ月後のカボチャでした。計測結果を見ると、
1ヶ月半を過ぎたところで、元となるデンプンが減るため、糖の量も減っていたのです。
つまり、カボチャの食べ頃は糖の量がピークに達する収穫後1ヶ月〜1ヶ月半がベスト。実際、収穫したカボチャは貯蔵庫で寝かせておき、甘味が丁度よくなる1ヶ月後を狙い出荷されています。そのため、
カボチャは購入後早めに食べるのがオススメです。
カボチャは、食べ頃である収穫後1ヶ月〜1ヶ月半に出荷されているので、買ったら早めに食べるのがオススメ!
さて、とんでもないカボチャがあると聞きつけ、千葉県に向かった矢野さんが目にしたのは、なんと重量403kgのモンスター級の巨大カボチャ!このカボチャは
「アトランティックジャイアント」
という品種で、主に家畜の飼料や観賞用として、アメリカで品種改良されたもの。その畑を訪ねてみると、15坪の畑になっている実の数は、たった1つだけ。つまり
全ての葉の栄養を1つの実に集めることで巨大化させている
のです。
そこでこの巨大カボチャの一つを農家の方に譲って頂き、中身を見てみると、なんと
実の厚さはわずか20cm程しかなく、中は大きな空洞になっていました。
空洞ができる理由は、葉が果肉に栄養を送り、ある程度の厚さになったら、今度は種子にもしっかり栄養を送るようにするためだと考えられています。矢野さんはこの空洞を何かに利用できないかと考え、カボチャの馬車を作ってみよう!と思いつきました。内側のワタを削り取り、顔を掘って完成したカボチャの馬車をポニーに引いてもらい、幼稚園児達の前に登場すると、園児達からは予想以上の大反響!この日誕生日を迎える女の子にシンデレラになってもらい、カボチャの馬車にエスコート。硬いので中に入ってもビクともしません。見事リアルシンデレラになれた姫は大満足の様子でした。