知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


年末はNG!? 大そうじ
第964回 2008年12月21日


 年の瀬の恒例行事といえば大掃除!しかし、家の様々な汚れの正体を探ってみると…12月は大掃除に向いていない!?という驚きの事実が判明したのです!

 日本語学校に通う世界各国の生徒達に大掃除について聞いてみたところ、どの国でも大掃除は恒例となっているようですが、12月に行う国はとても少なかったのです。そこで、大掃除は本当に12月にするべきなのか否かを検証してみました。街の人に「大掃除でキレイにしたい家の汚れ」を聞いてみると、①キッチンの油汚れ、②浴室のカビ、③部屋に溜まったホコリがそのベスト3でした。まずはキッチンの油汚れから検証します。ハウスクリーニングのプロによると、油汚れはガスレンジの周りだけではなく、あちこち遠くまで飛ぶといいます。そこで、広いスペースにガスレンジを置き、その周りに特殊な紙を敷いて、冷凍コロッケを揚げた時にどれぐらい油が飛ぶのか測定してみました。すると、一番遠くまではねた油はガスレンジから2m50cmも飛んでいたのです!そんな油汚れを濡れ雑巾で掃除してみると、遠くについた汚れは案外簡単に落ちたものの、ガスレンジ周りの汚れは全く落ちなかったのです。一体なぜでしょう?専門家の方にその違いを実験で見せてもらいました。3枚の鉄板に、黒く着色した食用油を塗り、130℃で1時間、3時間、6時間加熱します。すると、加熱時間が多いほど油は落ちにくくなっていたのです。8℃と28℃の油汚れ落とし実験後の比較実は、加熱する時間が長くなると、油の分子同士がくっついて大きくなる「重合」が促進され、硬くなってしまうのです。そんな頑固な油汚れを落とすのに、12月は向いているのでしょうか?そこで、油を加熱し人工的に作った頑固な油汚れを、機械に取り付けたブラシで10分間こすってみます。まずは室内の気温を12月の平均気温8℃に設定して行った結果、ほとんど汚れは落ちませんでした。しかし、室温を8月の平均気温28℃に上げて行ってみると…今度はかなりの油汚れが落ちたのです!この理由は、油汚れの分子が熱を帯びて運動しやすくなるため。12月に油汚れを掃除するなら、暖房などで部屋の温度を上げてから行いましょう。

所さんのポイント
ポイント1
油汚れを落とすには、冬よりも、気温が高く油汚れの分子が運動しやすくなる夏場のほうが落としやすいのだ!

 続いては、浴室のカビについて検証します。浴室に生える主なカビの正体は、クラドスポリウムという通称・クロカビ。湿度の高い浴室はカビの繁殖天国です。しかも、カビの菌糸はタイルの目地やシリコンを食い破るほどのパワーで成長し、奥まで浸透してしまうと、こすっても落とせません。実は市販のカビ取り剤は漂白剤が配合されていて、その漂白効果で目立たなくしているだけなのです。飛散実験で舞い上がるカビさらに、普段あまり掃除をしない天井には目に見えない大量のカビの胞子が付着しているのです。そして浴室を掃除する際、換気のためについ窓を開けてしまいがちですが、ここに落とし穴が!なんと、カビの胞子は簡単に飛散しやすく、壁や床など別の場所に新たなカビを生む原因になると言います。試しに、乾燥させたカビの胞子をケースに入れ、横に開けた穴から風を送ってみると、カビは一気に舞い上がりました。ところが、霧吹きで湿気を与えてから風を送ると、全く飛散しませんでした。浴室掃除は乾燥した12月ではなく、湿度が高い時期の方が適していたんです。12月に掃除する際には、湿度が高い風呂上りや、シャワーで十分に濡らしてから行いましょう。

 最後に、部屋に溜まるホコリの秘密に迫ります。部屋中にいつの間にか溜まっているホコリですが、なぜタンスの上にまで溜まるのでしょうか?プロによると、室内のホコリは、人が歩くだけで舞い上がり、やがてゆっくりと落下して人が滅多に触れない場所にも溜まるのだそうです。そこで、床の上、棚の上、背の高い家具の上にそれぞれシャーレを置いて、ホコリを堆積させてみました。2週間後、それぞれに溜まったホコリを見てみると、高い家具の上には細かいホコリが溜まり、床の上には大きめのホコリが溜まっていました。つまり大きいホコリは高く舞い上げられることがなく低い場所に溜まるのです。だから床には綿ボコリが出来るんですね。
 さらに、12月にはホコリ掃除の大敵が潜んでいました。それは…静電気!乾燥したこの時期、化学繊維などに発生しやすい静電気が、せっかく取り除いたホコリを引き寄せてしまうのです。そこでこんな実験です。アクリル製の同じ2つのぬいぐるみを用意し、片方にはゴム風船でこすって静電気を帯電させ、もう一方は除電器で静電気を取り除きます。そして、上からホコリを落として、その動きを観察してみました。すると、ホコリは静電気を帯びたぬいぐるみにどんどん引き寄せられていったのです。今の時期、ポリエステルのカーテンやウールが使われたソファー、金属の置物などに静電気が溜まりやすくなり、ホコリ掃除の邪魔をするのです。
 ホコリ掃除には、静電気が起こりにくい湿度の高い時期が適しているようです。12月に掃除を行うには、静電気の力を利用する化学繊維の掃除用具を使うと、ホコリを減らすことが出来ます。以上、3つの汚れについて調べた結果、目がテンは「大掃除は6月から8月に行うのがオススメ!」という結論を出しました。

所さんのポイント
ポイント2
大掃除を行うのは12月ではなく、気温と湿度の高い6月〜8月の気候が適しているのだ!




物・その他編へ
前週 次週
ページトップ

ジャンル別一覧 日付別一覧