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モスラ発見!? 与那国島
第965回 2008年12月28日


 寒さが続くこの季節には、暖かい南の島に行きたいですよね。そこで今回、矢野さんは東京から2000km離れた日本最西端の島、与那国島へと向かいました。

 与那国島は、周囲およそ30kmという小さな島。12月なのに気温24℃という楽園のような島で快適にサイクリングを楽しむ矢野さんでしたが…島の北側に回った途端、様子が一変、すさまじい強風が吹き荒れてきたのです。その風速は台風並みの18m!なんと与那国島は風力発電で島全体の電力がまかなえるほど、強烈な風が吹く島だったのです。この強風のせいで、計算上の体感温度はわずか7℃。島のお宅を訪ねると、沖縄の島なのにコタツが出ていました。そして、この強風の原因は海水の温度にあったのです。実は与那国島は暖かい黒潮が最初に流れこむ場所なので、隣の石垣島より海水温が3℃も高いのです。試しにドライアイスを大陸に見立て、与那国島に見立てた場所に27℃の水、石垣島に見立てた場所に24℃の水を入れてみると、水温の高い与那国島に冷たい空気が流れていきました。これは、温かい水が上昇気流を生み、冷たい空気を巻き込んでいくために起こる現象。だから与那国島には大陸からの冷たく強い風が吹き込んでくるのです。
 さて、珊瑚礁が広がる沖縄の海で泳ぎたい!ということで、島の人に珊瑚の綺麗な場所を聞いてみると、なんと皆さん口を揃えてそんな場所はないと言います。そこで島のおまわりさんに聞いてみると、指を差したのは山の上!矢野さんは教えてもらったティンダハナタと呼ばれる変わった形の山に登ってみました。すると、海抜80mの山頂に、珊瑚の化石でできた、白い琉球石灰岩の巨大なプレートがありました。実は与那国島は珊瑚ができた20万年前以降、地殻変動が激しくなり珊瑚が出来る間もなく現在も隆起し続けているのです。与那国島は砂岩という柔らかい地層が強い波風によって削り取られてできた断崖絶壁の島だったのです。

所さんのポイント
ポイント1
与那国島は地殻変動により現在も隆起し続けている、断崖絶壁に囲まれた島なのだ!

ボタンボウフウ(長命草)  矢野さんは断崖を眺めていると、なんと50mを越える断崖絶壁の上に人影を発見!何をしているのか聞いてみると、長命草(ボタンボウフウ)という植物を採っているのだそうです。勧められるまま、長命草を食べてみると、とても苦い味でした。
 この草は、食べ物が少ない時代に仕方なく食べていたそうですが、今はその苦味を生かして薬味などに重宝されているそうです。しかし、なぜ潮風が吹きつける過酷な環境に生えているのでしょうか?そこで島内でボタンボウフウを栽培する畑を訪ねると、水やりで撒いていたのは水ではなく、海水。なんとこの草は海水を好むと言うのです。そこで、同じくらいの大きさのボタンボウフウに海水と真水をかけて定点カメラで観察してみました。すると確かに海水をかけたほうが生き生きと育っているように見えました。専門家に伺うと、ボタンボウフウは海水に含まれる栄養素やミネラルを取り込むことで元気に成長し、有害な塩分は、液胞というゴミ袋のような器官によって排出していると考えられているのだそうです。

 さて、与那国島は黒潮に乗って大型の回遊魚が集まる、釣り人憧れの島。そこで矢野さんは漁船に乗せてもらい海へ出ました。しかし、船長さんは一向に漁を始めず、矢野さんに海面に浮かぶゴミを探してくれと言います。矢野さんは言われるがまま海面を探し、ついに浮遊物を発見!実はこれ、パヤオと呼ばれる人工的に作ったゴミのようなもので、海底まで一本の綱をつなげてあり、この綱についた海草の周りにプランクトンが発生。小魚が集まることで大型の魚を回遊させる、人工の魚の住処だったのです。早速漁を始めると、大きなシイラを見事釣り上げることに成功!普通の島は周りに珊瑚や大陸棚などの浅瀬がしばらく続いていますが、与那国島の周りはすぐに水深300mを超える深海なのです。そのため、魚の住処になるような場所がないため、流木などのゴミが住処の代わりになります。それを利用し人工的に作られたゴミ、パヤオは黒潮の海で効率よく大型魚を釣る海人の知恵だったのです。
天然記念物 ヨナグニサンの成虫  さらに与那国島を歩いていると、網で蝶を取っている方々を発見。実は、与那国島はたくさんの蝶が集まる蝶の島でもあるのです。貴重な種類に出会えると言うので、山の中を案内してもらうと…巨大な謎の生物を発見!その正体は、与那国島に多く生息し、天然記念物にも指定されている世界最大の蛾、ヨナグニサンの幼虫でした。なんと成虫は大きいもので24cm、あのモスラのモデルにもなりました。
 この時期、ヨナグニサンの幼虫は葉を巻き込みながら10時間以上もかけ丈夫な繭を作り、この中で冬の間の2ヶ月を過ごします。与那国の北風に耐え忍ぶこの繭は一体どれくらいの強さを持っているのか、一般的なカイコの繭と強さを比べてみました。すると、1センチ潰すための力はカイコよりも3kgも強いおよそ7kgもありました。そこで、この丈夫な繭を茹で、糸を作ってもらうと、カイコのおよそ3倍の太さを持つ丈夫な糸が取れました。与那国島は不思議な魅力に溢れる島でした。

所さんのポイント
ポイント2
与那国島に生息する世界最大の蛾、ヨナグニサンは、冬の北風に耐えるために、とても頑丈な繭を作るのだ!




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