検証
モグラ
たたき伝説
第976回 2009年3月15日
暖かい時期になると、家の庭や畑などあちこちに見られる盛り上がった土。実はこれ、
モグラ
が作ったモグラ塚。今回は、地中界の珍獣モグラを科学します。
モグラ塚がよく見られるという農家の方々に話を聞いてみると・・・、皆口々に農作物を荒らされて困っていると言います。これは一大事！という事でモグラ塚を掘って見つけたモグラの穴にニンジンを仕掛けて、じっとモグラを待ってみることに。ところがモグラは一向に現れず、やっと姿を現したかと思いきや、穴から出てきたのはモグラではなくネズミだったのです。そこで、ニンジン、シシャモ、イチゴ、手羽先を用意して、まずモグラの大好きなエサは何なのか確かめてみることに。すると…モグラは肉である手羽先だけにかぶりついたのです。実は、
モグラは土の中にいるミミズなどの虫を主食にする肉食動物。
つまり農作物を食い荒らしていた犯人は、モグラが掘った穴を利用していたネズミだったというわけです。
謎に包まれたモグラの穴の中はどうなっているのでしょうか？そこで、細長いケーブル状のカメラを穴の中に入れていくと、トンネルはどこまでも続き、ケーブルが足りなくなってしまいました。ならばと、空気に触れると固まるウレタンを使ってモグラのトンネルを型取っていくという作戦に変更。しかし、穴はどんどん延びていき、その長さは１０ｍ以上に！深夜になったため作業はやむを得ず中断。
なんと
一般的なモグラは１匹で最低でも１００ｍも掘り、この穴も１匹のモグラが作ったそうなのです。
そして作業の結果、
トンネルは地下およそ１５ｃｍという浅い所にほぼ一直線上に長く続いていくのが分かりました。
専門家によると、実はここにモグラにとって生きるための秘密が隠されているというのです。そこで、モグラ１匹が通れる幅５ｃｍの透明なケースに土を入れ、モグラを放してみました。すると、わずか５分で浅い所に一直線のトンネルを完成させました。
さらに、トンネルの上にミミズを放してみると、ミミズが土の中へ潜り始め、やがてモグラが掘ったトンネルにポトリ。そこにモグラが猛烈な勢いでやってきてミミズを捕まえ食べたのです。なんと浅くて長いトンネルは、ミミズの潜る深さを計算して作られていて、まさにエサを捕る罠の役目を果たしていたのです。
モグラが掘る、浅く長いトンネルは、空間内に落ちてくるミミズを食べるための罠だったのだ！
これだけ長いと、他のモグラが掘ったトンネルと繋がってしまうこともあるようです。そこで、モグラ同士が出くわすとどうなるか観察してみると…２匹は出会った瞬間に前足を激しく動かし大ゲンカを開始！両者一歩も譲らずスタッフが引き離すまで闘いは続きました。実は、モグラは大食漢で１日に体重の３分の１のエサを食べないと死んでしまうため、エサを得るための縄張りは絶対に譲れないのです。
さて、土の中で暮らすモグラの運動能力はどれほどなのでしょうか？そこで、行き止まりがたくさんある迷路のような金網のトンネルを用意しました。するとモグラは機敏に動き回り、行き止まりのある四つ角では、まるで車のように、器用に体を切り返してＵターン。さらに、
狭くて体を切り返すことができない場所では…なんとバックを開始！
そこで、１ｍほどの透明な筒でよく観察してみることに。まずは比較のためにネズミで試してみると、行き止まりの場所で身動きが取れなくなってしまいました。次にモグラを筒の中に放してみると、ズンズン進み、行き止まりに着いた次の瞬間すかさずバックをしたのです。
しかもかなりの速さ！そのタイムを計ってみると、なんと前進よりもバックの方が速かったのです。さらに筒を傾けてモグラを下向きにしたところ、なんと
バックをしながら斜面を登ることもできたのです。
実は、モグラの
短い前足は横に付いていて、トンネルの壁を押すようにして移動しているため、前足を逆に動かすだけで簡単にバックができるのです。
モグラは意外な運動能力の持ち主だったのです。
さて、いくら農作物を食べなくても、畑や水田に穴を開け被害を及ぼすモグラはやっぱり厄介者。なにか対策がないものかと調べていると、ある地方に「モグラ叩き」ならぬ「モグラ打ち」という伝統行事を発見！その映像を見てみると、田畑にモグラを寄せ付けないようにと、ワラの束を地面に叩きつけていたのです！でもこれ、本当に意味があるのでしょうか？そこで、人工のトンネルを作り、ハンマー式の肩叩き機を使って上から地面を叩いてみました。まずはネズミをトンネルに入れて試したところ、特に反応はなし。続いて
モグラを入れて上から叩いてみると…モグラは叩いた場所と反対の方向へ一目散に逃げ込んでしまいました。
やはり効果はあるようです。実は、モグラはトンネルの中で体をぴったり地面につけているため振動が伝わりやすいのだそうです。この効果を利用し、よく畑ではペットボトルで作った風車を立て、その振動でモグラを寄せ付けないようにしているのです。
モグラは地面の振動に敏感！モグラを追いやるのには、本当にモグラ叩きは効果的なのだ！
なんと一般的なモグラは１匹で最低でも１００ｍも掘り、この穴も１匹のモグラが作ったそうなのです。そして作業の結果、トンネルは地下およそ１５ｃｍという浅い所にほぼ一直線上に長く続いていくのが分かりました。専門家によると、実はここにモグラにとって生きるための秘密が隠されているというのです。そこで、モグラ１匹が通れる幅５ｃｍの透明なケースに土を入れ、モグラを放してみました。すると、わずか５分で浅い所に一直線のトンネルを完成させました。
しかもかなりの速さ！そのタイムを計ってみると、なんと前進よりもバックの方が速かったのです。さらに筒を傾けてモグラを下向きにしたところ、なんとバックをしながら斜面を登ることもできたのです。実は、モグラの短い前足は横に付いていて、トンネルの壁を押すようにして移動しているため、前足を逆に動かすだけで簡単にバックができるのです。モグラは意外な運動能力の持ち主だったのです。
