戦国時代
劇 間違い探し
第979回 2009年4月4日
今、街には歴女なる戦国武将を愛する女性も現れるほど、
戦国時代
が大ブーム!しかし、私達が映画やドラマで知っている戦国時代は間違いだらけだったのです!
戦国時代といえば、戦場を颯爽と駆け抜ける「騎馬軍団」。しかし、専門家に聞いてみると馬の種類が違うというのです。そこで、矢野さんが戦国時代の軍馬を飼育している牧場を訪ねてみると、そこにいたのは日本在来種の
木曽馬
という、背が低い、短足でズングリムックリしたポニーサイズの馬でした。
なぜ戦国時代にこの馬を使っていたのでしょうか?そこでサラブレッドと木曽馬でスピード&持久力レースを行いました。すると、スタートと共に木曽馬はどんどん遅れをとり、やがて木曽馬の足が止まりレース終了。結果、木曽馬はスピードもスタミナもサラブレッドにはかないませんでした。しかし、木曽馬には、別に秘められた能力があるというのです。なんと
木曽馬は最大傾斜角度30度以上の急な山道をグングン50mも登り、帰りも楽々下ってきました。
一方サラブレッドは、ほとんど登れず、スタート地点からわずか5mでリタイア。下り坂も怖がってよちよち歩きでした。思えば、戦国時代、戦に向かう道のりは斜面やぬかるみなどが当たり前。
木曽馬はこの険しい道を進む能力に優れていたのです。
そもそもサラブレッドは平坦な道を速く走るために改良されたため、斜面などを進むには適していなかったのです。
戦国時代に活躍した馬は、映画に出てくるサラブレッドではなく、険しい道を進める日本在来種の小さな木曽馬だった!
戦国時代の合戦では、馬に乗りながら矢を射るなどの戦いは当たり前。そこで、この2種の馬で「流鏑馬(やぶさめ)」対決をしてみました。普段から両方の馬に乗り慣れた方々に、弓の代わりにボールを的に投げて当ててもらいました、すると、木曽馬は6人中4人が命中したのに、サラブレッドでは6人中1人しか命中しなかったのです。外してしまった理由を聞くと、サラブレッドは反動が大きいのだとか。そこで、それぞれの馬の走りをスローで見てみると、木曽馬はサラブレッドよりも上下の揺れが少なかったのです。実は、サラブレッドは足が長く、大きな歩幅で飛び跳ねるように走るため、上下の揺れが大きいのです。つまり、
木曽馬は走る際の揺れが小さく、馬上での戦いにも優れていたのです。
これだけ優れた木曽馬ですが、やはり見た目のバランスが重要なので、映画やドラマでは使用されないようです。
さて、時代劇でお馴染みの、常に「甲冑」に身を包み、戦いに備える武者たちの姿。しかし、甲冑は戦いの期間いつも着られていたわけではないそうなのです。では、
武者たちは甲冑をいつ着て、いつ脱いでいたのでしょうか?
そこで、普段から防具に身を包んでいる、アメリカンフットボール選手2人に、甲冑を着て合宿に参加してもらい、その様子に密着してみました。戦国時代のものを忠実に再現した20kgの甲冑を身に着け、まずは練習。すると選手達は意外にも、ボールを投げたりキャッチしたり、複雑な動きを難なくこなすことができました。
まるで鉄の塊のような甲冑ですが、実は腕の部分には鎖が縫いこんである布が使われ、袖の部分も収縮するため、自由に腕を動かせる工夫がされています。さらに顔を守る防具も取り外しができ、鼻をかむことや水を飲むこともできました。そして、練習が終わり食事の時間、箸でスムーズにごはんを口に運べましたが、なぜか食が進まず…。話を聞くと、甲冑で圧迫され、食事がのどを通らないんだそうです。実は甲冑は、肩にかかる重さを軽減するために、腰の部分は紐できつく縛られているのです。部屋に帰り、くつろごうとしても、甲冑の胴は鉄板などで隙間なく重ねられているので、ほとんど曲がらず、楽にあぐらもかけません。そしてようやく就寝の時間を迎え、横になってぐっすりと思いきや、甲冑には背中に旗をさす筒状の突起があり、仰向けに寝ることができません。この日、彼らはほとんど寝られないまま実験は終了しました。やはり、甲冑を着ての日常生活は厳しいようです。実は
当時の武者たちは、甲冑のわき腹部分のみをほどいておいて、いざという時に急いで着られるように準備していたのです。
戦国時代の合戦といえば、刀と刀の真剣勝負。しかし、ここにも間違いが!実際に
戦国時代、主に戦いに使われていたのは刀ではなく、槍だったというのです。
しかし長さ3m以上もある槍を扱うのは難しそう。そこで実験!商店街を歩く主婦の方々に、重さや長さを当時と同じように再現した刀と槍で、5つの風船を割ってもらい、そのタイムを競います。まず1人目の奥様は槍では10秒37だったのに、刀では振り上げて下ろすという慣れない動きに戸惑い結果は16秒77。10人のタイムを平均すると、刀よりも槍の方が4秒も早かったのです。実は、
戦国時代は日頃、武芸を磨いていない農民も兵士として戦場に駆り出されたため、訓練を必要とする刀よりも、動きが単純な槍の方が重宝したのです。
これからは、時代劇を見る目もちょっと変わってしまいますね。
合戦の時の武器は、訓練を必要とする刀よりも、農民でも簡単に扱える槍の方が多く使われていたのだ!