ど根性
ガエル
平らな訳
第987回 2009年5月30日
梅雨によく見かける生き物、
カエル
。愛らしいカエルのキャラクターは古くから日本人に人気ですよね。そこで今回は、カエルの驚くべき生態に科学で迫ります!
カエルといえば、輪唱でお馴染みの童謡「カエルのうた」。でも、
カエルって本当に輪唱するのでしょうか?
そこで矢野さんは様々な種類のカエルが生息する田んぼにやってきました。しかし、日中、カエルは輪唱どころか鳴く気配さえなし…。日も暮れ始め、諦めかけたその時、『ゲロッ、ゲロッ』と1匹のカエルが鳴き始めました。すろと、その声を追いかけるようにカエルの鳴き声が増え、暗さがますにつれ声はどんどん大きくなり、ついに本物のカエルの輪唱を聞くことができました。しかしなぜ、カエルは輪唱するのでしょうか?専門家によると、
実は基本的にカエルはオスしか鳴かず、オスはメスの気を引くためにアピールしているのだそうです。
つまり、1匹のオスが鳴いてメスにアピールし始めると、周りにいたオスも負けじと大きな鳴き声で自分の存在をアピールします。こうしてカエルの輪唱が生まれるのです。
カエルのオスは、メスにアピールするために次々に鳴き出す。そのアピール合戦がカエルの輪唱なのだ!
今大人気のアニメのカエルキャラと言えば…「ケロロ軍曹」。実は、ケロロ軍曹の特技は水泳で、恐るべきスピードで泳げるという設定なんですが、実際のカエルは速く泳ぐことが出来るんでしょうか?そこで大実験!
人工的に水の流れを起こす水槽で流れのスピードを上げ、カエルはどの速さまで逆らって泳げるのかを確かめます。
まずは、カエルVS水中昆虫の王者「ゲンゴロウ」!ゲンゴロウは最初の秒速10cmの流れではゴールラインを通過しクリアしましたが、秒速15cmにスピードアップしたところ、流れに押し戻されアウトになってしまいました。しかし一方のカエルは秒速15cmを軽々クリアし圧勝!次の相手は淡水魚界のアイドル「金魚」。金魚は秒速25cmでアウトになりましたが、カエルはクリアし2連勝。いよいよ最後は本命、川魚の王様コイと対決です!
秒速30cmに挑戦したところ両者とも見事に泳ぎ切りましたが、秒速35cmになると今度は両者とも流されてしまい、結果は引き分け。
カエルがコイに負けない速さで泳げる秘密を探るため、ハイスピードカメラでその泳ぎをチェックしてみると、なんと前足を全く使わず、後ろ足だけで泳いでいたのです。実は、
カエルは後ろ足の筋肉だけで全体重の4分の1を占めています。
あのサラブレッドでも後ろ足の筋肉は全体重の5分の1程度。速さの秘密は発達した後ろ足にあったのです。
両生類のカエルは皮膚が柔らかく、防御力が低いので、天敵から逃げる術として驚異のジャンプ力や泳ぐ力を身につけたのです。
さて、昭和を代表するカエルキャラクターといえば、アニメ「ど根性ガエル」のピョン吉。倒れてきたヒロシの下敷きになった弾みで、なぜかTシャツに張りつき「平面ガエル」になってしまったピョン吉ですが、なぜ平面ガエルとなってしまったんでしょう?
矢野さんが夜の日比谷公園でそのモデルとなったカエルを探してみると、なんと次から次へとカエルが見つかり、わずか10分に17匹も捕まえることができたのです。しかし、カエルは天敵から逃げるため、強力なジャンプ力を持っているはずなのに、全くジャンプしようともせずの〜んびり。そこで実験!このカエルと、カメの足の速さ対決です。ゴール地点に彼らがすみかとする、湿った土と葉っぱを用意した長さ3mのコースでスタート!その結果…なんとカメの圧勝!
のろまなカメよりも遅かったこのカエル、実は
ヒキガエル
で、日本の中では割と大きくなるタイプのカエルで、その体格も全身ブヨブヨで後ろ足も短かくジャンプできそうにありません。実は、これこそが平面ガエルのモデルとなった理由なのです。都会のヒキガエルは、すみかとしている公園を出て、川や池などの水場に向かって長い距離を移動する習性があります。つまり、
ピョン吉は動きが鈍いため逃げ切れずヒロシにつぶされてしまったヒキガエルだったのです!?
さらに、ヒキガエルがピョン吉である証拠がもう一つありました。ヒキガエルとヤマメの死がいを河原に並べて放置し、観察してみます。すると、カラスがやってきて、ヤマメだけを加えて飛び去っていったのです。実は、
ヒキガエルの耳の裏側には、天敵から襲われた時に毒を出す器官があります。
つまり、死んでいても毒があるので、他の動物はヒキガエルを食べません。だからいつまでも道路の上に残ったままで、人間の目に付きやすいのです。ど根性ガエルの作者もこんなヒキガエルの姿を見て平面ガエルのピョン吉を思いついたのかもしれませんね。
ど根性ガエルの『ピョン吉』のモデルとなったのは、動きが鈍いため、路上でよく見られるヒキガエルだった!?