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家で簡単 天然ガス 堀り
第988回 2009年6月6日


 料理にお風呂に暖房に、私たちの生活に欠かせないエネルギー、ガス。今回は、環境に優しい次世代のエネルギーとしても注目されているガスを科学します。

 実は資源が乏しいと言われるこの日本にも天然のガスがあるというので、佐藤アナは千葉県の川を訪れました。すると、川の水面や近くの水田からブクブクとガスの泡が出ていたのです。でもこれ、本当に燃料として使えるのでしょうか?試しに川からわき出すガスを集めて、火をつけてみると、見事に燃えました。さらに、500mlの水を、天然ガスの炎にかけると、およそ20分で沸騰!実はこのガスの正体は、私たちが使っている都市ガスと同じメタンと呼ばれるのもの。このガスは都市ガスの代わりになるのでしょうか?庭にあるガスの井戸そこであるお宅にお邪魔してみると、裏庭の地下30mほどの深さの井戸から地下水と一緒に勢いよくガスが吹き出していました。この家の方は井戸からホースを使って家までガスを引き、普通の都市ガスのようにガスコンロや暖房用のストーブなどの全てを、この天然ガスで賄っているそうです。
 実は、千葉県を中心に東京や神奈川の地下には大規模な南関東ガス田が広がっています。ガスは、地層の中を流れる地下水に溶けこんでいるため、地下水が地上に出てくると、ガスが分離して気体になって湧き出すのです。

所さんのポイント
ポイント1
千葉、東京、神奈川の地下には巨大な南関東ガス田が広がっているのだ!

 この天然ガスをカセットコンロのようにボンベに詰め持ち帰ることはできないのでしょうか?そこで、カセットボンベとほぼ同じ大きさの三角フラスコに川から湧き出でる天然ガスを詰め込み、点火してみると…たった47秒で燃え尽きてしまいました。実は、長持ちする通常のカセットボンベにはメタンガスとは違うブタンガスというガスを気体より容積の小さい液体におよそ250倍も圧縮して詰めこまれているのです。ならば、天然のメタンガスも液体にしたいところですが、メタンガスは常温でも簡単に液体にできるブタンガスとは違い、−162℃以下の超低温でないと液化しないのです。実際にメタンガスは産出国で超低温により液体にされ専用の巨大タンカーで運ばれています。そしてそのまま巨大なタンクに液体のまま貯蔵されているため、液体にして持ち運ぶのはかなり難しいようです。

注射器の先で燃えるおなら  さて、私たちの身近なガスといえば「おなら」!おならを集めて燃料にできるのでしょうか?そこで実験!若者たちにサツマイモをたっぷりと食べてもらいスタンバイ。おならがしたくなったらプールの中で、ビニール袋におならを入れそれぞれを注射器で吸い取ります。そして、採取できた4人分のおならを注射器の先から少しずつ押し出し、火に近づけてみると…なんと、4人分のおならは少しも燃えなかったのです。そこで、さらに10人の方に協力してもらい再チャレンジ!するとようやく1人の方のおならだけが青い炎で燃えたのです。 
 そこで、このおならの成分を分析したところ、やはりメタンが含まれていました。実は、腸の中にメタンガスを発生させるメタン菌を持つ人がいて、日本人でメタン菌を持っている人はおよそ10人に1人の割合だそうです。そして、メタン菌を持っているかどうかは、口からの息を採取すれば特殊な装置でチェックできます。試しにスタジオで所さんの呼気を調べてみると、メタンは検出されず、所さんはおならが燃えない人と判明しました。ちなみにメタン菌がなくても水素をたくさん持っている人のおならも燃えるそうです。ただし、爆発の危険があるので、ヒトのおならを燃料に利用するのは難しいようです。

所さんのポイント
ポイント2
メタンガスを含んだ、燃えるおならが出る人は、日本人のおよそ10人に1人の割合で存在するのだ!

 さて、人間はあまり持たないメタン菌ですが、草食動物なら必ず多く持っているというので、牧場でメタンガス検知器を使って、動物たちの吐く息に含まれるメタンガスの量を調べてみることに。まずはウマの呼気を計測してみると、その数値は29。続いてのヒツジは421となかなかの量。しかし、最後に調べたウシの数値はなんと1328とダントツでした。実は、体の大きいウシは大量の草を食べ、4つある胃の中で微生物の力をかりて繊維質を分解しています。メタン菌はそこで発生する大好物の水素を取り込み、メタンガスをどんどん作り出していくのです。しかし、牛の場合は腸ではなく胃の中にメタン菌が生息しているので、ゲップとしてメタンガスを排出します。ならば、ウシのゲップを集めれば燃料にできるかも?そこで矢野さんは牛舎でウシのゲップを集めようとしたのですが、ひたすら待てども、なかなかウシはゲップをせず、吐き出す瞬間にも立ち会うことができず、あえなく断念。しかし、ウシが持っている大量のメタン菌を利用してメタンガスを実用化している施設があったのです。ウシのフンをろ過して、発酵槽に入れ、あとはウシの体温と同じ36度に保つだけでメタンガスが発生するそうです。この施設では、こうして採取したメタンガスを燃料にして車を走らせていました。もしかしたら、これからの日本を救うのはウシのフンかも知れませんね。



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