鶏
産み立て(秘)殻なし卵
第994回 2009年7月18日
いよいよ9月に放送1000回を迎える目がテン!お祝いのケーキを、科学の力で一から作るために北海道に立ち上げた
目がテン牧場
。この春からは卵からニワトリを育て、ケーキ用の卵を手に入れる計画がスタートしています。
スタッフがお腹で21日間温め続け、見事卵から無事に孵ったメスの「ヒヨ子」「ヒヨ世」と、オスの「ヒヨ夫」。しかし、3羽はピヨピヨと一向に鳴きやまみません。ひょっとしてお腹がすいているのでは?ということで人間が食べるお弁当やおやつを与えてみました。すると…キュウリ、甘いお団子、さらにはなんと酸っぱい梅干に、辛いキムチもたいらげてしまいました。
実はニワトリは雑食性で、穀物から肉、野菜、どんなものでも食べるため、家畜として飼いやすく世界中に広まったのです。
そして矢野さんは養鶏場にならい、目がテン牧場で牛用のエサとして収穫したタンパク質たっぷりのトウモロコシと、大豆を加えた特製のエサを与えました。しかし、3羽は食べた後、お互いのお腹の下に潜り込もうとしたり、震えだしたりと、不思議な行動をとり始めたのです。参考のために、ニワトリの仲間・チャボの親子を観察してみると、ヒヨコが次々と親鳥のお腹の下へと潜り込んでいきました。親鳥のお腹の下の温度は37.2℃。実はヒヨコ達はとっても寒がりで、16℃の牧場小屋はヒヨコには寒すぎたようです。ヒヨコには毛が生えているように見えても、まだ産毛。お母さんニワトリのぬくもりが必要なのです。そこで、ヒヨコたちは、電球を暖房代わりに利用した、室温37℃の新しい小屋にお引越し。
さて、
ヒヨコが誕生してから2週間。なんと、ヒヨコはこの時期にクチバシを切らないといけないというのです。
実は、そのままニワトリになってしまったら、縄張り争いの際につつき合って傷つける恐れがあるため、専用の機械で安全にクチバシの先端部分を焼き切っておくそうです。
そして誕生から2ヶ月、ヒヨコ達は大きくなり、羽根もフサフサになってきました。ところが、ある時3羽が小屋でハァハァと激しい息づかいをし始めたのです。実は、ニワトリは成長とともに、羽の量が増え、そこに空気を溜め込むため、寒さに強く、暑さには弱くなるんです。そこで、新たに大きな鶏小屋を作ることに。夏の暑さ対策のため、風通しの良い金網で囲い、さらに天敵であるキタキツネ対策として、夜の間は小屋全体を厚い板で360度囲み、がっちりガードします。実際に夜中まで観察していると、やはりキタキツネがやってきて、ニワトリを襲おうとウロウロし始めましたが、厚い板のおかげで、最後は諦めて退散しました。
そして誕生から3ヶ月、3羽のニワトリにもオスメスの違いがはっきりと出てきました。オスのヒヨ夫はトサカが大きくなりましたが、このトサカ、一体どんな意味があるのでしょうか?そこでヒヨ夫と、
ヒヨ夫よりトサカが大きなオスのニワトリ、通称デカ夫を同じゲージに入れてみると…デカ夫はヒヨ夫を攻撃し、追い出したのです。
そこで秘密兵器!
負けたヒヨ夫に、デカ夫より大きな偽トサカを付け、スーパーヒヨ夫に変身させました。すると、デカ夫はヒヨ夫に一切攻撃をしなくなったのです。
ならば、ヒヨ夫のトサカを見たことのない色に変えるとどうなるのでしょう?まずは青のトサカで挑むと、デカ夫はヒヨ夫に攻撃!次は。緑トサカで挑みますが、またしてもヒヨ夫は攻撃され、最後は豪華な金色トサカをつけてもヒヨ夫はあっという間に追い出されてしまいました。どうやら色は赤でないと意味がないようです。
トサカが大きく赤いのが、強いオスの証だったのです。
オスのニワトリのトサカは、赤くて大きいほど、強いオスの象徴となるのだ!
そして誕生から128日後、ついにニワトリ達は待望の卵を産みました!
しかし、生まれたのはプニプニの、殻が柔らかい異様な卵だったのです
。
慌てて専門家に伺うと、なんと、ニワトリに貝殻を与えろというのです。そもそもニワトリは産卵期を迎えるとホルモンの分泌よりまず卵黄が作られ、この卵黄が移動していき、卵白が作られ、さらに卵白の周りにうす皮が出来ます。そして、この周りに硬い殻が出来て外に出てきたのが卵なんです。この
殻の素になるカルシウムが足りないと硬い殻が出来ず、うす皮のまま出てきてしまうのです。
そこで矢野さんは、加工所で分けてもらった、カルシウムをたっぷり含んだホタテの貝殻を細かく砕いてエサに混ぜてやりました。これは品種改良された年間約200個もの卵を産むニワトリには必要不可欠な作業なのです。そして、133日目の朝。ついに牧場に立派な卵が産み落とされました。その味は、卵をご飯にかけて試食した所さんも太鼓判!ケーキの完成も間もなく近付いてきたようです!
大量に卵を産むように品種改良されたニワトリは、エサにカルシウムを加えないと、硬い殻のないプヨプヨの卵を産んでしまうのだ!