渡部陽一
の話が遅い訳
第1064回 2010年12月25日
間もなく終わりを迎える2010年。そこで、今回は2010年特別編!Wコロンのねづっちをゲストに迎え、
2010年、ブレイクした人
に科学で迫ります!
①ねづっちは、なぜ速くてうまい謎かけができるのか?
あっという間に謎かけを作り、今年大ブレイクしたWコロンのねづっち。まずは、その謎かけのスピードを計ってみることに。「現代用語の基礎知識」から、ランダムに開いたページの先頭にある単語をお題として出題します。
最初に普通の状態でお題を出してみると、3回の平均タイムは2秒95。でも、実験はここからが本番!どんな極限の状況にあっても、この驚異的なスピードで謎かけができるのでしょうか?
まずは電車が走る高架下と同じレベルの大音量をヘッドホンから流し、フリップでお題を出します。
すると…3回の平均タイムは3秒60。騒音はさほど影響がないようです。続いては、ちょっとHな3D映像が流れるサングラス型モニターを装着し、お題を出してみると…3回の平均タイムは13秒43と大幅ダウン!お次はマイナス30℃の冷凍倉庫の中でお題を出すと…3回の平均タイムは11秒24。極寒の中では力を発揮できないようです。
最後は、厳重な安全装置をつけ、40mのビルの屋上に寝そべり、顔を下に向けた状態で、恐怖の謎かけに挑んでもらいます。すると…3回の平均タイムは13秒30と、かなり時間がかかってしまいました。
どうしてシチュエーションによって大きな時間差が生まれたのでしょう?実はこの実験、
大音量では聞覚、冷凍倉庫では皮膚感覚、Hな映像とビルの屋上は視覚と、それぞれの感覚に刺激を与えた状態でスピードがどう変わるかを検証していたんです。
結果を見ると、Hな映像とビルの屋上の、視覚に刺激を与えた状態は、特に時間がかかりました。そこで、その理由を探るため、ねづっちが謎かけをする時の脳波を一般男性の脳波と比べてみます。すると…一般の男性は謎解きを考えている間、主に言語をつかさどる左脳だけが活発に活動していることがわかりました。一方ねづっちは、お題が出た瞬間、左脳と右脳が同時に激しく活動していたのです。理由を専門家に伺うと、
ねづっちはイメージや映像をつかさどる右脳も使っているため速いスピードで言葉を作り出すことができるそうです。だから、視覚に強い刺激を与えると、右脳でイメージする事が邪魔され、遅くなったと考えられるそうです。
ちなみに、冷凍倉庫でも遅かったのは、極寒のおかげで、脳全体の働きが低下してしまったためだそうです。
ねづっちは、お題が出た瞬間、左脳と右脳を同時に使っているため、すごい速さで謎かけができるのだ!
②戦場カメラマン・渡部陽一の喋り方はなぜゆっくりなのか?
今年もう一人ブレイクした人といえば、戦場カメラマンとして世界中を飛び回る渡部陽一さん。独特な、ゆっくりとした喋り方が人気を呼び、テレビに引っ張りだこの渡部さんですが、一体どれほどゆっくりなのかを知るために、AKB48のヒット曲の歌詞を読んでもらいました。比較のため、一般の方10人に同じ歌詞を読んでもらったところ、平均タイムは1分01秒でした。そして、渡部さんのタイムは…なんと2分32秒!一般の2.5倍も遅かったのです。一体なぜこんなにもゆっくりとした喋り方なんでしょうか?ご本人に伺ってみると、
外国など言葉が通じない地域で、単語を正確にわかりやすくハッキリ伝えると、相手が理解してくれるからだそうです。
ならば、渡部さんの喋り方がどれぐらいわかりやすいのか、こんな実験!涙を誘うショートストーリーを集めた本を渡部さんに朗読してもらい、5人ずつ2つのグループに分かれた一般の男女計10名にヘッドホンで聞いてもらいます。
まずは最初のグループに比較のため、普通の人が読んだ物語を聞いてもらったところ、なんと5人中3人も泣いてしまいました。そして、もう1つのグループに渡部さんの朗読を聞いてもらうと…なぜか5人中泣いたのは1人だけ。念のため、先ほど3人が泣いた最初のグループに、渡部さんが読む他の物語を聞いてもらうと…なんと5人全員が泣かずじまい!そして今度は逆に渡部さんが読んで1人しか泣かなかったグループに、普通に読んだ物語を聞いてもらうと…なんと5人中4人が泣いてしまったのです。
2つの実験を合わせた結果、普通に読んだ場合は10人中7人が泣いたのに対し、渡部さんが読んだ場合はたったの1人しか泣かないという意外な結果に!この理由を専門家に伺うと、渡部さんは間をたっぷりとってゆっくり喋るため、間が空くごとに聞き手の感情の高まりが落ちてしまうためと考えられるそうです。
ところが、実験の後、物語の内容を覚えているか、10人にテストをした結果、普通に読んだ場合は10点満点中、平均4.2点なのに対し、渡部さんが読んだ場合は平均6・4点の好成績でした。
渡部さんの間の置いたゆっくりとした喋り方は、感動こそ伝わりにくいものの、正確に内容を伝える力を持っていたのです。
渡部陽一さんのゆっくりとした喋り方は、聞き手に、より正確に内容を伝えることができるのだ!