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猛暑に勝つ 無料快適術
第1088回 2011年6月25日


 もうすぐ暑い夏の到来!しかし、今年は節電…あまりエアコンも使えません。そこで今回は、街で多く聞かれた「夏を涼しく過ごす方法」の効果を徹底検証します!

①怪談を聞く
 暑い江戸の夏に、涼しくなると人気だったという、こわ〜い怪談。そこで、怪談話がお得意の落語家、林家綿平師匠に協力していただき実験です!8人の若者をA・Bの2チームにわけ、室温27℃の部屋で、まずはAチームに普通の落語を聞いてもらいます。そして、皆さんが落語を楽しんでいる最中に、突然、「今の室温を何℃に感じているか」を答えてもらいます。もちろん室温は秘密。すると…ほぼ全員が27℃前後と、実際の室温と同じ回答でした。続いて、Bチームには日本三大怪談噺「牡丹灯籠」を聞いてもらい、恐怖の表情になったところで、同じ質問。すると…全員が「27℃より低い」と回答。平均で4℃以上涼しく感じたようです。今度は、Aチームには怪談、Bチームには普通の落語と、チームを入れ替えて同じ質問をすると、Bチームはほぼ室温、Aチームは室温より平均3℃以上涼しく感じたと、回答も入れ替わりました。この理由を専門家に聞くと…「ヒトは恐怖で緊張すると、毛細血管が収縮し、血液が流れにくくなり、その結果、体表面温度が下がり、涼しく感じる」そうなのです。そこで、怪談を聞いている間の、手の表面温度を測定してみると、怪談を聞くうちに徐々に冷えていき、最も怖い場面では、平均で約3℃も下がっていました。まさに「血の気が引いた」状態!ヒトは恐怖を危機だと感じ、体表面から体の中心に血液を集め、身構えた状態になるので、涼しく感じるようです。つまり、怪談は冷涼効果あり!

②かき氷を食べる
カキ氷 食前食後 サーモ2面比較  夏、涼しくなりたい時に食べる物といえばカキ氷。では、どれほど涼しくなるのでしょうか?そこで、常夏の「東京サマーランド」で実験!約35℃という温度の中、水着姿の男性2人に、15秒に1回、スプーンで1口のペースで、計2杯のかき氷を食べてもらいます。そして12分後、2人は頭痛と闘いながら2杯を食べ切り、実験終了。ところが…2人は涼しくなったどころか、「身体が温かくなった」と言います!そこで、かき氷を食べている時の体表面温度を見てみると…2人の体表面は、口の周り以外は、食べるほど上昇し、食べ終わりでは約2℃も上がっていたのです!
 この理由を専門家に伺うと…「かき氷で喉や口の周辺が急激に冷やされたことで、身体が体温の低下を感じとり、体温を上げようとして血流を良くしたため」と考えられるそうです。先ほどの怪談は、血液を身体の中心に集め、身構えている状態でしたが、かき氷の刺激では、身体はもはや「危険」と感じ、体表面の血流量が増加させたのです。つまり、かき氷は素早く大量に食べると、逆に暑くなってしまうのです。

所さんのポイント
ポイント1
かき氷を一気に食べると、その刺激を身体が危険と感じ、体温を上げようとするため、かえって暑くなってしまうのだ!

③裸で寝る
 夏は裸に近い格好で寝る方も多いようですが、その効果は?そこで実験!2人の男性のうち1人はパジャマ姿、もう1人はパンツ一枚のほぼ裸で、それぞれ室温30℃、湿度60%に設定した、熱帯夜状態の部屋に入ってもらいます。そして、ベッドにタオルケットをかけて横たわってもらい、温度表示が隠してあるリモコンで、5分毎に1回、温度を下げてもいいという条件で、1時間で何℃下げるのかを調べます。その結果…パジャマの男性は1℃下げただけなのに、裸の男性はぐんぐん温度を下げ、最後は23℃にまで下げたのです!念のため、パジャマと裸の男性が入れ替わり同じ実験を行うと…やはり裸の男性は、24℃まで室温を下げました。感想を聞いていみると…「裸のほうがジトッとする」とのこと。そこで、実験直後に脇の下を測定してみると、パジャマは湿度約64%だったのに対し、裸の方は湿度約86%もありました。この理由を専門家に伺うと…「裸はかいた汗が蒸発してタオルケット内の湿度が上昇する一方、パジャマは汗を吸い取ってくれるので、蒸発が少なく、湿度も上がりにくい」そうです。つまり、風の無い蒸し暑い夜に、涼しく寝るためには、裸で寝るのは逆効果なのです。

④打ち水をする
 最近ブームの、道路への打ち水。街行く人に聞いてみると…皆さんは「水が蒸発し、空気の熱を奪うから、打ち水は気温が下がる」と答えました。そこで、野外の環境が再現できる全天候室で実験!太陽光に近い特殊な照明の下にアスファルトを敷き詰め、扇風機で弱い風を送り、野外の道路に似た環境を作ります。そして、3人の男性に目隠しと耳栓を装着し、どこにいるか分からないようにして、普通のアスファルトと、すぐ隣にある、10リットルの打ち水をしたアスファルトの上で、それぞれ室温を何度に感じるか尋ねると…3人とも打ち水をした方が、平均で2℃低く感じたのです。打ち水 ありとなし比較 5分後20℃下がる実際はどれほど室温が下がるのか、アスファルトを入れ替え、普通の状態と、打ち水した時の温度を、路面から高さ60cmに設置した温度計で比較してみると…なんと5分経っても温度に変化はなかったのです。理由を専門家に伺うと…「打ち水で道路上の気温は下がらないが、路面温度が下がり、地面から伝わってくる熱が減ったため、体感温度が下がった」そうです。そこで、路面の表面温度を特殊カメラで見てみると、打ち水前は約60℃でしたが、打ち水をした途端急激に冷え、5分後でも部分的に約20℃も冷えました。体感温度を下げる打ち水は効果ありです!

所さんのポイント
ポイント2
打ち水では、気温はほとんど下がらないが、路面の温度が冷えるため、体感温度が下がり、涼しく感じるのだ!




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