間違いだらけの
節電法
第1089回 2011年7月2日
間もなく夏本番!しかし、今年の夏は一般家庭でも15%の「節電」が要請されています。そこで今回は、
「目がテンエコ研究所・第2弾 節電編」
として、夏場ピーク時の消費電力ワースト3の「エアコン」、「冷蔵庫」、「テレビ」の節電法を徹底検証!
①エアコンの「冷房」と「除湿」、どっちがエコ?
猛暑を乗り切るには欠かせないエアコン。街行く人に、「除湿」と「冷房」どちらが節電になると思うか尋ねると…30人中25人もの人が、湿気だけを取る「除湿」と回答。そこで、大型人工気象室を、蒸し暑い真夏の気温32℃、湿度70%に設定して実験です!
中にある建物に最新のエアコンを設置し、28℃と26℃の冷房をかけ、2時間の積算消費電力を測定すると…28℃は390Wh(ワットアワー)、26℃は606Whもかかってしまいました。
続いて、室内の環境を戻し、2時間除湿してみると…なんと、消費電力は708Wh。26℃の冷房を大きく上回るという結果に!
試しに他のメーカーのエアコンでも実験してみても、同様の結果でした。この理由を専門家に伺うと…
「冷房は空気を冷やすと同時に水分を取り除き、湿度も下げているのに対し、除湿は冷房と同じ方式で湿度だけを下げ、さらに、冷えた空気を暖め直しているので、消費電力が多くなる」のだそうです。(※一部の古い機種を除く)
そしてもう1つ、冷房の場合、一旦室温が下がると、その後の消費電力は減りますが、除湿の場合、消費電力は高いまま。これは、湿度よりも、温度を下げる方が簡単なためだそうです。つまり、除湿よりも、冷房の方がエコだったのです。
最新エアコンの除湿機能は、空気を冷やし、湿気を取り除いた後に、もう一度暖め直した空気を放出するので、冷房のほうがエコなのだ!!
②冷蔵庫内に取り付ける「ビニールカーテン」は節電になる?
今注目の節電アイテム、冷蔵庫内のビニールカーテン。街で尋ねると、30人中28人が「ビニールカーテンありのほうが節電になると思う」と回答。冷気を閉じ込めるので、効果があると思っている方が多いようです。では実際はどうなのでしょう?そこで、主婦の方2人に協力してもらい実験です!スタッフが一般的な冷蔵庫に60品目の食品を詰め10分間待ち、主婦の方には1分間に1品目ずつ発表されるお題の食品を取り出してもらい、計60回の開閉で消費する電力を測定します。まずはカーテンなしから実験スタート。すると…消費電力は134Whでした。
続いてビニールカーテンありの状態で、お題をシャッフルし、同じ実験を行うと…消費電力は154Wh!なんと、カーテンありの方が電力を多く使うという結果に。
2人目の主婦の方も、ビニールカーテンありの方が11Wh多く消費。なぜ逆効果になってしまったのでしょう?
専門家に伺うと…
「ビニールカーテンを付けることで中が見えにくくなり、取り出す時にも邪魔となり、開閉時間が長くなったためと考えられる」そうです。実際に1時間の実験中、冷蔵庫の開閉時間は、カーテンなしでは9分2秒だったのに対し、カーテンありの場合は11分32秒と、2分30秒も長くなっていたのです。
冷蔵庫内の整理整頓をきちんとして、なるべく開閉時間を短くしなくては、カーテンのためにかえって開閉時間が延びて、消費電力が上がってしまう可能性があるのです。
さらに専門家は、「ビニールカーテンにはドアポケットに収納した食品に影響を与える可能性がある」と、さらなる弱点を指摘。そこで実験!一般のお宅の冷蔵庫にビニールカーテンを設置させてもらい、佐藤アナが飲みかけた牛乳の入った、2つのコップにラップをかけ、冷蔵庫内とドアポケットにそれぞれ6日間放置。お宅の方には普通に冷蔵庫を使用してもらい、6日後、2つの牛乳のニオイを嗅いでみると…ドアポケットの牛乳にだけ、異臭が発生していたのです。
理由を専門家に伺うと…「ビニールカーテンでドアポケットに冷気が届かなくなり、温度が上がってしまい痛んでしまったと考えられる」そうです。実際に、ビニールカーテンを付けた冷蔵庫を10分経ったら1分ずつ扉を開け、庫内とドアポケットの温度を計測してみると、確かにドアポケットは、庫内よりも高めの温度になっていました。
ただし、スーパーなどの業務用冷蔵庫など、開けっ放しの場合には効果があるそうで、家庭でビニールカーテンを使う場合には、できるだけドアポケットは使わずに、さらに日頃から庫内を整理整頓し、中身を素早く取り出せるようにしておくのがオススメです。
③テレビの待機電力は、主電源を切ったほうが少なくなるの?
街行く人に、テレビは主電源とリモコン、どちらで消した方が節電になると思うか尋ねたところ、30人中29人が、「主電源」と回答。そこで、
テレビを主電源とリモコンでオフにして、24時間の待機電力を比べると…どちらも消費電力はゼロ。他のメーカーでも結果は同じでした。理由を専門家に伺うと…「今のテレビの待機電力は、LEDランプや一部の電気回路に、計測不能なほどわずかしか使われない」のだそうです。
実は、テレビに待機電力がかかるというイメージは、ブラウン管時代の名残!試しに、88年製のブラウン管テレビを使って、リモコンオフで待機電力を計測してみると、1時間で2Whもかかりました。これは、すぐ点くようにヒーターを暖めているためだそうで、主電源を切った状態からだと、ブラウン管は点くのに時間がかかってしまいました。しかし、テレビ以外のオーディオやDVDプレーヤーなどは待機電力が多い場合があるので、節電のためには主電源からオフにしましょう。
ブラウン管を使わない最近のテレビは、スイッチを主電源で切っても、リモコンで切っても、待機電力は、ほぼゼロなのだ!