知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


空腹の科学
第1169回 2013年3月16日


 『なぜお腹は鳴るのか?』その仕組みを徹底解明!『おなかの音の止め方』『物を食べずに空腹を紛らわす方法』を検証!さらに先日ニュースで発表された『空腹時に記憶力がUPするという説は本当なのか?』を実験しました。今回の目がテンは、みんなが悩む空腹の科学です!

①食後何時間でお腹は鳴る?

 お腹がよく鳴るという健康な男女に協力してもらい実験!午前9時、2人同時に和定食を食べてもらい、その後、水以外は口にするのを我慢してもらいました。すると実験から6時間後の午後3時、先に男性のお腹が鳴りました。女性は実験開始から7時間後の4時12分に「ぐ〜〜」。そもそも空腹とはどういう状態なのかと言うと、「ご飯」を食べると血液の中の「ブドウ糖」が増え、それが脳に伝わって「満腹」と感じます。しかし、食後3〜4時間たって消化が進んでくると血糖値は低下し、今度は体内の脂肪を分解しはじめます。この時、出来るのが「遊離脂肪酸」。遊離脂肪酸が増えると、「空腹」を感じるんだそうです。

 それでは、一体なぜお腹が鳴るんでしょうか?専門家によると、お腹が鳴るのは6時間から8時間後に起こる「空腹期収縮」と呼ばれる時だそうです。食べ物が腸に送られ、胃が空っぽになると十二指腸からモチリンというホルモンが分泌され、胃壁がリングのような状態になり収縮。入口から出口に向かって大きく波打つのです。この動きによって空気が移動し音が鳴ると考えられています。つまり、ブドウ糖を摂れば空腹時に分泌されるモチリンを制御することができるというのです。
 それでは、ブドウ糖を摂るとお腹の音は止まるんでしょうか?先ほど実験に協力してもらった女性で翌日再実験!前日お腹が鳴り始めた30分前にアメを舐めてもらった結果…、前日お腹が鳴り始めた4時12分になってもお腹は鳴らず、前日より1時間20分を超えたところでようやくお腹が鳴りました。あめ玉以外にも、糖分を含むジュースなどでも効果があるそうです。女性によるとあめ玉を舐めた後、空腹が和らいだとのこと。
 ちなみに、「空腹期収縮」で音が鳴るのにはあまり意味はありませんが、この時の胃や小腸の動きで残った食べカスなどを体の外へと排出する、いわば「胃腸のお掃除」があるそうです。

所さんのポイント
ポイント1
お腹が鳴るのは決して悪いことではない!胃腸の掃除中だったのだ!

②空腹で記憶力UPは本当か?

 先日「空腹状態のほうが記憶力がアップする」という報道がありました。でも、これハエでの実験。人間だとどうなんでしょうか?記憶力にも自信があるという東大料理愛好会の10人に協力してもらいました。昼の12時、一斉に同じメニューのお昼ご飯を食べてもらい、満腹状態で実験開始!全員にランダムな30の単語を、1つにつき10秒ずつ見せ覚えてもらい、そして、別の作業をしても記憶に残っているかを調べるため、60まで声を出して数えてもらいます。さあ、30の単語のうち、どのくらい覚えているんでしょうか?その結果…満腹の時、一番成績の良かった人は27覚えていました。10人の平均は22.5。その後10人には、自由に過ごしてもらいます。ただし、水以外の飲食は厳禁!そして3時間半後、今度は満腹でも空腹でもない状態で単語を変えてテスト。その結果…10人の平均は20.9。満腹の時より下がってしまいました。そして、満腹の状態から7時間後、全員ハラペコ状態で3回目のテスト。別の30の単語を覚えてもらった結果…満腹の時一番成績の悪かった男性が+5。満腹の時よりもアップした人が8人。平均は24.5!なんと、空腹のほうが、満腹の時よりも成績がよくなっていたんです。専門家によると、ショウジョウバエの研究では極度に腹が減ると記憶力は悪くなったそうですが、中ぐらいの空腹だと、餌が少なく生存の危機が迫りつつある状態なので、どういうところに餌があったかを覚え探すようにする。こういった学習・記憶の能力を、最大限に発揮するという仕組みが備わってきたのではないか?とのことでした。

所さんのポイント
ポイント2
勉強中、少しお腹がすいてきた時は、ちょっとだけ我慢すれば記憶力はアップするかも知れないのだ!

③食べずに空腹を紛らわす方法!

 空腹をちょっとでも紛らわせたい時の方法を検証しました!最初のキーワードは「アドレナリン」。専門家によると、アドレナリンは血糖値を上げる作用があるので空腹感を紛らわせることができるんだそうです。怒ったり、大声を出したりしてもアドレナリンは分泌されます。ならば『大声を出して』実験!お腹が減っている10人に大声で叫んでもらいました。その結果…10人中8人が、大声は空腹を紛らわすのに効果ありと判定。
 つづいてのキーワードは「ヒスタミン」。専門家によると、ものを噛むという動作で、脳の中でヒスタミンという物質が増え、満腹中枢を刺激し空腹を紛らわすことができというのです。そこでお腹が減っている10人に、『3分間、割り箸を奥歯で強く噛んでもらい』実験!その結果…効果なしと判定したのは1人だけ。
 次のキーワードは「擬似感覚」。専門家によると、歯磨きと食事というのは共通点があり、刺激と味覚によって食事をした疑似感覚を得ることができ、新たな食欲を感じなくなるという効果があるんだそうです。そこで、お腹が減っている10人に『3分間、歯磨きをしてもらい』実験!結果…歯磨きが、空腹に効果ありと判定したのは6人でした。
 ちなみに10分後にも効果を聞いてみると、歯磨きは空腹を紛らわす持続性がありましたが、大声と割り箸を噛むのは、数分に限り効果がありました。

所さんのポイント
ポイント3
小腹を紛らわすには、歯磨きが長持ちするのだ!




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