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鎌倉 の科学
第1179回 2013年5月26日


 鎌倉の年間観光客数は8年連続1800万人超え!沖縄に比べ3倍以上の方が訪れています。人気の理由は、歴史情緒あふれる町並みと山々に囲まれ海ものぞめる自然豊かな風景など。でも、何故この街がこれほど人気なのでしょう?その秘密を徹底調査しました!

①鎌倉が発展した理由…独自の地形に秘密があった!

 山間に佇む歴史情緒あふれる景色。そして雄大な海が広がる最高のロケーション。実はこの山アリ海アリの地形が、鎌倉が発展した理由の一つなんだとか。
 鎌倉は一方を海、三方を山に囲まれた土地で敵からの攻撃を受けにくい地形。源頼朝は、その要塞とも言うべき地形に着目し幕府を開いたと言われています。鎌倉時代、街に入るために山の一部を切り開いて作られた通路「切り通し」が今も鎌倉にたくさん残っており、この独特な地形こそ、鎌倉人気の理由の一つなんだとか。専門家によると、「切り通し」で見える景色が制限されると、額縁効果により視覚が安定し印象に残りやすくなるという。額縁効果とは、壁などに囲われて見える景色が制限される状態。見えている景色に、より集中し期待感も膨らむと言います。
 実際に、箱根にある成川美術館から見える風景も美術館の中から見てみると…風景の印象は変わりませんか?実は、鎌倉は山を切り崩して作られた街なので、自然の中に額縁効果が楽しめる風景がたくさんあったのです。

所さんのポイント
ポイント1
鎌倉独特の地形が「額縁効果」で景色をより美しく演出していたのだ!

②6月から見頃のアジサイ…なぜ鎌倉にたくさん咲いている?

 鎌倉の斜面をより魅力的にするアジサイ。なぜたくさん咲いている?アジサイで有名な長谷寺にその理由を伺うと…「山を背負っている土地柄、斜面の土砂が流れることがよくある。土砂の流出を防ぐためアジサイを利用している」とのこと。確かに急な斜面にたくさん植えられたアジサイ。しかし、本当にアジサイにそんな効果があるのでしょうか? そこで高さ80cmのアジサイを、特別に許可を得て掘り起してみました。比較のため、 高さも樹齢もほぼ同じバラも掘り起こします。まずはバラを掘ってみると…根の長さはおよそ30cm。次にアジサイはどうでしょう?掘っても掘っても根は全貌を見せず、ようやく出てきたのは、よく発達した根っこ。地表の葉と同じくらい四方に広がっており、さらに細かい根もたくさん枝分かれして伸びていました。バラと比べても細かい根が複雑に絡み合い、広範囲に広がっています。専門家によると、「アジサイは横に根を張りやすい。アジサイを植えることによって雨がたくさん降った時、斜面の表面の土が流れるのを防ぐ効果が期待できます。それにより小さい規模の崖崩れであれば防ぐ、そんな効果が期待されている」。確かにアジサイは、斜面の多い鎌倉の土地を守っていたのです!

所さんのポイント
ポイント2
アジサイの根が鎌倉の土地を守っていたのだ!

③鎌倉をのんびり走る江ノ電…人気の秘密はどこにある?

 鎌倉観光の足として欠かせない「江ノ電」。実際に藤沢駅から乗車してみると、市街地を走り抜け、車道の中央を路面電車のように走り、江ノ島を過ぎると雄大な相模湾をのぞむオーシャンビューが楽しめます。さらに、晴れた日には富士山の姿も。そして、山や住宅街と目まぐるしく変わる景色の中を走り抜け終点鎌倉駅に到着。わずか10kmの走行距離なのにたくさんの見所。でも、たった10kmの距離を移動するのにかかる時間は30分強。実は、江ノ電の線路はカーブの連続。そのためスピードが出せず平均速度はわずか時速21km。では、カーブも多くゆっくり走る江ノ電に乗ったお客さんの感想は…「カーブが多くて景色が変わって面白かったです。」「景色がころころ変わって楽しいですよね。飽きないです。」カーブが多いと楽しく感じるのは本当か?そこで人力車を使って実験です。
 5人のお客さんに2種類のコースを体験してもらいます。距離やゴールまでの時間はほぼ同じの「直線コース」と、「カーブを9回曲がるコース」を乗り比べてもらい、どちらが楽しかったかを払ってもいい金額で判定してもらいました。
 すると、全員がカーブの多いBコースに高い値段。平均すると直線コースの2倍以上になりました!何故こんなに差がついたのでしょう?専門家に伺うと、「カーブが多いとその分、視点の変化があるので、視覚的な刺激が多くなる。
 刺激が多いと心理的に活性化しやすいので適度に心地よい状態で物事を観察できると思います」とのこと。カーブが多く、景色が次々と変化する江ノ電は飽きずに楽しめる電車だったんです!

所さんのポイント
ポイント3
カーブが多いと景色が次々変化するので飽きずに楽しめるのだ!

④鎌倉の生シラス…売れ切れ必至の秘密とは?

 鎌倉の人気グルメと言えば「生シラス丼」!ピチピチのシラスがたっぷり乗った産地ならではの贅沢グルメ。ランチタイムには生シラス丼を求めるお客さんの大行列!すぐに売り切れてしまいます。名物のはずなのに一体なぜ?そこで、その秘密を探りにシラス漁に同行させてもらいました。鎌倉の由比ケ浜からおよそ10分の近海で網を設置。10分後、網をたぐり寄せるとピッチピチのシラスが大漁!そこへすぐさま大量の氷を投入。氷につけないとすぐに鮮度が落ちてしまうのが理由なんだとか。
 そこで、漁で獲れた生シラスを今回は常温で置き変化する様子を観察してみると、10時間たったところで異変!白い液体が出てネバネバに。なぜこんなに傷むのがはやいのか?専門家によると「シラスの場合は稚魚ですので。成魚に比べると内臓器官や皮膚が弱いんです。そのため、傷みが早い。」
 シラスは稚魚のため、生で提供できる時間が短かったんです。
そもそもシラスは全て同じに見えますが、色んな魚の稚魚が混じっているそう。一体、どんな種類の魚がいるのか?500gどんぶり山盛りのシラスを仕分けしてみると、9割がカタクチイワシ、およそ5460匹。ウルメイワシが400匹。カニやタコなどその他が132匹でした。
 ちなみに、網から揚げて9時間後の生シラスと釜揚げシラスの、うまみ成分の一つイノシン酸を分析した結果、釜揚げの方が倍以上。釜揚げは、とれたてをすぐ茹でるのでうま味を落とすことなくキープできるんだとか。

所さんのポイント
ポイント4
鮮度が命の生シラス丼はすぐ売れちゃうけど、釜揚げ丼でも十分シラスのうまみを楽しめるのだ!

⑤国宝鎌倉の大仏…歴史に隠された秘密とは?

 鎌倉観光の代表的存在、高徳院の大仏は建造された時からほとんど修復されていない。奈良の大仏は、これまで何度も戦火に見舞われ焼失し、その都度、修繕修復を繰り返してきました。それに比べ鎌倉の大仏は過去の大地震で大仏殿が崩壊したものの、仏像自体は奇跡的に無事だったそう。実は、1743年に高徳院は火災にあいますが幸いにも大仏には火が届かず無事だったんです。でも、鎌倉の大仏は火に強いのでしょうか?そこで、それぞれの大仏の成分に近い銅を用意。どちらが火に強いか実験してみました。
 およそ1000度の火力のバーナーを使って、15分間銅を燃やします。実験開始から数分、それぞれの銅に変化はみられません。しかしおよそ4分後…、鎌倉の大仏に近い銅を燃やす炎の色に変化が!鎌倉の大仏に近い銅の方が先に溶けてしまい、奈良の大仏に近い銅は最後まで溶けず持ちこたえました。一体どういうことなのか?専門家に伺うと「鎌倉の大仏は、建立当時、国内の銅が不足していたので中国の貨幣を材料に使った。中国の貨幣には鉛が約20%入っていて、鉛は燃えやすい性質を持つ。」
 火災には弱かったんですが、鎌倉の大仏は直接火災に遭わなかったので、これまで大きな修復をほとんどしていない、貴重な大仏様として残ったのです。



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