シイタケ
の科学
第1197回 2013年10月6日
最も身近なのに、不思議な謎を秘めたシイタケの科学!
①驚きのシイタケ栽培法とは?
シイタケには2通りの栽培方法があります。オガクズなどの木片を固めた土台に菌を植え付け栽培する菌床栽培と、木で直接栽培する原木栽培。この原木栽培でシイタケを育てている農家では、風通しの良い半日陰の場所で原木に菌を植え付けシイタケを栽培しています。
まずは、決まった長さに切断したクヌギやナラなどの原木に、ドリルで直径1センチほどの穴を開け、この穴の中にシイタケ菌を植え付けます。その後、およそ1年間寝かせることで、菌糸が木の中いっぱいに広がり成長する。顕微鏡で見た菌糸は木の中に広がっており、ここからシイタケが生えるのです。実はこの原木、このままでも時期が来るとシイタケが生えてくるのですが、繁殖を促進させるため、ある事を行っていました!使うのはフォークリフト。なんと、シイタケの原木をフォークリフトで地面に何度も叩きつけるのです!農家の方に伺うと「シイタケを休ませて一定の日数が来たら刺激を与えないと出ない。その方法としてはフォークリフトで木をゆすって刺激を与えると、原木自身が目覚めてくる」とのこと。
さらに、雷がなるとシイタケがたくさんとれるという情報をゲット!そこで、シイタケと電気刺激の研究をしている大学教授に実験をお願いしました。最大10万ボルトの電気を発生させる装置で、電気を与えた菌床Aと、与えない菌床Bの二つ3を用意し数日間観察!片方の菌床には、3万ボルトの電圧で発生させた電気を5秒間当てました。シイタケ栽培を行っている農家と、大学の研究室の2か所で実験しました。
観察から3日目。研究室の方は電気刺激を加えたAから一本のシイタケが生えてきました。電気刺激なしのBには、まったく変化が見られません。一方、農家での実験12日目、電気刺激を与えたAには、立派なシイタケが育っていました。Bには、ようやく小さなシイタケが。専門家によると「電気を与えると菌糸が切れてしまいます。生物には危機感を持つと子孫を残そうという本能があり、活性化された」とこと。
シイタケは電気や雷の刺激で成長が活性化するのだ!
②意外と知らない、シイタケの食べごろは?
お店で売られているシイタケもその開き具合は さまざま。そこで実験!成長段階によって味の違いはあるのでしょうか?3つのタイミングで摘み取ったシイタケを比較します。カサが まるまっている状態のA。カサが程よく開き、ヒダが真っ白な状態のB。そして、カサが大きく開ききったC。この3段階のシイタケの成分分析した結果、和食の「3大旨味成分グアニル酸」の数値に違いがありました。C、B、Aの順番で、グアニル酸の量が多いという結果に。つまり、カサが開ききったシイタケが、一番旨味成分を含んでいる事が分かりました。
では実際、プロの料理人はどれが美味しいと判断するのでしょうか?
食べていただくのは…割烹料理店の料理長25年、木戸さん。小料理店で20年女将を務める、佐藤さん。創業110年の懐石料理店、総料理長40年の新田さん。そうそうたる、味の達人たちです。調理方法は、シイタケの素材の味が生き、おいしく食べられるという「炭火焼き」。素材の見た目や大きさに左右されないよう、目隠しで食べて頂きます。その結果は…なんと最も旨味成分の多い「C」を選ばず、3人とも「B」を選択したのです。
「ジューシー」という意見もあったので、水分量の検査を行いましたが、結果はほぼ同じ。では、なぜBのシイタケが選ばれたのでしょうか?シイタケを研究する方によると、シイタケの食べごろには胞子の存在が関係しているとのこと。Aの段階のシイタケでは胞子が殆ど飛んでいるのが見られません。しかし、Bの段階になると胞子が出始めました。
Cの段階では大量の胞子が・・・。胞子が減っていくとともに老化し食感が失われていくのです。これらの結果をもとに、調理科学の学術博士に話を聞きました。「トータルで考えてどれが一番好ましいか、まだ成長しない段階と、成熟に近い段階と比べたときに、それぞれ良い点悪い点が、両極端に出てきますけども、そういう意味で固さと旨味の両方を兼ね備えているのが、AとCの中間であるBと言う事になる」とのこと。また、焼いて食べるならBですが、お鍋には弾力のあるA、煮物には旨味成分がよく出るCが適しているといいます。
シイタケを焼いて食べる時は、カサが程よく開き、ヒダが真っ白な状態のモノがいいのだ!
③公園に生えている!?天然シイタケ捜索!
天然のシイタケって意外と僕たちが住んでいる身近な場所で採れるんです。
私たちが住んでいる市街地には、木が沢山生えている公園があります。実はこうしたスーパーや八百屋さんからシイタケの胞子が飛んで天然シイタケが生える事があるんです。
調査したのは、栃木県真岡市にある井頭公園。この公園は繁華街からおよそ4キロほどの場所にあり、半日陰になる場所にあります。シイタケは、主に原木栽培で見たような朽木などにはえるので、落ちている木を手がかりに探すんです。結局、探す事4時間、この日は天然シイタケを発見出来ませんでした…。
しかし後日、ユージは岩手県の山奥で、しっかり天然のシイタケを発見しました!
天然のシイタケは、自分で採った分、味も格別なのだ!
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