箱根温泉
の科学
第1203回 2013年11月17日
日本屈指の温泉パラダイス「箱根温泉」の科学!
①ユージが箱根十七湯 全湯調査!
お湯の性質をpH試験紙を使って、酸性かアルカリ性かを調べます。赤は酸性、青はアルカリ性、真ん中の黄色は中性となります。
まずは、箱根の玄関口、湯本温泉。奈良時代に発見されたという箱根温泉発祥の湯を引くお風呂です。「湯本温泉は、アルカリ性ということがわかりました。
続いては、湯本から少し上った塔之沢温泉。無色透明のお湯は、湯本と同じアルカリ性でした。大平台温泉のお湯は透き通るアルカリ性。堂ヶ島温泉は…休業中でした。ちなみにそのお湯は弱アルカリ性だそうです。景色バツグンの宮ノ下温泉は弱アルカリ性。山を上がるうちに少しずつ泉質が変わってきました。
底倉温泉では中性に変化。木賀温泉も、やはり中性のお湯。宮城野温泉は、弱アルカリ性。二ノ平温泉では、アルカリ性。小涌谷温泉は明治創業の老舗旅館。お湯はこちらもアルカリ性でした。高級旅館が立ち並ぶ強羅温泉。源泉の注ぎ口に、温泉成分の結晶がびっしり。ほのかにしょっぱい、弱アルカリ性のお湯。どうやら温泉場の標高によってお湯の性質も変わっているようです。ススキ野原が有名な、仙石原温泉。こちらは、少し濁った茶褐色のお湯。調べてみると、初めての酸性のお湯。芦ノ湖畔に位置する蛸川温泉。こちらは、弱アルカリ性。晴れた日には富士山も望める芦ノ湖温泉。お湯は弱酸性です。芦之湯温泉は、白濁したお湯。その性質は中性。ほんの少し黄色く濁った、姥子温泉は、中性のお湯。ラストは、箱根温泉で一番標高が高い、湯ノ花沢温泉!白濁したそのお湯は、硫黄の香り漂う中性のお湯でした。
休業中の1湯を除いて箱根16湯を制覇。箱根温泉はアルカリ性から中性、酸性まで勢ぞろいした種類豊富な温泉地なんです。
今回、箱根十七湯を調べてみて分かったのが、お肌がツルツルする美人の湯と言われるアルカリ性から殺菌効果があると言われる酸性まですべての性質が揃っていること。さらにその成分も塩化物やカルシウム、マグネシウム、硫黄など色んな種類があるんです。「箱根の山」と一口に言われますが実はいくつもの火山が集まった集合体。これはつい5年程前にわかったそうです。そして、その火山それぞれが違う地層を持ち、噴火や地滑りを繰り返す度に、新しい地層が積み重なっていきました。その結果、箱根には、様々な層の地質が出来上がり、地下水がどこをどのように通るかによって、泉質が違う温泉になるというんです。
箱根十七湯と言うが、泉質は大きく4種類に分けられるのだ!
②箱根温泉の4つの泉質の源泉が見てみたい!
まずは、そのひとつ、湯本温泉の源泉。そこは観光客が入れない秘密の場所。洞窟の中は、40度を超えるサウナ状態。洞窟の奥に、源泉がありました!その温度はおよそ50度。湯本温泉はじんわり湧き出るアルカリ性の単純温泉でした。2つ目の源泉は、強羅温泉。地下100メートルからくみ上げているという源泉。様々な地層を通って上がってくるそのお湯は弱アルカリ性の塩化物泉。3つ目は、姥子温泉。晴れた日には富士山が見える高台に作られたくみ上げ式のポンプ。そこから溢れ出る源泉は、硫酸塩泉。そして4つ目の源泉は、ロープウエイに乗って見に行きます。作業員しか入れない、立ち入り禁止エリア大涌谷から噴き出る源泉、硫黄泉です。火山性水蒸気と地下水が混ぜ合わさることで温泉となり、温泉場へと引かれています。
この4つの泉質に、いろいろな成分が混ざることで種類豊富な温泉となり、世界的にも珍しい温泉地となったのです。4つの泉質のうち、「単純温泉」は、鎮静作用があると言われ、神経痛の湯と呼ばれています。塩化物泉は、血の巡りが良くなって筋肉痛や肩こりに、あとの2つは、慢性皮膚病に良いお湯と言われていたりと、それぞれ、効果効能も特徴があるんです。
ここまで1つの温泉地にバリエーション豊富な泉質が集まっているのは、世界的にもとても珍しいそうです。
4つの源泉から出る箱根の温泉は効能もそれぞれ違うのだ!
③湯冷めしにくい!?塩化物泉の秘密
温泉の成分や効果を研究する教授によると、体がぽかぽかと、いつまでも温かい塩化物泉がいいとのこと。箱根に湧き出る温泉の中で塩化物泉と言えば強羅温泉!どのくらい温かさが保てるのか実験です!
比較のため、まずは都内の銭湯で温泉ではない普通の水を沸かしたお湯で実験。女性2人に協力してもらい、銭湯のお風呂に10分間浸かってもらいます。お湯の温度は41度。そして10分後。タオルで体を拭き、すぐに観察を開始。湯上りの体表面温度をサーモグラフィーで見てみると…30分後。全体的に赤い部分が減り、体表面温度が下がりました。そして1時間後には青い部分が増え、入浴前よりも冷めた、湯冷めした状態になってしまいました。
続いて、塩化物泉の湯をひく旅館のお風呂で実験です!同じように41度のお湯に10分間浸かってもらいます。そして、銭湯での実験と同じ室温で測定開始。30分後…普通のお湯では下がり始めた体表面温度は、ほとんど下がらず、1時間が経過しても、赤や黄色い部分が多く残っています。普通のお湯と比べると一目瞭然。確かにいつまでもあたたかい状態が続いていました。専門家によると、「塩化物泉は、肌にその塩分が付着し、その結晶が皮膚を覆うため、体から熱を逃がさない」とのこと。実際に、塩化物泉の温泉に浸かった後の肌を見ると皮膚の溝に塩の結晶がついていまいした。目に見える以外にも、細かい結晶が皮膚全体を覆って熱を外に逃がさないため、いつまでも温かさが保てるというんです!
温泉で湯冷めしにくいのは、体中を塩の結晶が覆って熱を逃がさないからなのだ!
④箱根名物「黒たまご」 普通のゆでたまごとどう違う?
大涌谷名物「黒たまご」!訪れていた方に聞いてみると、普通の茹で卵よりもおいしいと絶賛の嵐。これはきっと、特別なたまごを使っているに違いありません!そこで使っている卵を見せてもらうと…「スーパーで売っているのと同じ普通のたまご」。ではどうやって作っているのか?まず、普通の卵をカゴに入れ、およそ80度の温泉の中に直接入れて、1時間じっくり茹でます。引き上げると、見事に真っ黒!これではまだ固まっていないため、温泉から吹き出す100度の水蒸気の蒸し釜で15分蒸し、白身と黄身をしっかり固めます。なぜたまごが黒くなるのかというと、元々温泉の中に含まれる成分、硫化水素と鉄がたまごにくっつくと、殻に含まれたカルシウムに反応して、硫化鉄になります。これが殻の周りにびっしり付いて、真っ黒い茹で卵になるというわけ。
では、黒たまごは、皆さんが言うようにおいしくなっているのか実験!茹でる前の生卵を分けて頂き、水道水で茹でて比べてみることに。黒たまごの作り方と同じように、温泉と同じ温度で1時間じっくり茹でます。そして、今度は同じように水蒸気で15分間蒸します。これを黒たまごと一緒に味の分析へ。それぞれ、白身と黄身に分け、味覚センサーにかけて、味に違いがあるか検査します。結果は、水道水で茹でたたまごの白身に対して黒たまごの白身は塩味(えんみ)、つまり、ほのかな塩味が増えていました!さらに、黄身のほうは、塩味だけじゃなく、うま味の数値まで上がっていたんです!
専門家によると、温泉由来のミネラルが殻を通して入り、塩味が強くなり、うま味も増えたと考えられるそうです。 他の食べ物も温泉で茹でたらおいしくなるのでは?!というわけでタラバガニを茹でてみる!温泉が汚れないよう、鍋にお湯を分けてもらってタラバガニを投入!普通のお湯で茹でたカニと、大涌谷の温泉で茹でたカニどちらがおいしいか?
所さんが試食したところ、大涌谷の温泉で茹でたカニの方が「美味しい」という評価でした!
温泉でたまごやカニを茹でたら旨くなる!でも皆さんは、温泉で勝手に食べ物を茹でてはダメなのだ!
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