袋麺
の科学
第1206回 2013年12月8日
今、爆発的に売り上げを伸ばしているのが、「袋麺」タイプのインスタントラーメン。最近は生麺っぽい食感を追求した、新しいインスタント袋麺が続々登場し、売れているんです!そこで本日の目がテンは、進化する"インスタント袋麺"の秘密に科学で迫ります!
①生麺風インスタント麺 進化した袋麺の実力は?
日本で袋麺が誕生してから55年。作るのが簡単で、美味しく長持ちする袋入りのインスタントラーメンは、あっという間に日本の食卓の定番となり、様々な商品が生み出されてきました。袋麺には、油で揚げたフライ麺のほかに、油を使わず熱風乾燥させたノンフライ麺というものもあり、中でも、最近人気が爆発しているのが、"生麺風インスタントラーメン"。"生麺を茹でた本物のラーメンの味、食感"に近づける。
そんな商品を各社こぞって発売、人気になっているんです。
実は、インスタント袋麺の生産数を見ると2010年までずっと下がっていたのに2011年からV字回復!この起爆剤が、生麺風インスタントラーメンの大ヒットだったんです。では「生麺風インスタントラーメン」は一体どのくらい「生麺」に近いのか実験!Aは生麺を使ったラーメン、Bは生麺風をうたったインスタントのラーメン。何も教えずにA、B、両方を食べ比べてもらい、どちらが生麺なのか答えてもらいます。
その結果、Aが生麺だと答えた人は20人中13人。Bのインスタント麺を生麺だと答えた人は7人もいました。Bを選んだ人に理由を聞くとその多くが、麺のモチモチ感をあげました。
では、「生」と「インスタント」、ホントにモチモチ感は近いのか?「生麺」と「生麺風インスタントラーメン」を、それぞれ歯で麺を噛み切る時と同じ要領で麺に圧力をかけ、切れるまでの力、噛み応えを計測。生麺と、4種類のインスタント麺のデータを比べてみると、噛み応えはほとんど同じ!つまり、「生麺風インスタントラーメン」のモチモチ感は、生麺とそっくりだということが分かったんです。
②縮れ麺とストレート麺 スープが絡むのは!?
袋麺には、「縮れ麺タイプ」と茹でると麺がまっすぐになる「ストレート麺タイプ」があり、最近、製造技術の進歩により、生っぽく、喉越しが良いと言われるストレート麺タイプが人気なんだそう。さらに街では、「縮れ麺はスープに絡み易い」という意見が。そこで、本当に縮れ麺はスープに絡み易いのか実験!
生の縮れ麺とストレート麺をそれぞれ茹で、およそ一口分、30グラムをとりわけ、同じ醤油ラーメンのスープに5秒間だけ浸し、それぞれ、どれだけスープが麺に絡んだか、その重さを量ります。重くなった方が、「スープがよくからむ麺」ということですが・・・結果、縮れ麺にスープが4.9グラム絡んだのに対し、ストレート麺に絡んだスープの量は7.2グラム!なんとイメージとは違い、縮れ麺よりもストレート麺の方がスープがより絡むという結果になったんです!その後、10回同じ実験をしてみましたが、その平均は、 縮れ麺に絡んだスープの量が5.47グラムなのに対し、ストレート麺は6.73グラム。意外にもストレート麺の方が、スープが絡みやすかったんです。
実際に、ハイスピードカメラで「縮れ麺」と「ストレート麺」のスープの絡み方を比較すると、ストレート麺は、麺がひとつの束になっています。さらに、麺と麺の隙間が、ストレート麺の方ほとんど無いのに対し、縮れ麺は縮れの分、多くの隙間ができています。これが、スープの絡みと関係あるのでしょうか?専門家に聞いてみると、「ストレート麺にスープが多く絡んだのは、毛管力によるものだと考えられる。毛管力とは、物体の細い隙間を液体が入り込んでいく現象の事。ストレート麺の場合、麺と麺の幅が狭くその間にスープが入り込み多く絡みつく。一方で縮れ麺の場合、麺と麺の間が離れていて毛管力が働く場所が少ない為に(麺に絡む)スープの量が多くなかった」という。
さらに、麺の太さによってスープの絡み具合は変わるのか実験!今度は、太さの違う同じストレート麺を用意し、同じ方法でスープの絡む量を計測してみると・・・ストレートの"太麺"はわずか1.3グラムなのに対し、ストレートの"細麺"は8.1グラム。結果、10回の平均値はストレートの太麺が2.01グラムなのに対し、ストレートの細麺は7.82グラム。太い麺よりも細い麺の方が、4倍近くもスープがよく絡んだんです。
同じ太さの場合、"縮れ麺"よりも"ストレート麺"の方が、スープが絡み易く、麺は細ければ細いほどスープがよく絡むのだ!
(※スープの種類や麺の配合にもよる)
③袋麺トッピング選手権!意外に合う食べ物は!?
カップ麺には具材が入っているのに対し、多くの袋麺には全く具材が入っていません。これは一体なぜなのか?日本即席食品工業協会の理事にその理由を聞いてみると、「カップ麺については、いつでもどこでも食べられるという事がコンセプトで、それなりに満足感を得る為に具材を入れる事が必要だった。一方、(袋麺は)お鍋で煮る事を強調して販売された。鍋で煮るとなると一手間加えるという事、家庭で色々な物が調理されていくというのは、自然な流れだった」という。
実際、袋麺の楽しみの一つが様々なトッピングであり、最近ではちょっと変わった袋麺料理も色々考えられています。そこで今回!目がテン流『袋麺トッピング選手権』を実施!家庭にある食材50種類を使い、袋麺にトッピングして美味しいのは何なのか?「しょうゆ、塩、味噌」の三種類のスープで試します。
▼ユージとスタッフが選んだ!袋麺に意外に合うトッピングBEST3
第1位 みそラーメン×ピーナツバター
★【意外に合った理由】
ピーナツバターを混ぜることで、実は「担々麺」の味に限りなく近くなる。
さらにラー油をかけると、その味はより近くなる。
第2位 しょうゆラーメン×あんこ
★【意外に合った理由】
インスタントラーメンは元々塩分を含んでいるため、そこに甘さが加わると、いわゆる対比効果でより両方の味が味わえておいしくなる。
また、粘性のあるものは口に含んだ時においしさを増して長く味わえる効果があり、液体のスープをすするだけよりもあんこが入る事でよりおいしくなり、食感がよくなる。(専門家による分析)
第3位 しおラーメン×野菜ジュース
★【意外に合った理由】
塩が多くてきつい味の塩ラーメンに酸味が多いトマトベースの野菜ジュースが加わった。塩分に対して酸味成分が抑制効果を働かせて、味がマイルドになっておいしく感じた。(専門家による分析)
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