オリーブオイル
の科学
第1208回 2014年1月5日
今や日本の家庭でもおなじみとなった「オリーブオイル」!
サラダにパスタにと使い道もイロイロ!けど、オリーブオイルのボトルに書いてある「エクストラバージン」をはじめ、まだまだ私達の知らないことがたくさんあるんです。そこで本日の目がテンは、今大人気のオリーブオイルに隠された、知られざる秘密を科学します!
①高級品VS普及品 イタリア人が好きなオリーブオイルは?
日本で売られているオリーブオイルは、大きく2種類。それが「エクストラバージン」と「ピュアオリーブオイル」。さらに、エクストラバージンでも、専門店で売っている高級な物もあれば、スーパーで売ってる安いものもあります。大きく違う値段!おいしさとは釣り合っているんでしょうか?
そこで今回、クッキングスクールの皆さんの協力の元、オリーブオイルを味比べしてもらい、一番おいしいかったものを選んでもらいます。
用意したのは、同じ500ミリリットル入りのオリーブオイル3種類。
A:普及品エクストラバージン(約700円)
B:ピュアオリーブオイル(約450円)
C:高級品エクストラバージン(約4400円)
皆さんには、どれがどのオイルなのかは知らせず、それぞれのオリーブオイルを少し口に含み、そのまま味わってもらいます。そして10人に試してもらった結果・・・Aが6人・Bが4人と、高級品エクストラバージンを選んだ人が一人もいなかったんです。では、オリーブオイルの本場、イタリアの方はどうなのか?イタリア人・ピエトロさんのお宅を訪ねました。
ピエトロさんは、毎日スプーン一杯のオリーブオイルを必ず飲むというオリーブオイル好き。イタリア人のお友達にも集まってもらい、先ほどの日本人とまったく同じ実験をしてもらいます。結果・・・選んだのは、全員がC「最高級のエクストラバージン」!
なんと!日本人とイタリア人では"好み"に大きな差が出たんです!
②エクストラバージンとは?
そもそも、「エクストラバージンオリーブオイル」とは一体何なのでしょうか?そこで向かったのは、日本産のオリーブの9割以上を作っているという香川県の小豆島。オリーブの収穫は11月から12月にかけて行われます。日本最大のオリーブ農園を持っている会社では高級エクストラバージンが作られており、収穫は手で摘んでいるそうです。
収穫されたオリーブの実は、そのまま工場へと運ばれ、オリーブオイルに加工されます。大豆やコーン、ゴマなど、おなじみの油は植物の種から作られますが、オリーブオイルは"果実"から作られるオイルなんです!
まずはじめに水で洗い、次に機械でつぶします。そして40分ほど練ることで、オイルを取り出しやすくしていき、その後、固形物を取り除き、液体だけにします。この液体を遠心分離機にかけ、オイルだけを取り出します。これがエクストラバージンオイルなんです。
★高級エクストラバージン
果実をしぼっただけのもの、つまり「ジュース」であるため、産地やオリーブの品種によって味が違う。
★普及品のエクストラバージン
様々な産地からオイルを集めて食べやすいようにブレンドしたもの。そのため、味がマイルドになる。
★ピュアオリーブオイル
品質にバラツキがあるオイルを工場で精製したものに、香り付けのためにエクストラバージンオイルを混ぜて作られる。精製されているため、味が癖のない物になる。
③オリーブオイルの正しい"使い分け"は?
「エクストラバージン」と「ピュアオリーブオイル」には、その"使い方"に大きな違いがあるってホント?そこで!その実態を探るべく、ピエトロさんの自宅で「ペペロンチーノ」と「トマトとチーズのカプレーゼ」を作って頂きました!
さっそくペペロンチーノに使ったのは、エクストラバージンではなく、ピュアオリーブオイル!たっぷりのオイルで、ニンニクとトウガラシをゆっくり加熱します。その後、ニンニクの香りがしてきたところでスパゲティを投入し、これでペペロンチーノの完成。しかし、ここでなんと!エクストラバージンをそのままかけています。そして、もう一品のトマトとチーズのカプレーゼにもエクストラバージンを生で使っていたんです。
火を通すものには「ピュアオリーブオイル」。生で使うのは「エクストラバージン」。でも、一体なぜ使い分けるんでしょうか?そこで、ピュアオリーブオイルとエクストラバージンオイルで比較実験!両者を別々の鍋に入れ、クッキングヒーターで加熱してみると・・・100度を超えた辺りから、エクストラバージンに泡のようなものが出始め、170℃を越えたあたりで、かなりの量の煙が出てきました。一方、ピュアオリーブオイルが煙を上げはじめたのは、200℃を越えたあたりでした。同じオリーブオイルでなぜこんなに違うのか?専門家に伺うと「エクストラバージンは香り成分が多く、低い温度で発煙する」という。
つまり、エクストラバージンは香り成分が低い温度で燃え出すため、煙が出てしまうのだという!!
エクストラバージンは、加熱せず生のまま使う方が良いのだ!
④オリーブオイルは和食に合う?
こんなにも美味しいオリーブオイルは、意外に和食にも合うのでは!?そこで今回、プロの料理人3人が試食!
判定をしてくれるのは、ミシュランでひとつ星の「なすび亭」オーナーシェフ「吉岡英尋」さん。本場イタリアで修行を積んだ大人気イタリアンの店「ハタケ・アオヤマ」のオーナーシェフ「神保佳永」さん。そして、本場イタリアのオリーブオイルソムリエの資格を持つ、料理研究家の「石井秀代」さん。さらに、主婦代表として佐藤アナも参加!
4人には、それぞれ2皿づつ用意し、まずは普通の食べ方で料理を食べてもらい、その後オリーブオイルをかけて食べます。採点は、そのままのものと変わらなければ0点。美味しくなったらプラス5点まで。まずくなったらマイナス5点までと、11段階で評価。
▼和食×オリーブオイル 結果
@品目 : 肉じゃが×オリーブオイル(スプーン1杯)
総合点 : プラス2点
A品目 : 納豆×醤油×オリーブオイル(スプーン1杯)
総合点 : プラス1点
B品目 : アジの塩焼き×醤油×オリーブオイル(スプーン1杯)
総合点 : プラス16点
アジの塩焼きにはオリーブオイルが合うのだ!
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