知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


腰痛 の科学
第1233回 2014年6月29日


 現在、日本人の4人に1人、実に2800万人が悩まされている腰痛!しかし!なんと、日本人の腰痛の85%は原因不明だというんです!そこで今回の目がテン!は、日本を悩ませる大問題!"腰痛"の謎に科学の力で迫ります!

①腰痛の85%が原因不明!"見えない腰痛"とは?

 街で腰痛に悩む人に、腰痛の原因について聞いてみると・・・その多くが、なぜ腰が痛いのかよくわからないという答えが。では、なぜお医者さんでも原因がわからないのか?スポーツ選手の腰痛を研究している整形外科医の金岡先生に聞いてみると、「腰痛の原因は85%わかっていないといわれている」。腰痛の85%が原因不明!?一体どういうことなのか?「腰痛には"見える腰痛"と"見えない腰痛"があるんです」。実は腰痛は大きく"見える腰痛"と"見えない腰痛"の2つに分かれているんです。1つは、椎間板(ついかんばん)が飛び出して神経を圧迫する椎間板ヘルニアなど、レントゲンやMRI診断で明らかな異常が見られる"特異的腰痛"、つまり「見える腰痛」。そしてもう1つは、骨などに異常は見られないのに、腰が痛むという"非特異的腰痛"つまり、「見えない腰痛」。この「見えない腰痛」は、腰痛全体の85%を占め、病院での機械による診察では、腰のどの部分が痛いのか、特定が難しいため、お医者さんでも原因がよくわからないんです。

所さんのポイント
ポイント1
日本人が抱える腰痛の多くは、お医者さんでも特定が難しい「見えない腰痛」だったのだ!

②痛みの発生源チェック法

 腰痛の発生源を明らかにするには一体どうしたらいいのか?専門家に聞くと、「原因がわからない非特異的腰痛だが、簡単に自分でもできるチェック方法があります」。実は、レントゲンやMRIでもわからない、見えない腰痛をチェックする方法があるというんです。
 そこで!整形外科医の金岡先生と、理学療法士の成田先生と共に、目がテン!街頭腰痛チェック!商店街で、道行く人の、見えない腰痛の発生源をチェックしていきます!
 金岡先生によると、見えない腰痛の発生源は全部で4つ。背骨と背骨の間にある軟骨「椎間板」。背骨同士を後ろでつないでいる「椎間関節」。骨盤と腰椎(ようつい)をつなぐ「仙腸関節」。そして、腰回りの「筋肉」。この4つの部位に炎症など、なんらかの見えない異常があることで腰痛が引き起こされているというんです。では、一体どのように腰痛をチェックするのか?さっそく、チェック開始!
 被験者のひとりに、まずは痛む部分を指で差してもらいます。続いて、前屈と後屈で痛みが出るか確認し、体を動かして痛む場所を探って行きます。その後も次々と、道行く人の腰痛の発生源を指摘していき・・・20人の見えない腰痛をチェックしたところ、それぞれ4種類すべての発生源が指摘されたんです!

 今回スタジオでは、健康科学大学・健康科学部の成田崇矢准教授が、どういう動きで痛みが出ると発生源がわかるのか解説しました。

[1]腰のどこが痛いのか指差しチェック!
まずは、普段自分の腰のどの部分が痛いのか指差してみましょう。
前から腰を触ってみると、出っ張っている部分が「骨盤の上部」。
ここから上の、背骨部分が痛い場合は「椎間板」「椎間関節」の可能性が高いです。そして、骨盤から下の部分の場合は「仙腸関節」を痛めている可能性が高いんです。また、背骨の直線上ではなく、脇が痛い場合は、「筋肉」の可能性が高くなります。筋肉を痛めている場合は、一時的なものが多いので、強く心配する必要はありません。

[2]カラダを動かして痛む場所をチェック!
次に、カラダを動かして痛む場所をさらに細かく特定します。
まずは、前屈をして腰が痛くなる場合「椎間板」を痛めている可能性が高いです。これは、前屈の動きは、椎間板を圧迫するからなんです。
逆に後屈をして腰が痛くなる場合は「椎間関節」を痛めている可能性が高いです。これは、後屈をすることで背骨の後ろにある椎間関節が圧迫されるからなんです。
強く反らさなくても大丈夫です。痛みを感じたらやめてください。

※注意点!
すでに起き上がれないほどの痛みや、腰痛と共に、足にしびれが出ていたりと、重い症状の方は、このチェックをせずに、なるべく早く病院でしっかりと検査をする事が大事。また、チェックする際は誰かに補助をお願いするなど、倒れない様に注意して行って下さい。


③「ストレス解消」で腰痛軽減!?

 一体なぜ痛みの場所を知る事が腰痛の軽減につながるのでしょうか?専門家に聞くと「自分の痛みの原因がどこからきているかわからない。それはかなりストレスになると思います。そういう精神的なストレスがあると痛みは強くなっちゃうし、長引くんですね」。
 金岡先生によると・・・"非特異的腰痛(ひとくいてきようつう)"になると、原因がわからず不安になります。その不安が大きなストレスとなり、より腰の痛みを悪化させているというんです。また、それ以外にも、日常的に何らかのストレスを感じている人は痛みを強く感じやすいといいます。それなら、ストレスを解消すれば腰痛は軽減するのか?そこで、目がテン!大実験!協力してくれるのは、お医者さんに行っても原因がわからない、見えない腰痛を抱えた4人。
 ではその痛みのレベルはどれ程なのか?0〜10の数字で腰の痛みを自己評価してもらったところ…一番低い女性でも5、一番高い男性は8と皆さん、かなり痛みがあるようです。

 そこで、4人が向かったのは・・・落語などを公演する寄席!ストレス解消と言えばお笑い!4人には寄席で思う存分笑ってもらいます。いよいよ開演!すると・・・ 険しい顔とは一転して、笑顔の4人次々と繰り広げられる演目に、1時間笑いっぱなし。そして公演終了・・・かなり楽しんだ様子のみなさん。では、腰の痛みレベルを再び自己評価してもらうと・・・今度は、一番高い人でも5と、全員低い数値に!寄席に来る前と比べると、痛みの感じ方が大幅に下がっていたんです。
 でも一体なぜ、みなさん痛みの感じ方が変わったんでしょうか??専門家に聞くと、「痛みを感じる時には、脳の中の側坐核がオピオイドを分泌してその痛みを和らげる働きをしてくれているんです。ただ慢性的にストレスが加わっていると側坐核からのオピオイドの放出が少なくなってしまって、それによって痛みをより感じやすくなってしまう」。人は、痛みの原因となる刺激が起こったとき、そのシグナルが脳の「側坐核」へと伝わることで痛みを感じています。健康な状態の場合、痛みのシグナルが「側坐核」へ伝わると、神経物質「オピオイド」が分泌され、生命活動に支障がでないよう、痛みを適度に制御します。しかし、ストレスを感じている場合、「側坐核」自体の機能が低下してしまうため、オピオイドの分泌が少なくなり、痛みが適度に抑えらず、必要以上に痛みを感じてしまうんです。

所さんのポイント
ポイント2
ストレスを解消したことでオピオイドの分泌が正常になり、痛みを軽く感じるようになったと考えられるのだ!

④日常生活で役立つ!"見えない腰痛"の改善方法

[ベッドからの起き上がり方]
寝ている状態から一気にカラダを起き上がらせるのは、実は、あまり腰に良くないんです。足の筋肉が引っぱられてしまうので骨盤が後ろに傾いてしまい、椎間板が圧迫されてしまうんです。
本当に正しい起き方は・・・まず、両足をベッドから落として、それから体を起こします。そうすることで、非常に腰に負担がかからず起きる事ができます。この起き方は、特に椎間板を痛めている方にオススメです。

[靴下の履き方]
皆さんついつい、上半身を足の方に近づけてしまいますが、それも椎間板に負担がかかってしまうため、足を伸ばしながら腰を前に曲げるのはNG。足を曲げて体に近づけて靴下を履きましょう。こちらも、椎間板を痛めている人にオススメです。

[洗濯物の掛け方]
いきなり背の高い物干し竿の下で体を伸ばして作業すると、腰へ負担がかかります。正しくは、低い位置で洗濯物をラックにかけてから、高い位置の物干し竿へかける。高い位置で作業する時間をなるべく短くするのが重要。
さらに、高い位置に物を干す時によくあるのが、背中を曲げずに腰から曲げてしまう反り方。そうではなく、首もとから腰に向けて順番に反っていくイメージで、背中を反らせていきましょう。そうすることで、腰椎付近の椎間関節だけに負担がかからず、背中全体で圧力を分散することができるんです。これは、高い位置の物を取ったりする時にも有効です。この姿勢は特に椎間関節を痛めている人にオススメです。

[掃除機の掛け方]
テーブルの下を掃除機がけするときは足が伸びたまま腰を曲げてしまいやすいですよね。これでは、やはり椎間板に負担がかかってしまうんです。
低い位置にしゃがむ時、物を拾う時もそうですが、まずは足を曲げる。例えば片膝を床について腰はそのままの姿勢をキープすることが腰痛改善につながります。洗面台で顔を洗うときも同じです。そのまま前屈みになるのではなく、例えば、小さな段差に片足を上げて前屈みになることが理想的。足を曲げることで骨盤を立てたまま前屈みになることができるので椎間板を圧迫することがないんです。
つまり、日常の動作においては、なるべく腰盤を垂直に保ち続けることが大きなポイントなんです。



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