ドンブリ
の科学
第1242回 2014年9月7日
古くから日本人に愛され続けてきた、ドンブリ!
チェーン店で手軽に食べられる牛丼、ガッツリ食べたいカツ丼、女性に人気の海鮮丼など手頃な値段でお腹を満たしてくれる日本の定番の味です!でも、なぜドンブリはこんなに人気があるのでしょうか?
今回は美味しいドンブリの魅力を科学します!
①「カツ丼vsカツ煮定食」どちらが集中して食べられる?
大人気のドンブリ。でもご飯とおかずを分けて食べる定食スタイルでも同じように美味しいですよね。このドンブリ人気の秘密はなんなのでしょう?味覚の専門家に聞いてみると…「丼の美味しさはその食べ方に関係があります」とのこと。そこで牛丼の食べ方をみてみると…器に口をつけ、かき込んで食べてます。実はこの食べ方が美味しさのポイントなんです!
専門家に聞いてみると…「一度に多くの食べ物を口に入れると多くの感覚神経を刺激しより美味しく感じられる」との事です。口の中には、味覚や食感に関わる様々な感覚神経があります。ドンブリを食べる時、一度にたくさんの食べ物が口に入ると多くの感覚神経を同時に刺激!美味しさを感じやすくなるんです。
さらに!ドンブリにはもう1つの美味しさの秘密が!専門家は「定食に比べ丼はより1つの丼に集中するのでより美味しくなると考えられる」と言います。ドンブリは集中して食べるから美味しい?そこで実験!有名カツ丼チェーン店に協力していただき3人にカツ丼を食べてもらいます。そして、今回特別にメニューにないカツ煮定食を作ってもらい、別の3人に食べてもらいます。ドンブリと定食、どちらが集中して食べられるのか?その集中度を比べるために、食べる目の前の席で仕掛人がイチャイチャし始めます。一体どうなるのか?実験を行うと・・・カツ煮定食を食べた3人がカップルを見た回数は平均12.6回。一方、カツ丼を食べた3人がカップルを見た回数は平均3回と、カツ丼を食べている時の方が集中していたようです。
では、なぜこのような結果になったのでしょうか?専門家に聞くと、「味覚も含めた感覚は、より集中していくほど美味しく感じる。丼は1つの器に集中することでより美味しく感じると考えられる」。
ドンブリは"集中して食べやすい"ため、美味しく感じられるのだ!
②「器の色」によって美味しさは変わる?
さらなるドンブリの美味しさの秘密を検証するため、ユージが美味しい牛丼作りに挑戦!まずは調味料!料理をほとんど作ったことのないユージは、もちろん目分量!完成した牛丼は、3人に食べてもらい、味を値段で評価。結果・・・3人の平均は310円。牛丼は安いというイメージなのか、なかなか厳しい評価に…。続いて、こちらの3人でも実験!
先程と同じ牛丼を出すのですが…今度は「器を変えて」みます。すると・・・3人の平均は、先程より約200円アップの533円でした!でも、全く同じ牛丼なのに器を変えるだけで差が出たのか?そのポイントは…フタ付きのドンブリ!フタを開ける瞬間、ドンブリの中身が目に飛び込み視覚を刺激。さらに、閉じ込められた、おいしい匂いが一気に放たれ、嗅覚も刺激します。それらの作用で食欲が増し美味しく感じられるんです。さらに!専門家に聞いて見ると、「器の色も関係している」とのこと。1組目は赤いデザインの器だったのに対し、2組目は青のデザインでした!専門家は「牛丼や親子丼など丼の多くは茶系の色。色味で言うとオレンジ〜黄色になる。その反対の色が青や紫になる」とのこと。
牛丼の茶系の色は、色の分布でこちらのオレンジから黄色の部分。その反対側に位置するのが…青や紫になります。実は、反対の色の器を使うことで、食材の彩がよく見えおいしくなるというのです。赤系のデザインのドンブリでは牛丼の茶系の色と同系色であるため中身があまり目立ちません。一方青系のドンブリでは、牛丼の反対色となるため中身がはっきり認識でき、いろどりがよくみえます。これによって食欲が増し美味しいと感じていたんです。
牛丼の「茶色」とドンブリの「青色」の組み合わせは彩りがよく見え、美味しそうに感じる組み合わせだった!
③プロ直伝!絶品卵とじテクニック
ドンブリに欠かせない卵とじ。その美味しさの秘密はどこにあるのでしょうか。
その理由を、東京家政大学の峯木眞知子先生に伺うと、「卵は色々な材料に混じりやすいので熱で固めますと具や割り下などが全て一緒になって美味しくまろやかに感じることができる」とのこと。
でも、家で作ると…卵を混ぜてお鍋に入れるだけで、とても簡単なはずなのに大抵は卵が分離して、ボロボロ・グズグズに。
そこで、プロの卵とじの技を学ぶべく親子丼の名店「鳥ふじ」へ。看板メニューの親子丼は素材にも調味料にもこだわった逸品で、お昼時は、いつも満席の超人気店です。
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「鳥ふじ」主人が教える卵とじテクニック
①卵はそれぞれの食感を楽しむためにかき混ぜ過ぎない
②割下は弱火にかけ、フツフツとした状態をキープ
③具が煮立ってきたら、卵を「白身から」入れる
※白身のタンパク質は複雑に絡み合っているが、熱を加えると徐々にほぐれネット状に。その隙間に割下が入り、白身が固まりながら割下を吸い、ジューシーな卵とじに
④卵を低い位置から数回に分けて入れる
※低い位置から回し入れることで卵が割下の上に乗り、割下に触れている部分はフワフワで上の方はトロトロの食感になる
⑤鍋に卵を入れたら混ぜずに蓋をしてそのままに
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