田舎暮らし
の科学
第1271回 2015年4月12日
自然をテーマに研究してきた科学者たちが…田舎暮らしを実践!
そうすれば、みんながやってみたくなる田舎暮らしができるのではないかという長期実験企画!今回は、続々と新展開が!
①始動!温室の復活作戦
目がテン流 科学者たちの田舎暮らし。この企画に賛同してくれた科学者は…農業研究30年!あらゆる作物を栽培してきた農業のプロフェッショナル東京農工大学の松村先生。そして、水力、風力、太陽光などを活用し発展途上国ケニアにも明かりを届ける自然エネルギーの専門家、足利工業大学の根本先生。3年間荒れ放題だった畑を見事作物が育つ状態まで、改良することに成功。前回、ついに田舎暮らし初の作物、ジャガイモの植え付けを行いました。田舎暮らし実験がまた一歩前進です!
そして、今回はエネルギーの専門家・根本先生が一大プロジェクトに取り組みます!それは…荒れ果ててしまった温室の復活作戦!実は以前…松村先生は当初から目はつけていたものの、温室は、長年放置されていたせいか、荒れ果てていました。もし、この温室を15度から20度に保つことができれば、真冬でも多くの作物を育てられます。
こうして、エネルギーの専門家根本先生が温室を復活させるため、立ち上がりました。温室の中には、太陽光の熱を室内に行き渡らせるための反射板がありました。ガラスの隙間などを塞いで、熱が逃げるのを防げば太陽光だけで、日中は十分な温度を確保できるといいます。
しかし!そこには大きな問題が…根本先生は、「夜は日が当たらないわけですし、曇の日も雨の日もあるわけなんで、一日中一定以上の温度を冬でもキープするということが必要となるのであれば、太陽以外になんらかの補助熱源が必要になってくるんじゃないかなと思います」と指摘。
確かに、日中は太陽光を利用できるとはいえ、夏以外の季節は、作物を栽培できない気温に冷え込んでしまいます。すると、自然エネルギーの歴史にも詳しい根本先生は、「昔、江戸時代とかに化石燃料みたいなものが無い時にビニールハウスの代わりに障子を使って太陽の熱を昼間閉じ込めていた。
夜は障子紙の中に動物のフンを入れてやって、その発酵熱で障子紙で作ったハウスの中を温めていたっていう話を聞いたことがあるんです。その江戸時代にやっていたようなことが、ここでも出来るんじゃないかな」と、江戸時代に使われていた自然エネルギーをこの温室に利用しようというのです。しかし、根本先生が目を付けた「発酵熱」とは一体どういうものなのでしょうか?発酵熱とは、微生物が有機物を食べ、分解した時に放出する熱のこと。微生物が活発に活動できる環境さえあれば、どんどん微生物が繁殖して大きな熱エネルギーを生み出すことができるといいます。さすが自然エネルギーの専門家!薪とは違い、微生物の力なら火事になる心配もなく、手間いらずです。温室を蘇らせ、作物を作ることは出来るのか?根本先生の挑戦が始まりました!
微生物が有機物を食べ、分解した時に放出する「発酵熱」によって、熱エネルギーを生み出せるのだ!
②落ち葉を使った発酵熱実験!
荒れ果てた温室を蘇らせたい!根本先生が出したアイディアは…発酵熱を利用すること。微生物のエサとなる有機物は田舎暮らしの土地に積もっている落ち葉が利用できるようです。でも、本当にその辺の落ち葉で温室を温めることなど可能なのでしょうか?早速、根本先生は大学の研究室で、事前に実験してみることに。根本先生は、有機物である落ち葉に、米ぬかを加えました。米ぬかは微生物の増殖に必要な窒素を含んでいます。
これらを混ぜ合わせることで、発酵熱を短期間で発生させることができるのでは?と考えたのです。果たしてそのアイディアは、上手くいったのでしょうか?なんと落ち葉から湯気が立ち上っています!一体、何度ぐらいの熱が発生しているのでしょうか?根本先生によると、「この土の温度で、この大きさの容器を使って、52℃とかの最高温度が得られています。
それでこの上の、狭いスペースなんですけど、40℃ぐらいの温度は常時保たれているということが確認できています。さらにこの上にこれぐらいの大きさの容器をかぶせた時に一晩置いてみるとどうなるか、というのを見てみたんですけれどもそれでも30℃台半ばぐらいの温度は、この容器の広さの中は保たれていた」と言うんです。どうやら事前の実験は大成功!これをいくつか用意し、温室の中に入れ、一日1回か2回程度この表面が乾いていたら水をかけます。気温が高過ぎる場合には蓋を閉めるなどして、1日中温室の中が、ある程度暖かくなるようにします。
あとは実際に設置するのみ!今回は合計8つのヒーターを設置する計画のため、大量の落ち葉が必要です。そこで根本先生は教え子の学生さんを集め・・・みんなで一生懸命落ち葉集め。教室では出来ない実習授業です。
そして米ぬかは地元の精米所から、廃棄されるものを、無料でいただきました。発酵熱ヒーター作りのコツは落ち葉と米ぬかを何層にも積み重ねてつくること。生徒たちも熱心に作り方を学びます。
温室復活のため、全員一丸となってヒーター作り!黙々と作業すること3時間。最後のヒーターを設置する頃には外はもう暗くなっていました。後は微生物が増えるのを待つだけ。これで温室を使った作物の栽培に目処が付きました。
落ち葉と米ぬかを何層にも積み重ねてつくることで、発酵熱ヒーターが出来上がるのだ!
③山から湧き水を引いて池を作る!
畑の方にも、さらなる進展がありました。山間の傾斜地にあるこの土地。先生は穴を掘れば、山に染み込んだ水が湧いてくると考えたのです。その湧き水をため、池を作れば、田んぼや畑に水を供給しやすくなるのですが…結局、掘ったところから湧き水は出ませんでした。
そこで松村先生が考えたのが、裏山で水源を見つけ、そこから水を引こうという計画。果たして水源は見つかるのでしょうか?すると…草の茂みに湧き水を発見!松村先生は、「ホース一本だけ、ここに持ってきて、ここから高さ考えながら回して(池)まで持っていけば、十分ひけます」と指摘。松村先生は、湧き水をため、そこから山の傾斜を利用し、ホースで池に湧き水をひこうと考えているのです。
3月上旬。計画を実行する為、地元土木業者さんに協力を要請!まず湧き水をためるため、穴を掘っていきます。そこへ、湧き水が土へ染み込んでいかないように、金属の箱を埋めました。
箱の上部に開いたこの穴から水が入り、中に溜まっていく仕掛けです!土や泥が中に入らないよう、フタをすれば完成!そして、箱の脇に取り付けたホースで水を取り出し、山の傾斜を利用して、池へと導きます。すると・・・見事、透き通った水が出ています!このホースの先端を池へ持っていけば…見事に池に水が溜まっていきました!畑に豊かな水をもたらす池がついに完成しました!前回、ジャガイモを植え、今回は池も出来、なんだか順風満帆な田舎暮らし。しかし!今、田舎暮らしの土地の周辺で、ある動物によるとんでもない被害が相次いでいたのです。
地元の方に話を聞くと…ネギ畑や野菜畑を荒らし、被害は甚大だと言います。その動物とは・・・巨大イノシシ!これから、イノシシとの戦いが始まります!
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