絶叫マシン
の科学
第1284回 2015年7月12日
子どもから大人まで大人気の遊園地!その目玉である「絶叫マシン」を科学します!
①絶叫マシンのスリルとは?
富士山の麓にある絶叫マシンの宝庫「富士急ハイランド」。お客さんにその魅力を聞いてみると…「スリル」や「浮遊感」がたまらないんだとか。それらを生み出しているのは何なのか?自動車などの乗り物の研究をしている日本大学の栗谷川先生にお話しを聞いてみると「スリルを感じる要因の1つに加速度、Gの存在があげられる」とのこと。
Gとは重力や遠心力、速度変化の大きさを表わす単位。普段、私たちの体には、垂直方向に1Gがかかっています。乗り物で移動した時は、前後左右にもGがかかります。
このGが絶叫マシンで感じるスリルの正体なのか?絶叫マシンに乗り比べて、どれくらいGが掛かっているのか、安村アナが体にGの測定器を装着して調査します!
まずは、縦の回転系・絶叫マシン「パニックロック」…最大で2.3G。
2つ目は、回転系スイングマシン「トンデミーナ」…最大で3.8G。
3つ目は、天空の回転ブランコ「鉄骨番長」…最大で1.8G。
4つ目は、79mの大落下がウリ「FUJIYAMA」…最大で4G。
5つ目は、富士急ハイランド最新コースター「高飛車」…最大で4.1G。
今回番組で調べた5つの絶叫マシン・Gランキング。上位2つは待ち時間が長い人気のジェットコースター系だったのだ!
②絶叫マシンはGが高いほどスリル満点?
調査のためにお邪魔したのは航空自衛隊・入間基地。ここにはパイロットになるための訓練用に大きなGを経験できる装置があります。今回の訓練を担当しているのは航空医学実験隊。
まずは、Gに耐える為の体の使い方をレクチャーしていただいてから実験へ。巨大アームを回し遠心力を発生させるマシーンに乗り込みます。絶叫マシンと同等のGを受けた時に、スリルを感じるのか?
動き始めると、体全体が押さえつけられるような感覚に。回転が速まるにつれ体にかかるGも増えていきます。すると、早くも1.8Gの天空の回転ブランコ鉄骨番長を超えました。そしてすぐ、パニックロックの2.3Gを超え、あっという間に「FUJIYAMA」「高飛車」と同じGに到達。しかし安村アナは富士急ハイランドで絶叫した時の表情とは違い険しい表情を浮かべていました。
実験が終わった後にはかなりの疲労感があるようでした。その理由を専門家は「Gのかかり方の違いが影響している可能性がある。G発生訓練装置では長い時間Gが作用するため疲労感が強く出る」とのこと。確かに、訓練装置でのGのかかり方を見てみると高いGがかかり続けていました。
そこで、乗り物の専門家栗谷川先生にジェットコースターの「Gの変化」を分析してもらいました。グラフでは、大きいGがかかった後に0Gになっています。専門家によると「Gが変わる中で感じる0G、無重力で非日常を感じられるのが絶叫マシンの魅力の1つ。ジェットコースターは他のアトラクションが一定のリズムやパターンを繰り返すのに対し様々なGが時々刻々と変化がある」とのこと。つまり、ジェットコースターの人気の秘密はGが高いというだけはなく、予測不可能な変化にあったんです!
予測が出来ない複雑なGの変化がジェットコースター人気の秘密と考えられるのだ!
③科学の力で絶叫マシン苦手克服実験!
今回、集まって頂いたのは絶叫マシンを克服したい4人の被験者。克服したい理由について、その中の一人は「昔から絶叫マシンが苦手で避けてきた。今年受験の中3の息子が嫌いな事から逃げてしまうタイプなので、苦手を克服する母の姿を見せ、奮起してもらいたい」と語りました。
まずは克服実験のために、まずは何もせず「FUJIYAMA」を体験。乗り終わった後の皆さんはフラフラ状態。何が駄目なのか聞いてみると「落ちてる時に内臓がふわっとなる感覚」だそう。専門家によると、本当に内臓が浮いている可能性が考えられるそう。
そこで、肉体面から苦手克服!体幹トレーニングの専門家・早稲田大学の金岡教授によると、人間の内臓や骨格を支えている体幹筋の動かし方に慣れ、内臓の浮きを押さえると克服できるかもしれないとのこと。それに有効なのがドローインというお腹を背中側に引き込む動作。
エコーを使ってドローインをした時のおなかの中の様子を見てみると、確かに平常時よりも筋肉で内臓が押さえられています。1日に何回か繰り返しドローインを行っていくと、意識しなくても普段から出来るようになるとのこと。これで内臓の浮遊感を解消できるはず!
さらにジェットコースターが苦手な理由に「自分でコントロール出来ない早さが駄目」という意見が。高さやスピードが苦手らしい。そこで今度は、心理面からアプローチ!心理学者の古澤教授からは「予習をしてみると言うことが重要になってきます。進んでいく時車体の中から前を映した映像を見て予習すると良い。声を出して次は右だ、次は下りるなど言うと恐怖感の発散になり、コントロール感も生まれる。」とのアドバイスが。というわけで被験者の4人は1週間、「ドローイン」と「DVDの予習&発声」で克服トレーニングを行ってもらいました。
そして1週間後、トレーニングの成果は…、ガッツポーズをしたりバンザイをしたり景色を楽しんだり笑顔だったりと、トレーニング前とは見違えるような結果に!映像を見た心理学者の古澤先生も「自然に笑顔が出ています」とコメント。
絶叫マシン嫌いは科学の力で克服できることがわかったのだ!
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