田舎暮らし
の科学
第1283回 2015年7月5日
自然をテーマに研究してきた科学者たちが田舎暮らしを実践!そうすれば、誰もがやってみたくなる田舎暮らしができるのではないかという長期実験企画!今回は野菜の植え付けスペシャル!
①ネギを植えよう!
まずは、ネギの植え付け!関東の人は白くて長いネギを、関西は葉っぱの先まで緑色のネギを食べるのが一般的。田舎暮らしの舞台は茨城県なので、関東の白くて長いネギを栽培します。でも、これから植えるネギの苗は、ほとんど緑。これは、どういうことなのか?東京農工大学の松村先生によると、白い部分は日が当たらないから。日が当たるところは緑色になる。だから土をかけて日に当てないように植えるという。松村先生の云う、ネギを植えるコツは、まず事前に深く溝を掘り、壁にネギを立たせるようにして植えていきます。その後、ある程度、ネギが成長したら壁を崩して土をかけ、日が当たらないようにすることで白くなるのです。東日本は土壌が柔らかいため、こうした土をかけて育てる白いネギの品種が広まりました。一方、土壌が硬い西日本は、あまり深く掘れません。温暖な気候で、ネギの葉の部分がそれほど痛まないこともあり緑の葉の部分を食べる青ネギの品種が広まったと言われています。
現在、一般的な農家では、ほとんどの場合、機械で行うネギの植え付け。手で植えていた頃は、畑の田植えと言われ大変な作業の一つとされてきました。3列で合計600本、ネギの植え付けが完了。続いては肥料。窒素、リン酸、カリウムが同じ量、配合された化学肥料。窒素には、元気な葉を付ける役割。
リン酸には、花や実をつける役割。カリウムには、根や茎を丈夫にする役割があります。
でも、ただ肥料をやればいいというわけではありません。普通、作物の根は、土壌の栄養が溶け込んだ水分を取りこんで育ちます。しかし、水に溶けやすい化学肥料が根に接していると、養分が濃くなり過ぎ、逆に根にダメージを与えてしまうのです。そのため、この肥料は、土をかけた上にまいていくのがポイントなのです。
ネギの収穫は、11月下旬予定なのだ!
②ジャガイモに異変!サツマイモを植える!!
5月に植え付けし、順調に芽吹いたジャガイモ。小さなイモを確認してからおよそ2週間で異変が起きていました。ジャガイモの芽が出てない箇所があったのです。原因を調べるため、土を掘り返してみると、無残にも腐って、芽が出なかった種イモ。掘り返した土は普通の土よりも青黒く見えます。松村先生によると、これは酸素に触れていない土だそう。その原因は水はけの悪さ。土壌の水分が多すぎ、種イモが呼吸できなくなり腐ってしまったのです。でも他のジャガイモは順調なのに、どうしてこの場所だけ?
実は松村先生、ジャガイモを植えた時、「水が、下の方にビチャビチャになっているのであまり深く植えないように」と言っていました。ちなみに、ここの植え付けを担当したのは番組スタッフ。元々の収量予測300kgでしたが大幅下方修正を余儀なくされました。
気を取り直して、この日やる予定だった作業を開始。残ったジャガイモが大きく育ってくれるよう、追加の肥料を蒔き、続いては「土寄せ」という作業。ジャガイモは土の中にある"茎"にイモができる作物。両側の土を掘り起し、伸びてきた茎に被せておけば、そこにジャガイモが新たに出来て、収量を増やせるのです。
今度はサツマイモの植え付けを行います。場所はジャガイモの隣の区画。まずはサツマイモを植える前に肥料をまくのですが、ここで大事な注意点が。サツマイモの肥料は、ジャガイモなどと違い、窒素をやりすぎるとツルばっかり伸びてイモが出来ない。
ツルボケを防止するため、窒素1:リン酸2:カリウム3の割合の肥料を与えます。カリウムの量を増やすのは根っこを丈夫にするため。作物によって、肥料も使い分ける必要があるんです。
続いては、かまぼこ型の畝を作り、その上にピッタリ黒いマルチを張ります。畑で度々見かける黒いシート、あれがマルチ。土を掘って、畝を高く盛り、その上にポリマルチをかけていきます。松村先生によると、特にサツマイモはイモが出来る条件があり、一番大きいのは通気性。マルチをかけておけば、雨が直接土に当たらないため耕して通気性が良くなった、土の構造が保たれるとのこと。さらに、黒いことで土が温められ作物の成長が早くなり、日が当たらないため雑草は生えにくくなります。そして肥料の流出も防ぐ、まさに一石四鳥!3列の畝に、マルチをかけ終えたらいよいよサツマイモの苗を植えます。
まずは、ベニマサリという甘味が特徴の品種。マルチに30cm間隔で切れ目を入れ、苗を「水平植え」していきます。そして土を被せて終了。サツマイモの苗200株を植えました。
予定収量は100kg!収穫は10月下旬予定なのだ!
③稲も植えよう!
6月初旬。農繁期もいよいよ終盤に差し掛かり、たくさんの緑が!畑に植えたカボチャにはネットを被せ、苗が風で倒れるのを防ぎ害虫も対策。害虫に弱い、ササゲの苗にもかけてあります。他にも、サトイモ、ラッカセイ、大豆を植えています。鳥に食べられるのを防ぐため、マメに鳥が嫌う匂いをつけています。
それから数日後。朝から、田んぼで作業する松村先生。植えるのは、米はコメでも、もち米の苗。これは秋には赤飯のおにぎりなんか作って盛大な収穫祭をやりたいという松村先生の想いから。
田舎暮らしの土地の田植えは、手で植えるため松村先生が東京農工大学の大学院生の2人を呼んでいました。
まず、田んぼに縦にヒモを張ります。これは縦縄後進植え。田植えは、苗が整然と並ぶように植えないとのちのち、雑草の処理などが大変になってしまいます。現在、ほとんどの場合、機械で行いますが、手で植えていた頃は定規を使って植えたり、枠を転がして目印を付けたりしていました。今回は24cm間隔で、赤いマークがついたヒモの目印通りに植え付けます。こうして、松村先生、後藤アナ、院生の4人で田植えは完了。
すると後藤アナが気になるものを発見。苗が並んだ水田の反対側に、植えられた不思議なもの。マコモという東アジア原産の作物。黒穂菌という菌が茎に寄生すると茎がそれ以上伸びなくなり、根本が膨らみます。このふくらみをマコモダケと呼び、中華料理では高級食材として使用されています。しかし、マコモダケの栽培方法はあまりわかっておらず、日本ではほとんど栽培されていないとのこと。そこで、栽培研究の一環として田舎暮らしの土地で育てることにしたのです。
ここで生まれる、世界初の発見にこうご期待なのだ!
番組に対する、ご意見、ご感想等ございましたら、番組メールボックスの方にお寄せ下さい。
宛先は、
megaten@ntv.co.jp
です。
原則、質問にはお答えできませんが、頂いたメールは、番組スタッフが閲覧し、今後の番組作りの参考にさせていただきます。