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徳之島 の科学
第1282回 2015年6月28日


 2015年で放送26年を迎えた目がテン!これからまだまだ続けていくには、所さんに元気でいてもらいたい!そこで、ご長寿さんの割合が全国平均の3倍以上、奄美諸島に属する長寿の島「徳之島」を科学!

①徳之島のご長寿さんに1日密着!

 島の南側にある伊仙町は、元長寿世界一の泉重千代さんや本郷かまとさんが生まれた町。長寿の秘密を探るためお年寄りが集まるという公園に向かうと、さすが長寿の島!80歳越えがゴロゴロ。それぞれ長寿の秘訣を持っていたのです。
 ならば、町でも指折のご長寿さんはどんな秘訣を持っているのか?久林コヒさんは94歳。普段、義理の娘さんと二人暮らしですが、1日中仕事のため、身の回りのことは自分で行うそうです。
 そんな、コヒさんの1日に密着!国立長寿医療研究センターで働いていた下方先生に見て頂きました。
 朝7時、起床。まずは、朝食の準備です。巨大な鍋の中には、大量の骨付き豚肉。これでお味噌汁を作るんだそうです。下方先生によると「朝からこれだけしっかりお肉を摂っているのは素晴らしい。歳をとるとお肉の摂取量が減ってしまい、タンパク質の摂取量が少なくなってしまう。タンパク質が少ないと筋肉が衰えてしまう。歳をとればとるほどたんぱく質を摂るよう心がけた方がいい」とのこと。酢の物とご飯を加えたものが朝食。とくに豚肉は筋肉を作るアミノ酸をたくさん含んでいるそうです。
 食事を終えると、洗濯物を干したりホウキで部屋の隅々まで掃除。さらに、雑巾掛けも行います。下方先生によると「日常生活の家事を自分ですることは、軽い運動になり体力を保つためにスゴくいい。タンパク質を摂って運動をすることで、筋肉を作って体を丈夫にする。しかも、毎日の家事をすることは、どんな風にすれば効率良くできるかを考えるため、頭を使う」とのこと。
 ひと段落すると、新聞を読み始めたコヒさん。90歳を越えてもメガネなしで小さな文字が読めるんです。  12時になり昼食の準備に取り掛かるコヒさん。献立はまたもや骨付き豚肉。ウリと白菜のお汁にご飯を加えたものが昼食。食物繊維たっぷりの野菜と昆布を食べて、栄養のバランスをとります。
 食事を終え、畑へ行くための着替え。下方先生はそれを見て絶賛!コヒさんは立ったまま靴下やズボンを履いたりしていたのです。立って服を着替えると、バランスをとる体幹が鍛えられ非常に良いとのこと。さらに、外での畑仕事も大事。歳をとるとどうしても外に出なくなってしまう人が多いが、一日ある程度の時間、日光を浴びることで体の中のビタミンDが活性化し、骨や筋肉を丈夫にするのに役立つんだとか。都会で畑仕事が出来ない人は歩数計をつけ、1日6000歩歩くと良いそうです。
 畑仕事を終え、口にしていたのはピーナツを黒糖で絡めたお菓子。徳之島では白い砂糖ではなく黒糖をよく使います。黒糖は白いお砂糖に比べてミネラル成分が非常に多く、特にカリウムは血圧を下げるのに役立つんです。
 夕方6時。仕事から戻ってきた娘さんも手伝い夕食の準備。メニューは麻婆豆腐にサラダと酢物にご飯。食事を終え、趣味の裁縫を始めるコヒさん。下方先生によると、手先を使って細かい作業をするのはスゴく頭を使うので、認知症を予防することができるとのこと。夜8時、就寝と共に1日密着終了です。

所さんのポイント
ポイント1
1日密着でわかったご長寿の秘訣は『豚肉』と『黒糖』だったのだ!

②徳之島のご長寿さんの強靭な骨の秘密!

 元気で長生きなお年寄りが多い徳之島!長寿に必要な条件を専門家に伺うと「骨が丈夫であることは非常に重要」とのこと。徳之島のご長寿さんの骨はどうか?
 80歳以上の10人を調べた結果、8人が実年齢に比べ骨年齢が若かったんです。その理由の1つが、ヤカンに付いた白い物体。これは水に含まれているカルシウムなんだとか。電気ポットの棒にもカルシウムがびっしり。
 一体何が違うのか、試しに水道水を硬度計で計測。ちなみに東京の水道水は硬度44の軟水。徳之島の水は、なんと硬度195の硬水。東京に比べ4倍以上の硬度があったんです。
 下方先生によると、島の人はカルシウムを多く含んだ硬水を飲み水や料理に使っているので骨が丈夫であるとのこと。しかし、水をたた飲むだけではダメ。重要なのが運動すること。骨に適度な負荷がかかると、骨を作る細胞が活性化して、カルシウムが沈着しやすくなり、骨が強くなるんだとか。

所さんのポイント
ポイント2
長寿の秘訣は『硬水』を飲んで骨が丈夫になることなのだ!

③何で徳之島には硬水が出るの?

 ガイドの美延さんの案内で、水の秘密を探るべく伊仙町でも内陸部の森の中へ。すると、地中深く伸びる洞窟を発見。実はここに水の秘密があるという。洞窟に入ってわかったのが、ここが石灰岩からなる鍾乳洞とういこと。石灰岩の主な成分は炭酸カルシウム。この岩を水が通り抜けるためカルシウムを大量に含んだ硬度の高い水になるんです。
 そこで、鐘乳石から流れ出る水を計測すると、硬度370とかなり高い硬水。この石灰岩はサンゴ礁が積もって固まった物。もともとこの辺りは海の底。海面の上昇と下降を繰り返しサンゴ礁が形成されました。そして30万年前、島全体が隆起することで山の中にもサンゴ礁の地質が生まれたのです。つまり、この島の成り立ちが骨を強く丈夫にする硬水を生み出していたんです。
 徳之島の地質図を見ると、カルシウムを多く含む隆起サンゴの地質と100歳以上のご長寿者が多い島の南側、伊仙町とが重なっているのが分かったのです。

所さんのポイント
ポイント3
徳之島の南部はサンゴ礁からできているから硬水が出るのだ!

④長寿食材を発見!

 長寿の秘密を探して島を歩いていると、荒波狂う岸壁で食べると長生きする長命草を摘んでいる人を発見。島で「一株食べれば、一日長生きする」と言われるセリ科のボタンボウフウという植物です。昔から栄養たっぷりで病気の予防に食べていたんだとか。
 今では、天ぷらなどにして食べ方を工夫したり、バナナを入れ苦味軽減、葉っぱをシェイクして飲んだりするそうです。
 しかもその栄養価は、ほうれん草と比べてもミネラルが豊富。血管や肌などの老化防止に効果があるというビタミンEは25倍以上。貧血を改善する鉄分は3倍以上も多いのです。  でも、なんでこんなにミネラルがたっぷりなのか?島内でボタンボウフウを栽培する方に伺うと「海水をまいている」とのこと。実はここに長寿食材としての秘密があったんです!海水には植物にとって有害な塩分以外にカルシウム、カリウム、マグネシウムなど植物の成長を助ける他の成分も多く含まれています。海水のかかる海岸などに生えるボタンボウフウは条件的塩性植物と呼ばれ、このような他の栄養素、ミネラルを取り込みことで元気に成長し、栄養たっぷりな葉っぱになるんです。もちろん、有害な塩分も一緒に取り込んでしまいますがボタンボウフウの細胞は液胞と呼ばれるゴミ袋のような器官が発達していて、そこに塩分を閉じ込め無害化しているんです。

所さんのポイント
ポイント4
栄養いっぱいのボタンボウフウを食べることで健康長寿になっていたのだ!


徳之島の食生活改善推進員 徳田昭子さん考案

〜 ボタンボウフウの肉巻きレシピ 〜

[材料:4人分]

ボタンボウフウの葉:36枚ほど

じゃがいも(拍子切り):中1個

にんじん(拍子切り:2分の1本

豚ばら肉(長いもの):300gほど
【合わせ調味料】
  黒糖:大さじ1
  酒:大さじ1
  みりん:大さじ1
  醤油:小さじ1

[作り方]

1.ボタンボウフウはさっと茹で、固い茎の部分を取り除く。
2.細めに拍子切りしたにんじんとじゃがいもを、塩をひとつまみ入れたお湯で柔らかくなるまで茹でる。
3.豚ばら肉を4枚並べ、ボタンボウフウ、じゃがいも、にんじんの順番に並べてのせ、巻いていく。
4.熱したフライパンに油を適量ひき、肉巻きをこんがりと焼いていく。(余分な油をキッチンペーパーで吸い取るとカロリーが抑えられます)
5.合わせ調味料と水を大さじ3杯入れ、落し蓋をして3分ほど火を通す。
6.蓋を開けて中火で2〜3分煮詰め、お好みでコショウをかけて出来上がり。




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