知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


工場見学 の科学
第1293回 2015年9月20日


 今回の目がテン!は全国各地で大人気の「工場見学」!
 いったいなぜ、そこまで人気なのか?科学で徹底解明します!

①マヨネーズの工場見学!脅威のスピードを誇るマシン

 いま、見学を実施している工場は全国700カ所以上!最近では、製造工程だけではなく試飲や試食ができたりとまるでテーマパークのような充実ぶり。その魅力を探るため向かったのは、茨城県五霞町。実はココ、あるものが日本一(にっぽんいち)の工場なんです。品質保証担当の上田恵さんに案内して頂きます。
 徹底した衛生管理のもと早速、工場内部へ! 実はこの工場のグループでは、日本一タマゴを使っているんです。その数、年間およそ42億個!そう…実はここ、マヨネーズ工場だったんです!この工場では1日80万個の卵を使い20万本ものマヨネーズを生産。見学者に、この工場の一番の魅力を聞いてみると…みなさん、機械のスピードに興味津々の様子。特別に近くで見せて頂くと…そこには、タマゴが高速で運ばれるラインが!さらに、そのラインをよく見ると…なんと!タマゴがものすごい速さで割られていたんです。一体、どうやって割っているのでしょうか?それは、タマゴの下に備えられた「刃」にヒミツがありました。この刃を使って、まずはタマゴに亀裂を作ります。そして、刃を左右に開き、タマゴの中身を受け皿に落とすという仕組みなんです。
 実はコレ、タマゴを素早く割るためだけに開発されたマシンなんです!そのスピードは、なんと1分間に600個!つまり1秒に10個のタマゴを割ることができるんです。さらに!実は、タマゴを割る過程で、「卵黄」と「卵白」に分けているんです。でも一体、どうやって卵黄だけを取り出しているのでしょうか?
 そのヒミツは、タマゴを受ける容器にありました。この容器には、V字型の切れ込みが入っており、そこから卵白だけが下に落ちるようになっているんです。受け皿の下には、3つの突起が取り付けられています。その突起が受け皿に振動を与え、切れ込みから卵白がより落ちやすくなっているんです。さらに、極めつきはこの急カーブ。遠心力を利用して、卵黄と卵白を完全に分離しているんです。そしてスゴいのは、マシンだけではありません。タマゴを割った時、まれに混入する「殻」。それを発見して素早く取り除いていきます。目にも止まらぬ速さで、次々と殻を取り除くこの方!タマゴを見続けて14年のベテラン、黒坂さんです。 一体、黒坂さんの目にはどんなヒミツがあるのでしょうか?そこで!
 視線が分かる特殊なメガネでどこを見ているのか、調べます。まずは、実際の見た目の映像を3分間見てもらいます。すると…黒坂さんは、視線をほとんど動かしていないことが分かったんです!目が回らずに殻を発見できるのは視線を動かさない技にあったんです。そして、取り出された卵黄はその後、お酢や油などと一緒に混ぜられマヨネーズが出来上がります。容器に充填し、キャップを閉めれば完成。

所さんのポイント
ポイント1
工場見学の魅力は、最先端の技術と熟練の職人技を目の当たりにできることにあったのだ!


②「無料」の工場見学でどれくらいお金を使う?

 向かったのは、のどかな街並みが広がる群馬県甘楽町。そこに、連日大盛況の工場があります。実は、この工場で作っているのは、群馬県が日本一の生産量を誇るもの…そう、こんにゃくです!でも、なぜこんにゃく工場がこれほど人気なのでしょうか?敷地内には有料で軽食ができる所もありますが、工場見学は無料。さらに!試食も無料であることが大きな魅力になっているんです。でも、企業にとってはどんなメリットがあるのでしょうか?企業マーケティングに詳しい、早稲田大学社会科学総合学術院の野口智雄教授に聞いてみると…「無料によって潜在的消費者のハードルを下げて来てもらう。いろいろ経費がかかりますけども、それをかけても余りあるほどのプロモーション効果が見込めるのでやる価値はある。なおかつ企業は無料と言いながら、やはりきちんと先を見越して利益がとれるような仕組みを作っているということがある」と解説。
 無料なのに利益が出る?どういうことなのか、実験です!協力してもらったのは、初めて工場を訪れた、3つのグループ。まずは、今日ここで使う予定の金額を記入してもらいます。すると…Aグループは1000円、Bグループは0円、Cグループは1200円と記入。その後、それぞれのグループには実際に工場見学をしてもらいます。
 工場では、板こんにゃくやシラタキの製造工程を見ることができるんです。そして!工場見学の後は、お待ちかねの試食コーナー。ここでは15種類のこんにゃく料理がすべて無料で食べ放題なんです!カレーや唐揚げ、レバ刺しまでこんにゃくで再現。なんとラーメンまで、全部こんにゃくなんです!おいしいこんにゃくを食べた後はお土産コーナーに立ち寄りました。そして帰り際、実際に使った金額を改めて聞いてみると…想定予算1000円だったAグループは?…2620円。一方、お金を使う予定がなかったBグループは?…760円。さらに想定予算1200円のCグループは?…なんと6220円!結果、すべてのグループが想定予算をオーバーしていたんです!一体、どういうこと!?実はみなさん、大量のこんにゃくのお土産を買っていたんです。ではなぜ、思っていたよりも多くのお金を使ったのでしょうか?
 野口先生に聞いてみると、「(工場見学は)すごく楽しくて面白いそして試飲や試食をできることによって結構おいしい、思ってたよりもずっと満足度が高かったんで、そこから感動が生まれて、だったらこんなにいい思いをさせてくれた企業に少しでも恩返しをしようというようなことがお土産の購買に結びつくという側面がある」と解説。

所さんのポイント
ポイント2
工場見学の魅力は、「無料」なのに期待以上に楽しめることにあったのだ!


③大人気!工場夜景ツアーの魅力を専門家が解説

 今、工場夜景を見るツアーが大人気!夜の工場に"萌える"ファンが増えていると言うんです。やって来たのは、日本有数の工業地帯・川崎市。工場夜景に詳しい、近畿大学景観工学研究室の岡田昌彰教授に案内して頂きます。午後6時半。屋形船でくつろぎながら出航です。今回参加したクルージングは、京浜工業地帯を2時間かけて回るツアー。さっそく見えたのは、天然ガスの発電所。年間51億キロワットの送電量を誇ると言います。
 ここで、岡田チェック!「工場夜景は昼と夜のギャップを楽しむべし!」。岡田先生によると、夜の工場の面白さというのは、いろんなものが闇に包まれてしまい、わずかな光が工場を浮き立てるという面白さがあると言うんです。この"夜と昼のギャップ"が工場夜景のポイントなんです。
 さらに見学を続けると…「フレアスタック」と呼ばれる、不要になった可燃性のガスを燃やしている光景が!そしてここで2つ目の岡田チェック!「工場夜景はアトラクションとして楽しむべし!」岡田先生によると、工場景観というのはすごく動きがなく、静かな所。この"動的な所とのギャップ"が楽しむポイントだと言うんです。さらに!煙突から吹き出す水蒸気も発見!工場夜景はまさに、アトラクションとしても楽しむことができるんです。その後、川崎の工場夜景で一番の見どころである、アンモニアを合成する化学工場が見えてきました。
 ここでは、なんと303個もの照明が使われているんです。工場の照明は、中で働く作業員が夜間に保守・点検するために照らされているものなんです。ここで3つ目の岡田チェック!「工場夜景で構造美を堪能するべし!」岡田先生によると、工場の建物には、無駄が一切なく、必要なものしかここには置かれていないんです。無駄をどんどん削ぎ落としていくと、最後は幾何学的なものだけが残ると言うんです。他にも石油を貯蔵するタンクなど機能を追求して作られているからこそ建物によって様々な"構造美"が堪能できるんです。

所さんのポイント
ポイント3
工場夜景は、見る人に自由度を与えてくれる、非常に魅力的な景観だったのだ!




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