知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


忍者 の科学
第1300回 2015年11月8日


 超人的な身体能力と数々の忍術で、敵と命懸けの戦いを繰り広げる日本のヒーロー「忍者」。いま「忍者」をテーマにしたコミックは、1億3千万部を売り上げる人気ぶり!
 今回の目がテンは、知られざる"忍びの真実"が満載!「忍者」の謎を徹底解明します!

①意外過ぎる"真の忍者像"!忍者の特徴とは?

 向かったのは、日本で数少ない、忍者の研究を行う「三重大学」。迎えてくれたのは、忍者研究の第一人者、人文学部の山田雄司教授。山田先生は、これまでさまざまな文献から忍者の実態を調査。すると…私たちが抱く忍者像とはまったく異なる"真の姿"が明らかになったというんです。では、そもそも忍者の役割とは一体何だったのでしょうか?
 山田先生が明かす、忍者の真実その一「争いごとは避けていた」。忍者は、命懸けで戦うイメージですが…"極力、争わない"のが真の姿。そのため、手裏剣も忍者とは直接関係ないのだそうです。続いて、忍者の真実その二は、「コミュニケーションの達人だった」ということ。当時忍者は、旅芸人やお坊さんに変装し、巧みな話術で現地の人から情報を入手していました。つまり、忍者にはコミュニケーション能力が欠かせなかったんです。そして、真実の忍者その三は「敵同士でも情報交換していた」こと。実は、敵同士に仕える忍者が出会っても、互いに情報を交換し合い、任務をスムーズにこなしていたんです。そんな忍者の活躍をうかがわせるのが…武田信玄の死。信玄は遺言で、死後3年は自分の死を隠すよう伝えましたが…ライバルの上杉謙信は、その死から13日後には事実を知り、織田信長も、1ヶ月後には知っていたという説が。その舞台裏にも忍者が関係していた可能性が考えられるのです。
 では"真実の忍者"とは、一体、どんな人物像なのでしょうか…?山田先生に聞くと、まず第1には「目立たない体格」。2つ目は「顔つきが"平凡"で"影が薄い"」こと。そして3つ目は、「相手をあざむく演技力!」。では、現代人の中から"忍者に適した人物"を選ぶなら、一体どんな人が当てはまるのでしょうか?
 今回は芸能人の中から、「目立たない体格」「平凡な顔で地味」「演技力がある」という3つの条件で"真実の忍者"をリサーチ。すると、…。ついに条件に該当する人物を発見!その人物とは…お笑い芸人・ドランクドラゴンの鈴木拓さん。


②忍びの伝承者直伝!忍者スズキのリアル忍術修行

 真の忍者の特徴を兼ね備えた「忍者スズキ」。忍術を習得するため、向かったのは「三重県・伊賀市」。今回、忍術を伝授していただくのは川上仁一先生。川上先生は、幼少の頃から10年以上、忍者の末裔から直接、忍術を教わり、それが認められ、現在は三重大学の客員教授として迎えられています。さっそく忍術を教わることに。しかし、忍者スズキの服装が、すべて「黒」で統一されているのに対し…川上先生は、黒や紺など…色がバラバラ。現代に伝わる忍術書「正忍記」によると、忍者の服の色は「黒」以外にも、「茶色」「柿渋色」「紺色」など様々な色を着ていたそうなんです。実は、これらの色は当時の農民達が普段着ていた作業着の色。むしろ、黒で統一された服は普段着ていなかったと言われています。
 さっそく、再現された忍者服に着替え、実践を想定した忍術修行開始!まずは…忍者スズキが、今まさに敵陣へと潜入!その時に欠かせない基礎忍術というのが…「抜き足、差し足、忍び足」。真っ暗なところでそろそろ歩くと、段に引っかかってしまいますが、この歩き方だと真上に抜くため引っかからず次の所に足がいけるというもの。抜いては刺し…また抜いては刺す。忍者スズキは、基礎練習を繰り返します。そして…さらに体勢を低くして、敵に見つかるリスクを減らします。続いて、壁際で敵の動きを確認しながら素早く移動する「横歩き」も体験。忍び歩きで、みごと敵陣への潜入に成功した、忍者スズキ。
 そこで役立つ道具が「まきびし」。これは、走りながらまくイメージがありますが、実は通り道にあらかじめまいておくのだそうです。こうすれば、自分だけはまきびしを飛び越えて安全に逃げてゆけるというわけなのです。こうして無事、情報を入手した忍者スズキ。…とその時!背後には追っ手が!!そんなピンチに陥った時は、「一反(いったん)風呂敷(ぶろしき)」を使います。ふろしきは盗んだ物を包んだり、包帯代わりにしたりと忍者が好んで身に付けていました。これが「忍術・ウズラ隠れ」!まんまと追っ手をやり過ごした忍者スズキ。横歩きで自らがまいたまきびしを飛び越え、無事に逃げおおせたのでした。


③科学で忍術を再現!空飛ぶ"ムササビの術"

 忍者と聞いて思い浮かぶのが、名作「忍者ハットリくん」。中でも有名な忍術といえば…風呂敷で空を飛ぶ「ムササビの術」。
 ふろしきを使って自由に空を飛ぶ姿に、誰もが一度は憧れたもの…。でもさすがに、これはマンガの話。不可能だとは思いつつも、ダメ元で空気力学の専門家、首都大学東京の金崎雅博准教授に聞いてみると・・・「ムササビの術は、斜めにゆっくり落ちてくるというような飛びかたであれば十分可能だと思う」と分析。なんと!「理論的には可能」ということで、忍者スズキ・ムササビプロジェクトを始動!先生の理論を元に、ムササビ装置を形にしてくれるのが…首都大学東京・人力飛行機研究会「MaPPL」の皆さん。2015年鳥人間コンテストの滑空機部門で2位の成績を収めた、まさに空を飛ぶ原理を知り尽くした集団です。
 授業の合間や放課後に作業をこなし…製作すること4日。ついに完成!今回の実験の概要を説明します。ムササビ装置の大きさは横3.4m縦1.7m。進行方向に、かまぼこ状に空気の取り入れ口が開けられています。この装置を、投擲種目の大学生選手と一緒に崖から投げ出します。そして、ムササビ装置が飛び立つのは…富士山のふもとにある断崖絶壁!今回は安全性を配慮し、忍者スズキの分身である「スズキくん2号」が実験に挑みます。スズキくん2号の姿勢が崩れないよう鉄骨で固定。そして、全体の重量バランスがやや前荷重になるよう、ワイヤーでスズキ君と機体の位置関係を調整します。
 いよいよ、助走開始位置へ…全ての準備が整いました。そして…3人の息を合わせ、忍者スズキくん2号。ついに空へ!スタート直後、地面に叩きつけられたスズキくん2号。その原因とは…スローで見てみると…崖下に落ちる恐怖からか、投げるポイントが崖から遠すぎたのが失敗の原因。そこで今度は、助走を少なくして崖ギリギリから投げる方法に変更…。そして、ベストな風のタイミングを待ち…二度目のスタート!…が、わずかに滑空した直後…反転し墜落。
 2度に渡る失敗…。その原因を金崎先生に聞いてみると…「忍者がもし、引っ張ってコントロールできればまっすぐ回復させてまっすぐ飛んで降りていけると思える飛び方」と分析。つまり、この瞬間に乗っていたのが本物の忍者鈴木ならば、バランスをとり実験が成功した可能性があるということだったんです!残念ながら失敗に終わってしまいましたが、今後に可能性を感じさせてくれました!



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