自然をテーマに研究してきた科学者たちが集結し、誰もがやってみたくなる、田舎暮らしを実践する長期実験企画。それが!目がテンかがくの里!
2度目の夏。それぞれのプロジェクトは順調に進んでいました!
ため池では…ついにあの高級魚を放流します!さらに…あの生物に赤ちゃん誕生!?そして今回から料理が専門の科学者が登場し、作った料理は…うわ!すごい色!どんな味なのか楽しみ!今回は、大自然を満喫しちゃう、夏のかがくの里。発見一杯の毎日をお届けします!
①かがくの里にホンモロコを放流!
梅雨入り間近の6月上旬。チョウチョにトンボ。色んな虫たちが訪れるようになったかがくの里。この日、かがくの里を訪れたのは、魚の養殖の専門家・北里大学海洋生命科学部の千葉准教授です。そういえば千葉先生、かがくの里で新たな魚を養殖するために、阿部さんと共に島根県益田市へ行きました。そこで目にしたのが、約1万匹の養殖ホンモロコ!ホンモロコは、琵琶湖の固有種で、コイ科の淡水魚ですが…外来魚に食べられてしまい、天然のホンモロコは数が減って、今や、絶滅危惧種になっています。
養殖も、そんなに盛んではないそうで、1キロ3000円ほどで取引される高級魚なんです。とっても美味しいと評判なのですが、どんな味なのか、天ぷらにして頂いちゃいました。コイ科の中で最もおいしいと言われるホンモロコ。臭みが全くない、淡泊なお味なのだそうです。そんなホンモロコが、かがくの里でも養殖できるということで、今回、千葉先生が取り寄せ、かがくの里の仲間入りをするホンモロコは、約1000匹!すると千葉先生、ホンモロコがびっくりしないよう、袋の水と池の水の温度を2時間かけて合わせました。いよいよ1000匹のホンモロコを放流します!
そしてもう一つ、このため池に、去年11月の収穫祭で、所さんが放流したドジョウにビッグニュースが!千葉先生が池の調査をしていると…なんと!去年の秋に放流したドジョウの赤ちゃんがすくすくと育っています。もうすぐ田植えの季節。田んぼに水をはると、ドジョウは地下のパイプを伝って、エサがたっぷりある田んぼへお引越し。夏が本格的な産卵期なので、田んぼでも赤ちゃんが生まれるはずです!このドジョウさん、役に立つんです。泥の中のエサを食べると、水に泥が巻き上がって太陽の光が底に届かなくなり、雑草が生えにくくなります。そうすると、お米がたくさん穫れるようになるんです。ちょっとだけ気が早い赤ちゃん誕生のニュース!ドジョウ養殖計画も順調のようです!
②5品種のジャガイモを収穫!
今から半年前、肌寒い3月からジャガイモ作りの準備は始まりました。
農業の専門家、東京農工大学の松村先生も栽培するのが初めてという3つの品種を加え、合わせて5つの品種のジャガイモを栽培します。この日は、種イモを半分に切る作業。種イモは半分でも十分に芽が出るので、切って植えるんです。今回、初登場の品種の中には、真紫のジャガイモも!種イモが土の中の雑菌で腐らないよう、1週間乾燥させてから…畑に植えました。4月、すべての品種が順調に芽吹いて…5月下旬。花を付けたのは去年も栽培している男爵とキタアカリ。そして遅れること1週間。新品種のシャドークイーン、インカルージュ、そしてベニアカリもかわいい花を咲かせました。
しかしそんな時…かがくの里の畑に、初めてイノシシが侵入したのです。先に育っていた男爵とキタアカリが荒らされてしまいました。めげずに植え直し、迎えた7月、いよいよ収穫です!新品種は…ベニアカリやシャドークイーンも立派に育ちました!そして小さめの赤みがかったインカルージュも。その後も、およそ2時間。夏の日差しの中、汗だくになって収穫の作業。この時、汗だくの阿部さんを自然エネルギーの専門家、東京理科大学の川村先生が素敵なものを用意して待っていました。夏の農作業を快適にするためのものだそうですが、これは何なんでしょう?
川村先生は、「これは、ペットボトル温水タワーすだれ太陽光の熱を当てて温水を作ると。それで裏側はすだれになっているから快適」だと言います。黒く塗った2リットルのペットボトルが24本取り付けられただけのシンプルな装置。ホースをパイプに繋ぎ、ペットボトルに水を入れます。阿部さんが農作業をしていた3時間、太陽の下に置いておくだけで、お湯ができちゃうそうです。最初に入れた水の温度は23度。3時間でなんと38度になりました。夏のシャワーには十分な温度です!去年、作った露天風呂へ装置を移動させて、さっそく作業着を脱いで、太陽熱シャワー!そして肝心のジャガイモは…なんと5品種合計で100kg程度収穫できたそうです!
③科学的なホクホクコロッケ作り!
ジャガイモの収穫から1週間。このジャガイモを美味しく料理してくれる新たな科学者が来てくれました。調理科学の専門家、東洋大学の露久保先生!これまでも目がテン!に出演している露久保先生は、料理の美味しさや調理法による味の変化などを科学的に研究している食のサイエンティストなのです。5種類のジャガイモを科学的に美味しく食べる料理とは?
露久保先生がコロッケを選んだのには、科学的な根拠があるそうです。
実はジャガイモは、品種によって、デンプンの量が違うそうで、それで味や食感が変わります。男爵やキタアカリはデンプンの量が多く、コロッケにぴったりの、ホクホクとした食感になりやすいそうです。新しい3つの品種も、同じコロッケにして食べ比べて、どんな違いがあるのか、調べます。しかも今回、科学的にコロッケをさらにホクホクにする方法を教えてくれるそうです。まずはキタアカリのコロッケ。茹でる前に、皮を剥くまでは普通ですが、いきなり、さいの目に切ってしまいました。実は、これが調理科学的ポイントなんです!露久保先生によると、「火が通りやすくなるのはもちろん、今日は特にマッシュしますので、より煮崩れしやすいイモに茹で上がりを整えたい」と言うんです。煮崩れやすいということは、つまり、口の中でも崩れやすくホクホクに感じるということ。小さく切って高温で茹でると、煮崩れやすくなるというのです。でもそれは、どうしてなんでしょう?露久保先生は、「おイモを含みます野菜類は60℃付近で加熱すると生のときより硬くなる硬化という現象が起きる」と説明。火を通すと、野菜はただ柔らかくなると思っていましたが、実は、60度ぐらいで、一度硬くなってからその後、柔らかくなっていくそうなんです。
つまり、カレーやシチューなど、煮崩れさせたくない場合は、水の状態から野菜を火にかけて、60度の温度帯をゆっくり通過させれば、ジャガイモがしっかり「硬化」し、煮崩れしにくくなるそうです。でも、今回は逆に…60℃付近を一気に急激に上がっていくので硬化の影響を受けにくい。ということは煮崩れしやすくなるそうです。沸騰したお湯で10分から15分、しっかり茹でると…ホクホクになりました。茹で上がったジャガイモをザルにすくい、つぶしていくんですが…ここでも科学的に大事なポイントが!露久保先生は、「ここでアツいうちにマッシュするのがポイント」と説明。野菜の細胞は「ペクチン」という成分によって繋がっています。加熱するとペクチンが溶け、細胞がバラバラになりやすくなっているので、熱いうちにマッシュすると、ホクホクした食感になるのです。
熱によって溶けたペクチンは、冷めるとまた硬くなってしまいます。その状態でマッシュすると、今度は細胞自体が破れ、細胞の中からノリのようなデンプンが出てきてしまい、おもちのような粘り気のある食感になるそうです。続いては、玉ねぎとひき肉を炒めたものと潰したキタアカリを混ぜ、丸く、形を整えます。これに卵をつけ、パン粉をまぶせば…あとは揚げるだけ!170℃の油で、衣がキツネ色になったら出来上がりです。
数分後…いい色に揚がりました。科学的にホクホク感が出るよう作ったキタアカリのコロッケ。さっそく揚げたてを頂きます。同じ調理法でコロッケにした他の品種も食べ比べ。食べているだけに見えますが、これも「食味評価」という立派な科学!今回、一番評価が高かったのは…定番の「男爵」。そして2番目は意外にも、真紫のシャドークイーン!揚げたてコロッケ食べ比べ実験!かがくの里ならではの贅沢。
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