ストレス
の科学
第1345回 2016年10月9日
現代人は常にストレスにさらされている!何気ないあの行動でストレスがかかっていた!?今回は「現代人のストレス」を科学します!
①ストレスは体にどんな影響をあたえるのか?
ストレスについて長年、研究する順天堂大学 小林弘幸教授によると「ストレスを受けると、脳の中の扁桃体という部分が反応して、体にさまざまな変化が起きる」とのこと。そこで、脳で急激な感情の変化「情動」を司る扁桃体が起こす体の変化を計測。まず、計測するのは心拍数。そして、唾液からコルチゾールというホルモンの値を計測。コルチゾールは、ストレスを感じると増加。免疫力、病気に対する抵抗力が落ちてしまうんです。最後は、血流量。指先の血流量を特殊なカメラで撮影、変化を観察します。
ここからが本番!裕太さんにストレスをかけます。その方法は10分間、1444から17を連続的に引く四桁の暗算。一時的にストレスをかける方法として研究などでも行われているものです。それではスタート!初めは順調に進んでいましたが、続けていくと百の位を間違える単純なミス。かなりストレスがかかっているようです。強いライト、慣れない四桁の暗算と試験官の厳しい目。様々な刺激が起こすストレスは、裕太さんの体にどんな変化を起こしているのか?
心拍数を見ると、平均60から70の裕太さんですが、間違えた瞬間、平常時の倍以上に跳ね上がり。すぐに急降下。続けること10分間。ストレスをうけた体の変化は、心拍数を全体的に見ると普段の倍以上に上がり急降下する、乱高下を繰り返しています。また、値が増えると免疫力が落ちるというコルチゾール値は数値が倍以上に急増!続いては、血流量の計測。ストレスをかける前は、指先は水色で、血液が流れてましたが、ストレスをかけると指先まで真っ青に。血流量が減って、末端の血管に血液がいかなくなってしまったんです。心拍の乱高下・コルチゾールの上昇、血流量の低下この状態が続くと、心筋梗塞、脳内出、脳梗塞、免疫機能が落ちてしまうので感染症や癌になりやすくなるのとこと。
なぜ、免疫機能が落ちるのか?実はストレス反応はもともと身の危険を察知した時、天敵から身を守るために備わった反応だったようなんです。まず、瞬時に逃げたり、闘うために心拍数が上がると同時に血圧も上がって体がよく動くようにします。さらに、ストレスホルモンとよばれる、コルチゾールが分泌されます。このホルモンが増えると、通常はケガを治すため使われるエネルギーが活動するためのエネルギーに回されるんです。そのため、コルチゾールが増えると免疫力が落ちるんです。そして、血管が収縮するのは、怪我から身を守るため。血流量を下げることで、ケガをしても大量の出血を防ぐことができるんです。心拍数や血圧の上昇は心臓や脳に負担がかかり、心不全・心筋梗塞・脳内出血・脳出血につながる可能性があるんです。またコルチゾールの上昇は、免疫が低下して感染症やガンに。
ストレスを甘く見ていると怖い病気になるリスクが高まるのだ!
②自律神経とストレス
ストレス状態かリラックス状態かがわかる指標がわかる自律神経は交感神経と副交感神経があり、活動のバランスがちょうど同じ割合だと理想的な状態。ストレスがかかると交感神経が上がる。この自律神経の活動を見ることで、現代人の、緊張状態がわかり意外な場面で無意識にストレスがかかっていることがわかる…そこで!ストレスはどんな場面で襲ってくるのか?ストレスの指標となる、自律神経のバランスを計測!
東京と山形、都会と田舎で暮らす二人の男性に密着。まず一人目は…山形在住の鈴木さん61歳。トマトやキュウリを育てる農家です。鈴木さんには、自律神経のバランスを見る機械を一日つけていただきます。
鈴木さんは毎朝5時半に起き畑へ向かいます。朝はきゅうりの収穫。仕事ですが副交感神経が優位のリラックス状態。収穫の作業が終わると朝ごはんです。このときも交感神経と副交感神経のバランスが良い、理想的な状態。その後は、畑の水やり。ルーティンの作業のため、自律神経もよいバランスを保っています。その他にも、農協への出荷・種まきと…仕事が続きますが、どの場面でも自律神経のバランスは良い状態で安定していました。
一方、都内在住の林さん35歳。働き盛りの営業マンです。3人のお子さんがいる林さん。朝食後、メールチェックを始めると…急激に交感神経の割合が増加!パソコンを見ている間、ずっとストレスが。小林先生によると、パソコンの光や、姿勢が悪い状態が続くのでストレスがかかるそうです。
午前8時、出勤。身動きが取れないほどの、すし詰めの満員電車に20分、乗車。身動きの取れない狭い空間。交感神経が優位のストレス状態に!
林さん、この日は展示会での仕事。バイヤーへ製品のプレゼン中。交感神経の割合はどんどん上昇!小林先生によると、初対面の人と会話したり、考えながら話すことでストレスがかかるそうなんです。
12時半。お昼の休憩です。リラックスできるかと思いきや、行列を目にして交感神経が優位に。店が混んでいたからでしょうか。休息の時間にも関わらず、ここでも交感神経が優位で緊張状態が続きます。食後は、東京駅へ。会社関係のセミナーを受けます。2時間のセミナー。この時間も、ずっと緊張状態が続いています。ここまで林さんは、ほぼリラックスする時間がなかったんです。
一方、午後6時。山形の鈴木さんに異変が!これまで、自律神経のバランスがずっとよかった鈴木さんですが…直売所からの売上のメールで納品したきゅうりが売れ残ったと知った瞬間、交感神経の数値がハネ上がりました。しかし、家に帰ってお酒を一杯飲むと…副交感神経が優位になりリラックス!このまま1日を終えたのです。小林先生によると「自律神経が事によって変動してもすぐに元に戻るというのは元々のバランスが良い人。」とのこと。
一方、都会の林さん。後輩と夕食へ。ようやくお酒でリラックスかと思いきや…飲み会でも交感神経が優位に!小林先生によると、仕事の話をしたり、後輩に気を使ったことで、交感神経が上がったと考えられるそうです。夜9時。帰宅。交感神経優位がずっと続いていましたが…奥さんと会話をすることで…やっとリラックス状態に!お風呂に入った後も副交感神経が優位な状態が続いています。しかし!スマホを見始めると、交感神経の数値がみるみる上がっていきます。結局、交感神経が高いまま、就寝。専門家によると「夜になってもまだ交感神経が高いままで副交感神経が上がってこない興奮した状態で睡眠に入るためいい睡眠が得られない交感神経が優位の状態が続いて血流が悪くなる状況が続くそのダメージが大きくなると大病にも繋がる」とのこと。
現代はストレス社会!就寝前にパソコンや携帯電話を使うと自律神経が乱れる!
③現代ストレスコントロール法
順天堂大学の小林先生が教えるストレス対処法のポイントは「副交感神経を上げること」。交感神経優位になりがちな現代人。副交感神経を優位にする、どこでも気軽に出来る対処法があるといいます。
一つ目は「ため息」。専門家によると「ため息をつく前は、心配事や不安なことが多いので呼吸をしていなかったり浅かったりする、そのリカバリーショットがため息になっている」とのこと。
<ストレスに効くため息>
・4秒鼻から息を吸い
・8秒で吐く ※吐く息を長く
・これを1分間繰り返す
4秒吸って8秒吐く。この秒数が重要!首の頸動脈付近に副交感神経に関わるセンサーがあり、これが息を吐く時に刺激され副交感神経の活動が優位になるんです。
二つ目は「作り笑い」。人間は緊張したり、ストレスがかかっていると顔がこわばり、表情筋が硬くなる。そこで、作り笑いをすることによって筋肉を緩め、顔の血流を良くし、副交感神経を活性化させる。
<ストレスに効く作り笑い>
・口角を上げたり下げたりする
・これを1分ほど繰り返す
これらのストレス対処法はどのくらい効果があるのか実験!被験者に、先ほど裕太さんが体験した4桁暗算でストレスをかけます。ストレスホルモンであるコルチゾールの値と…自律神経のバランスを計測します。ストレスをかけた後に1分間の作り笑いを実践!始めは、交感神経が優位な状態でしたが…作り笑いで、みるみるうちに副交感神経が優位になっていったんです。別の方はため息を1分間。作り笑いと同様に、ストレスをかけた直後は、交感神経が優位でしたが、ため息を行うと…副交感神経がどんどん優位になったんです。さらに、ストレスをかけると増えるコルチゾールの値にも変化が!計算問題によって増えたコルチゾールですが、直後に対処法を1分行うと…それだけでぐっと数値が落ちたんです。
ため息と作り笑いでリフレッシュ!ストレスは溜めないことが大事なのだ!
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