放送内容

第1386回
2017.07.30
グリーンランド の科学 夏休み特集 場所・建物

 今回の目がテンは、夏休み恒例の海外特集!真夏の暑―い日本を離れ・・・目にも涼しい氷の島、グリーンランドにやってきました!
 多くの部分が北極圏に入るグリーンランドは、地球上で一番大きい島!夏でも陸地の80%以上が氷で覆われた、氷の島でもあるんです!
 実はグリーンランド、目がテンで調べたところ海外に行く日本人の99.99%が足を踏み入れない、まさに秘境中の秘境でした!
 今回の目がテンは、夏休み海外特集!グリーンランドの科学です!

夏でも陸地の80%以上を覆う氷を徹底調査!

 日本から飛行機で約12時間、まず降り立ったのは…ヨーロッパの北、北欧に位置するデンマーク王国。秘境グリーンランドはここからさらに結構離れているんですが、実はデンマーク王国に属しており、グリーンランドへ行くには、首都のコペンハーゲンを経由する場合が多いんです。
 デンマーク王国は、国連が発表した、「WORLD HAPPINESS REPORT2016」の世界幸福度ランキングで世界一に輝いた国。石造りの美しい町並みや…アンデルセン童話の人魚姫などを生んだおとぎの国としても有名です。
 とここで、目の前に現れたのは…目がテンおなじみ、調理科学の専門家、東洋大学の露久保美夏助教授。グリーンランドを食の観点から調べていただくため、今回はるばる来ていただきました。
 コペンハーゲンから飛行機でさらに4時間半!降り立ったのは、グリーンランドの南西「カンゲルサック」という町。氷の島というイメージとは違う茶色の風景。どこにも氷は見当たりません。そもそも島の住人が暮らす町は、夏は氷に覆われない島の沿岸、20%の地域にあるんです。そこで、80%以上あるという、夏でも氷が溶けない、地図上で白い部分の内陸を目指します。町から車で走ることおよそ5キロ。見えてきたのは・・・。グリーンランドでも夏しか見られない、緑に囲まれた湖。
 これも確かに絶景ですが、氷はどこに?すると…大地の奥に白いものが!一見、雲に見えますが、実は氷河なんだそうです。

 氷河とは…【まず陸地に、雪が解けずに積もり続け、自らの重さで圧縮されて、下から氷になります。その氷がどんどん厚くなり、氷の重さが限界を超えると、ゆっくり横に氷が流れ始めます。この、氷が河のように流れる状態】が氷河。グリーンランドを覆う氷は、この氷河なんです。氷河を間近で見られる場所を求め、さらに奥地へ。町から車で走ること3時間。遂に、出会うことができたグリーンランドの氷河。ここは、島の中心部分からゆっくりと流れてきた氷河と陸地との境目だといいます。氷河と陸地の境目を、間近に見られるこの場所は大変貴重で、世界中から数多くの研究者が訪れるそうです。この氷河を空からみてみると、果てしなく続く、広大な氷河が!グリーンランドを覆う氷河は、最も厚いところで3000mを超える厚さがあるといいます。

 こうした、陸地に広がる氷河を「大陸氷河」といい地球上に、南極とグリーンランドにしか存在しないもの。気軽に大陸氷河を見られるのは、グリーンランドだけです。さらに氷河を上から見てみると、表面がギザギザに割れているのがわかります。これは、氷河の流れる速さが場所によって異なり、その速さの違いで氷が割れてしまうんだそうです。

ポイント1

グリーンランドは、動く氷、氷河におおわれた島だったのだ!

氷山の絶景!世界遺産のアイスフィヨルド

 カンゲルサックからプロペラ機に乗り、北へさらに250キロ!世界遺産があるという街へ。到着したのは、カラフルな家が立ち並ぶイルリサットという町。港には、氷河が陸から海に落ちてできた「氷山」が目と鼻の先まで迫ってきています。実は、町の名前の「イルリサット」とは、現地語で「氷山」という意味。この町に、世界遺産に指定された特別な場所があるというんですが・・・。その前に、この大量の氷山、一体どこから流れてきているのでしょうか?
 衛星写真をみてみると・・・内陸から海に向かって帯状に白くなっています。長さ、約70キロもある白いところは、海水が入りこんだ湾なんですが白く見えるのは全てが氷山です。

 氷河が海に落ちて氷山が生まれ、その氷山が湾にぎっしり詰まっている状態になっているんです。他では中々見られない、この奇跡の状況。その理由は地形にありました。グリーンランドの海岸線をみてみると…複雑に入り組んだ形をしています。これは「フィヨルド」と呼ばれる地形。氷河が削り取ったことで生まれた、湾や入り江のことです。太古の昔、地球に氷河期が訪れ、地上の多くを氷河が覆った時期がありました。氷河が内陸から海へ流れる時、その重さで、陸地を削り取っていきます。その後、氷河期が終わり、氷河が解け、削られた部分に海水が流れ込み、湾や入り江ができます。これがフィヨルド。イルリサットのフィヨルドは、氷山が湾を埋め尽くしていることから、「アイスフィヨルド」と呼ばれています。氷山で埋め尽くされた奇跡の絶景が見られる、このアイスフィヨルドが、世界遺産に認定されているんです。

 それでは、世界遺産の絶景を見るために町の港へ。市役所の世界遺産担当、フレデリックさんが案内してくれます。それでは出港!すると…早速目の前には、海に浮かぶ多くの氷山が!しかしこれはまだ、世界遺産の風景ではないそうですが、見たことのない光景。フレデリックさんによると、氷山の見えている部分は全体のわずか10%程度で、残りの90%が海に沈んでいると言うんです。浮力の関係で、残りの90%が海に沈んだ状態になっているそうです。そしてついに、世界遺産に到着!海を覆いつくす巨大な氷山の数々!これが、世界遺産「イルリサット・アイスフィヨルド」。まさにここでしかみられない、神々しいまでの氷山の姿。美しさとスケールはまさに「氷の山」というにふさわしいものです。横から滝のように水が落ちる不思議な氷山もありました。上から見てみると・・・解けた水が湖のようになっています。この水が中を通って、滝になっているようです。

 まさに自然の織り成す神秘。目の前に迫る氷山の大きさは圧倒的巨大さでした!そこで、デジタル測定器を使って高さを測ってみると…なんと約32m70cm!8階建てのビルくらいの高さになります。この高さでも、見えているのは氷山全体のわずか10%ほど。海の下に、どれだけ巨大な氷の塊が潜んでいるのか、想像もつきませんよね。数えきれないほどの巨大な氷山が織りなす自然の芸術、アイスフィヨルド。陸からも見てみました。陸側から見える絶景では、湾の向こう岸まで、海が氷山で埋め尽くされているのがよくわかります。この氷山は、常に陸からの氷河に押され、この瞬間も少しずつ流れているそうで・・・ならば、氷山が流れる様子を見てみたい!そこで氷山に向け、定点カメラを設置。早送りで見てみると、氷山が内陸から沖に向かって押し流されているのがわかります!さらに、貴重な映像を入手しました!これは、氷河が陸地から崩れ、世界遺産のアイスフィヨルドへ落ち、氷山が誕生する瞬間です。氷河が陸地の端からダイナミックに崩れ、陸から海に落ちて氷山になる様子がわかります。ここの氷河は、1日で約20メートルも動く、世界で最も活発なもの。だから、氷山もたくさん生まれるんです。

ポイント2

世界一動く氷河と、それが作り出す氷山の絶景が世界遺産の秘密だったのだ!

数千年前の氷でかき氷!

 氷山を眺めていた時、露久保先生が“青い氷山”を発見。よく見ると、確かに白い氷山に混じって、青いキレイな氷山が。これはどういうことなのか?氷河を研究する、北海道大学の杉山慎教授にきいてみると…杉山先生は「白い氷は、太陽からの光が全部我々の目に飛び込んでくる。光が全部均等に反射されてると白く見える」と解説。白く見える氷山は、氷の中に気泡が多く入っています。氷に当たった太陽の光が気泡で散乱し、全ての波長の光が目に届いて白く見えます。
 一方、青い氷は、「氷が光の内赤い成分を吸収する性質を持っているから。太陽の光が氷の中に入って、赤い光だけが吸収されて、それ以外がまた出てくると、赤を失って青く見える」と、杉山先生は解説。気泡が少ないと光の散乱は起きず、太陽光が氷山を通る間に光に含まれる赤い成分が氷に吸収され、青い光は吸収されずに目に届くので青く見えるんだそうです。

 さらに、船で氷山に近づくと・・・不思議な音が!これは、氷の中に閉じ込められた数千年前の空気が弾ける音。つまり今浮いている氷山は、数千年もの時間をかけてようやくここに辿りついたものなんです。すると、露久保先生から「氷がどんな味がするのか食べてみたい」と要望が!するとフレデリックさん、すくって食べてみなと、網を渡してくれました。それでは初体験!世界遺産すくいです!無事、氷山のかけらをゲット!すると・・・露久保先生が取り出したのは、かき氷器!?なんと、数千年前の氷を、日本流のかき氷にするというんです。ナイフでかき氷器に入る大きさにして、いよいよ削っていきます!そして、かき氷といったらシロップですが、なんと露久保先生、出発前に宿でシロップを用意していました。その味は、グリーンランドだけに緑の抹茶!世界遺産の氷山を削った氷山かき氷が完成しました!

ポイント3

数千年前の氷山のかけらで作るかき氷は、まさに世界遺産に刻まれた時を超えたロマンの味がしたのだ!