放送内容

第1389回
2017.08.20
第5回 実験グランプリ[後編] 物・その他

夏休みの大好評シリーズ!
おもしろ実験が目白押しの目がテン実験グランプリ後半戦です。

「光る定食」&「光と音の実験」

 埼玉県、坂戸市にある坂戸高等学校。学校の名物先生が科学部顧問を務める山田暢司先生。これまでユニークな実験を数多く手がけてきました。
 例えば、何の変哲もない真っ白のハンカチをピンセットで掴み、火を着けると…当然、一気に燃え上がりました!しかし、なぜか焦げ目一つなく、真っ白なまま。実はこれ、エタノールに浸したハンカチでした。エタノールは気化しやすく、火をつけると、気化したエタノールだけが燃えます。そのためハンカチは全く燃えなかったんです。続いて用意したのは、風船とミカンの皮。風船の上でミカンの皮を絞ると、触れてもいないのに風船が割れてしまいました。これは、ミカンの皮に含まれるリモネンという成分によるもの。リモネンにはゴムを溶かす性質があるんです。

 今回、数あるおもしろ実験から「ピカッと光り輝く定食実験」をスタジオで紹介。用意したのはたくあん。これに電極となる2本の棒を刺し、電気を流すと、たくあんが光ったのです!さらに、鮭も同様に電気を流すと光ったのです。

 なぜ、たくあんが光ったのか?ポイントは「塩分」です。例えば、生の大根は塩分が含まれないので、水分だけでは電気を通さず光りません。たくあんの水分には塩分が含まれるため、電気が流れます。その時、電気抵抗によりたくあんに熱エネルギーが発生。さらに内部温度が高くなると水分が蒸発、塩が燃えます。あの黄色い色は、塩が燃える時に出す色だったんです。試しに塩自体を燃やすと、確かに黄色い炎が出ています。実験とまさしく同じ色だったんです。

 さらにもう一つの実験が、出演者たちが手に透明なチューブを持ちます。照明を暗くした後、チューブの口に電子ライターで火花を起こします。すると…チューブが光り、音も鳴りました。実は先ほどのチューブには水素と酸素を2対1の割合で混ぜた気体が入っていたのです。そこに、きっかけとして火をつけると、水素と酸素が反応して結びつき、水になります。その時、光としてエネルギーを放出するんです。実はこの水素と酸素による反応熱はロケットの燃料としても使われているものなんです。

芸術家がみせる「音が目に見える実験」

 埼玉県川越市、のどかな田園風景の中に、金沢さんのアトリエがありました。金沢さんの専門は金属彫刻。これまで「金属」と「音」にこだわった様々な作品を生み出してきました。そんな金沢さんが見せてくれた実験は「音が目に見えるアート」。
 鉄板で作った台の上に5色の「色砂」を置きます。そして、針金の先にスーパーボールをつけた道具で鉄板の縁をこすって音を出します。すると鉄板の上の砂が形を変え始めたのです!

 なぜこんなことが起こるのか?実は、音の振動が伝わる時、鉄板には振動している部分と振動してない部分ができます。振動している部分からは砂がはじかれ振動していない部分に砂が集まるため、このような幾何学模様ができるのです。これをクラドニ図形と言います。その証拠に、鉄板に針金を当てると、砂が集まったところは振動しておらず、砂がないところは激しく振動しているのがわかります。低い音だと鉄板に伝わる振動の周期が長く、大きめの模様になります。一方、高い音だと振動の周期が短く細かい模様になるんです。

「超電導実験」

 宮城県、仙台市。杜の都に東北大学、工学研究科はあります。今回、実験グランプリに参戦するのは超伝導を研究する学生さん。“超電導”とは、特定の金属や化合物を冷やすことで、電気抵抗がゼロになる現象です。例えば、超電導になる特別な化合物を室温の状態で豆電球につなぎ、電気を流します。すると電気は流れにくく豆電球は光りません。そこで、この化合物を超低温の液体窒素で冷やします。ここに電気を流すと、今回は、豆電球が光ったのです。この時、電気が抵抗なく流れる「超電導」という状態になっているんです。今回はその特徴を使ったおもしろ実験を見せてもらいます。

 用意したのは、超電導になる化合物。それとネオジム磁石という超強力な磁石です。強力な磁石の上に、この化合物を置いてみます。…何も起こりません。くっつきもしません。そこで今度は超低温の液体窒素を入れた容器をセット。この中で化合物を冷やし、超電導状態にして、強力な磁石の上に置くと…、宙に浮いたのです。さらに、磁石を手に取って逆さにしても、一定の距離で宙に浮き続けています。紙を間にいれても浮いています。

 これは、超電導体のピン止め効果というもの。超電導の性質の一つが『完全反磁性』。これは磁力に対し、強く反発する性質のことです。一方で、磁力が強力な場合、超電導体を無理やり磁力線が突き抜けます。この時、磁力線が超伝導体と磁石をつなぎ、まさにピンで止めたような状態になります。この2つが合わさることで、超伝導体は安定して浮くことができるんです。

 さらに、もう1つ実験! 超電導ジェットコースターです。ジェットコースターのレールには強力磁石が貼られています。コースはひっくり返ったり、回転したりしている部分があります。ここに超電導体を置くと、レールの上を浮いたまま、コースアウトすることなく猛スピードで走ります。これは超電導体と強力磁石の間に摩擦がないのでスピードが出るんです。

前編・後編に渡って紹介してきた実験グランプリ。
小学生審査員が選んだ、栄えある第5回のグランプリは・・・アインシュタインラボの「液体窒素で雨を降らす実験」に決定!
おめでとうございます!