放送内容

第1502回
2019.11.24
かがくの里・田舎暮らし の科学[収穫祭2] 場所・建物 食べ物 自然・電波・鉱物・エネルギー

 何もない石だらけの荒れ果てた土地を、豊かな里山に作り上げてきたかがくの里も今年ではや5年!今年も所さんがやって来て、にぎやかに大収穫祭を開催!
 いろんな里の恵みに、みんな大盛り上がり!そして本日は、今年の目玉!炭焼きプロジェクト!うなぎを美味しく焼くための炭はできたの?さらに!新たに見つけた植物、美味しいものも盛りだくさん!かがくの里、5回目の大収穫祭スペシャル!

7か月の結晶! 阿部さんのしょうゆ仕込み

 今年4月。阿部さんと露久保先生は、自家製しょうゆ作りに初挑戦。その材料となるのはもちろん大豆。2年前、かがくの里に種をまき、発芽から丁寧に育てて、たくさんとれたエンレイという加工に向いた品種の大豆です。
 それとしょうゆづくりに欠かせない材料が、里でイチから育てた小麦。小麦はデンプン性の食品のため、発酵させている間に甘みやしょうゆのコクに。大豆と小麦に、麹菌を混ぜると発酵が始まり、長い時間をかけ、ゆっくりとしょうゆになっていくんです。

 それから7ヶ月、阿部さんが手塩にかけたしょうゆ、さあ、その出来はどうなったのでしょうか?
 前回、収穫し、大好評だった里のサトイモに阿部さんのしょうゆをつけると、所さんも高評価。ただ、まだ熟成が足りないため塩辛いですが、さらに熟成させると、もっと美味しいしょうゆに仕上がるそうです。

間伐材を使った炭焼きプロジェクト

 さかのぼること4ヶ月前、里山の整備で出る間伐材を有効利用するため新たに取り組み始めたのが炭焼きプロジェクト。目標は、里の炭でウナギを美味しく焼くこと。そこで職人さんが使う備長炭の様な炭を目指しました!
 硬い炭だと、遠赤外線がでて表面が焼き固められ、よりうま味が閉じ込められるんです。
 硬い炭を作る上で最大のポイントが窯の温度!
 一般的な炭を焼くときは、窯の温度は300〜700度の間。けれど備長炭の場合、窯の温度を1000度近くまで上げる必要があるんです。
 村田先生は友人の工房を訪ね、空気の循環がよくなる長い煙突や断熱材を使い、理論上は、高温になる窯を制作。
 しかし、実際に炭を焼いてみると大失敗!でてきたのはボロボロの炭ばかり。最初に窯の温度を300度まで上げるとき、1時間かけてゆっくりと上げていくのが大事なポイント。
 けれど窯の性能が良すぎて、わずか10分で300度まで上がってしまい、燃え尽きて、ボロボロの炭になったんです。
 固い炭にするには1000度近くまで温度を上げなければならないのに、急激に温度が上がると、炭がボロボロに。その後、何度もチャレンジしましたが失敗の連続でした。

 収穫祭2日前。村田先生は、収穫祭での成功を目指し、窯を改良。
 改良のポイントは隔壁。今までは、窯の入り口が広く、酸素が多く入る構造だったため、火がまわりすぎ、温度が急激に上がってしまいました。

 そこでドラム缶と燃料をくべる入り口の間に、耐熱レンガで仕切りを作り、酸素の取り込みを調整して、温度をゆっくり上げていこうという作戦!

 その作戦で2日前から焼き上げた窯の炭。炭の出来を判定してくれるのは、毎日備長炭を使っているウナギ職人の高木さん。
 出来た炭を見てみると、見た目は中途半端な感じ。そこで高木さんが普段使っている備長炭と比べてみることに!すると、里の炭にも、備長炭と同じような光沢が。

 実は、炭の光っているところは、高い温度で焼いた証拠。
 ウナギ職人高木さんの最終判定は、「備長炭ではないけどいい感じ」。実際に使ってみないとはっきりとは分からないということで、後ほど高木さんに、この炭を使ってウナギを焼いてもらいます。

里に生えていたクズを使って、目指すは高級食材!

 でも、その前に!実は炭焼き中、村田先生は、大きなクズを見つけたそう。村田先生が発見したというクズは、山の中など比較的どこにでも生えている、マメ科のつる植物。
 ほかの木などに巻きつき、成長を邪魔するなど厄介な雑草として扱われることも多いんですが、古くから、クズの根っこから取れるクズ粉は貴重なもの。クズ粉といえば、普段私たちが食べているくずきりの原料。
 でも実は、世の中に出回っているくずきりの多くは、クズ粉ではなく、小麦粉やさつまいものデンプンなどから作られたもの。
 その理由は、1キロのクズの根っこからくず粉はわずか100グラムしか取れない上、取り出す作業はとっても大変。クズ100パーセントのものはかなり高価で、80グラムで1000円するものも!でも、そのデンプンは良質で、煮ると透明になり粘度が高いのが特徴。今、ブームのタピオカよりも弾力が強いんです。
 クズのことに詳しい植物の専門家、粕谷先生にも来ていただきました。実は、クズの根っこはまっすぐ一本、下に向かって生えているのではなく、枝分かれし、横に向かって絡み合いながら伸びているそう。それでは、力を合わせて、里のクズ、掘ってみます!

 クズのデンプンは、どの根にも入っているわけではなく、塊根という、太くてまるい根にたくさん入ってるそう。太い根だと、人の大きさにもなるんです。

里で獲れたゴマに里の味噌に舌鼓

 その間、所さんは小屋で休憩。綺麗なレイアウトは、西野さんの友人、中野さんたちが里山の植物で飾り付けしてくれたもの。

 すると、里の恵みで作ったおやつを持って露久保先生が。露久保先生が作ってくれたのは、里の恵みで作った中部地方の郷土料理“五平餅”。味付けに使ったゴマも、実は今年初挑戦したもの。
 7月に種をまき、すくすく育って2ヵ月後にはゴマの花が。その下には、実ができてゴマがびっしり。そして10月下旬には、熟して黒くなりました。
 そして収穫祭前日、露久保先生の五平餅づくり。ここでちょっとしたポイント!ゴマを擦る前に炒ることで、より香りが引き立つんだそうです。
 しっかり炒ったゴマを擦って、潰したクルミと混ぜたら去年仕込んだ里の味噌。あとはきび砂糖、みりんなどを入れたらタレの出来上がり。お餅には、高橋先生が里で育てたゆうだい21を使います。五平餅はお米の食感を残すのが特徴。もち米より、うるち米を使うのが主流なんです。あとは七輪で焼いて、タレを塗ったら、里の恵みいっぱいの五平餅!

 一方、クズ堀チーム。1時間頑張って掘りましたが、根はまだまだ広がってるようです。