第1516回 2020.03.08 |
免疫力UP術スペシャル の科学 | 人間科学 食べ物 |
免疫力を上げることこそ、感染症から身を守る最大の近道。免疫力を上げるには、バランスの良い食事、ストレスの軽減、質の良い睡眠、適度な運動が大事。目がテンでは、免疫力をUPさせる様々なヒントをご紹介してきました!その中には、今すぐ家庭で実践出来るものがたくさん!そこで…目がテン流免疫力UP術を一挙、大公開!
感染症に負けない体を作れ!緊急放出!「目がテン流!免疫力UP術SP」!
そもそも免疫とは?
社会を混乱の渦に巻き込んでいる新型コロナウイルス。人類が初めて出会う新しいウイルスであるため、ワクチンも薬もなく今、手洗い、うがいなどの予防の大切さが叫ばれています。そしてもう一つ、大事なのが、生まれながらに人間が持っているウイルスに対抗する能力、「免疫力」!
そもそも、免疫とは何なのか?順天堂大学の三宅教授によると、免疫は外から入ってくる細菌とかウイルスといった病原微生物に対して免疫細胞が反応して、からだを守るシステムのこと。
免疫は、2重のバリアで人体を守っています。最初のバリアは「自然免疫」。「自然免疫」とは、私たちが生まれながらに持っている免疫のこと。細菌やウイルスが侵入してきたときに、まっさきに反応してくれるフロントラインの細胞です。
もう一つのバリアが「獲得免疫」。「獲得免疫」は私たちが生まれてから次第に獲得していく免疫。外から入ってくる微生物のことを記憶して、次に同じものが入ってきた時により効率的に、より早く反応することができるシステムです。それを応用したものがワクチンになります。
新型コロナに関しては、人類がこれまで経験したことのない微生物なので、獲得免疫をまだもっていない状態。その為に、重症化したり恐れられているんです。そんな、獲得免疫がまだないウイルスに対し、自然免疫は人体を守る最初のバリアとして、機能しています。
自然免疫を高めると外から入ってくる、細菌やウイルスによる感染症に対抗するのに非常に有効な手段になります。
免疫力UP術 食べ物編
まずは、今すぐ、普段の食生活に取り入れられる“食べ物編”!目がテンが紹介してきた、免疫力UPが期待できる様々な食べ物。中でも、注目したのが、野菜や果物に含まれている抗酸化物質。ポリフェノール、カロテンといった機能性成分で、普段食べている部分にも含まれていますが、植物が紫外線などから身を守るために持っているものなので皮などの外側に多いんです。
では抗酸化物質が、なぜ免疫力UPにいいのでしょうか?
食生活の乱れなどにより、体の中で増えてしまう活性酸素。活性酸素が増えると、細胞が傷つき、様々な病気や老化を引き起こす可能性があります。しかし、抗酸化物質は、活性酸素の働きを抑制するため、細胞が傷つきにくくなり、その結果、免疫力UPにつながるのです。
野菜や果物の皮に含まれる抗酸化物質、ポリフェノールを暮らしの中で上手に取り入れていたのが、長寿村として知られる長野県の「松川村」!「元気で長生き」ということは、免疫力が高い証拠!そんなご長寿さんたちは、実はリンゴを皮ごと食べていました。リンゴの皮に豊富に含まれている抗酸化物質ポリフェノールをたくさん摂っていたんです。
名古屋学芸大学大学院の下方教授によると、ポリフェノールは動脈硬化を防いだり、ガンを防いだり、老化を防ぐなどの作用があり、皮のまま食べるのがいいそう。リンゴはよく洗って皮のままがおすすめ!免疫力UPが期待できます!
さらに、抗酸化物質が豊富に含まれる、野菜の皮をおいしく頂く方法がスープにすること。普段は捨ててしまう野菜の皮を「20分間、水から煮込む」と、加熱することで、細胞組織が壊れ、抗酸化物質などが溶けだし、美味しくて、体にいいスープに!
ポリフェノールやカロテンといった抗酸化物質を上手にとって免疫力UPを目指しましょう。
免疫力UP術 生活習慣編
食べ物以外でも、免疫力UPが期待できるものがあります。日々の生活の中で、免疫力を向上させる、“生活習慣”とはお風呂。シャワーで済ませがちな人もいますが、槽にしっかり浸かる入浴は体を温め、血流を良くすることで、細胞が活性化するいい行為。実は、免疫力UPにつながる“入浴方法”があるんです。それは、「熱めの温度で入浴」をすること。
一体どういうことなのか?目がテンが訪れたのは「玉造温泉」。「美肌の湯」として知られています。露天風呂の温度を測ってみると、41℃。普通のお風呂よりも少し熱いくらいのお湯です。実は、この温度が免疫力を上げるためのポイント。
41℃くらいのちょっと熱めのお湯に15分くらい浸かると、体温が38℃以上になります。その後、身体が冷えないようにしっかりと保温します。すると、体内でヒートショックプロテインというたんぱく質が作られ始めます。ヒートショックプロテインとは、身体に何らかのショックが加わった時、そのショックから細胞を守るために作られるたんぱく質のこと。ヒートショックプロテインは、自然免疫で大きな役割を果たす、免疫細胞の数を増やしたり、正常な細胞がウイルスに侵入されるのを防ぐ働きがあると言われています。
ちなみに、ヒートショックプロテインは、熱刺激を受けてから2日間増え続けるので、週に1~2回、41度のお風呂に15分入れば十分。週に1度か2度、熱めのお風呂に入ることで免疫力UPが期待できるんです。ただし、すでに発熱している人や高血圧、心臓疾患などの不調がある人は、体への負担が大きいため注意が必要です。
さらに効率的に体を温めるのに有効なのが、入浴剤!入浴剤の中にはお湯に入れると二酸化炭素が発生するものがあります。水に溶け込んだ二酸化炭素は水を媒介として皮膚から吸収されます。人間の体にとって二酸化炭素はいらないものなので、取り込まれた二酸化炭素を人間の体は息として早く外に出そうとします。結果的に血管が広がり血流がよくなるんです。
その為、体の深い場所まで効率的に温めることができ、十分なヒートショックプロテインが出てくるまでの体の負担を減らすことができます。さら湯では41℃のお湯に15分入る必要がありましたが、入浴剤を入れたお湯だと同じ温度でも、5分短い10分で、同様の効果が得られるとされています。
お風呂で上手に体を温めることが、ウィルスに負けない元気な体を保つんです。
免疫力UP術 食べ物編②
まだまだ免疫力UPが期待できる食品があります!それは古くから体にいいとされてきた、食卓ではおなじみのみそ汁!みそ汁のみそにはそもそも抗酸化力があり、具材を日々、様々に変えることによってバランスよく色んな栄養素をとることができる優れた料理なんです。
ここで、免疫力UPが期待できるおすすめのみそ汁を紹介。
まずは、疲労回復みそ汁!
材料は2人分です。
豚肉 70g
生黒きくらげ 70g
にんにく 半かけ
だし汁 300cc
みそ 16g
まず、きくらげをさっと下ゆで。きくらげは、通常不足しがちなビタミンDを多く含んでいるので、免疫力を高めます。
次に、ゆでたきくらげと豚肉を食べやすい大きさに切り、にんにくはすりおろしに。アリシン、ビタミンB群など細胞の働きを助ける成分が豊富なので、免疫力向上につながると考えられます。
そして、鍋にだし汁を入れて温め、にんにく、豚肉、きくらげを入れて火を通します。最後にみそを溶いたら、疲労回復みそ汁、完成です!
2つめは、芋づくしの免疫力UPみそ汁!
材料はこちら。
じゃがいも 70g
さつまいも 50g
山芋 50g
だし汁 300cc
みそ 16g
じゃがいも、さつまいも、山芋を1cmくらいの角切りにします。次に、鍋にじゃがいもと、さつまいも、だし汁を入れ、柔らかくなるまで煮込みます。煮崩れしやすい山芋はみそを溶く前、最後に加えるのがコツです。これで食物繊維たっぷり芋づくしの免疫力UPみそ汁の完成!
実は、食物繊維を多くとることは、免疫を上げるためにとても重要なんです。以前に放送した、アフリカ・タンザニアの狩猟採集民族ハッザ。彼らは、普段から食物繊維をたくさんとっており、腸の中に「酪酸菌」と呼ばれる腸内細菌がたくさんいることがわかりました。酪酸菌がつくる「酪酸」は、免疫系に作用し、炎症やアレルギーなどを抑える免疫細胞を増やす働きがあることが最近、明らかになった物質。食物繊維によって腸内細菌の活動が高まり、多量の酪酸が作られると考えられています。
さらに、味噌の中でも、免疫アップにお勧めなのが仙台味噌!仙台味噌は老化を抑える抗酸化物質をたくさん含んでいるんです。
白味噌、仙台味噌で比較をした実験でも、仙台味噌は白味噌に比べて抗酸化力は10倍以上!いったいなぜなのか?
その秘密は千田味噌の作り方にありました。仙台味噌は、他の味噌と違い、原料の大豆を煮るのではなく蒸して作ります。このことにより抗酸化物質のイソフラボンを大豆に残すことができます。さらに1年ほど発酵熟成させることで、抗酸化物質が増えると考えられているんです。日本人の心、みそ汁で、食卓から免疫力UPを目指しましょう。
免疫力UP術 生活習慣編②
免疫力UPが期待できる生活習慣もまだまだあります。続いては「ストレスを軽減する」生活。ストレスについて長年、研究する順天堂大学・小林教授によると、ストレスがずっと続くと免疫機能が落ちてしまうので、感染症や癌になりやすくなるといいます。
ストレスを受けると、身体にどのような変化が起こるのか実験してみました。
計測したのは、唾液に含まれるコルチゾールというホルモンの値。ストレスを感じると、コルチゾールが増加し、免疫力を弱めてしまうんです。
ストレスをかける方法は、四桁の暗算。これを10分間続けます。その結果、コルチゾールの数値は、ストレスを感じる前の倍以上に急増したんです。
慢性的なストレスによりコルチゾールの過剰な分泌が続くと免疫力が落ち、感染症にかかりやすくなるとされています。
実は暮らしの中で、自分でも意識しないところで、体にはストレスがかかっています。たとえば、スマホやパソコン。多くの情報を脳で処理したり光が目に入ることでも、ストレスの要因になるんです。そして、ストレスは免疫を保つうえで重要な「自律神経」のバランスを崩すことでも知られています。
自律神経は、交感神経と副交感神経の活動のバランスが同じ割合だと理想的。交感神経の割合が高いときは、ストレスがかかっているということなんです。
ストレスがかかり、交感神経が高い状態が続くと、免疫力が下がってしまうんです。でも自律神経のバランスをコントロールする意外な方法があるんです!
まず一つ目はため息。
心配事があるとき、呼吸をしていなかったり、浅かったりします。ため息はそのリカバリーになるそうです。
やり方は、4秒鼻ですって、8秒で吐く。この秒数が重要!
頸動脈に、副交感神経に関わるセンサーがあり、これが息を吐く時に刺激され、副交感神経の活動が優位になるんです。
もう1つは作り笑い。
人間は緊張したり、呼吸が浅い時は顔がこわばり、顔の表情筋が硬くなります。それを作り笑いをすることによって緩め、顔の血流が良くなって自律神経にも影響するということ。
1分間ほど、口角を上げたり下げたり繰り返すと良いそうです。もちろん、作り笑いでなく本当の「笑い」にも免疫力を高める効果が。これまで取材してきた、高い免疫力で元気に過ごすご長寿さんも確かによく笑っていました。
長寿や老化について長年研究してきた下方先生によると、笑うことは免疫機能を高め、血流を良くし、老化を防ぐことができるため健康長寿にも効果があるといいます。
実際に、「ため息」と「作り笑い」はどのくらい効果があるのか、実験!
被験者にストレスをかけたあと、1分間の作り笑いをしてもらうと、初めは交感神経が優位なストレス状態でしたが、みるみるうちに副交感神経が優位なリラックス状態に。
そして、1分間のため息も同様に、交感神経が優位な状態から、副交感神経が優位な状態にどんどん変化していったんです。
他にも、「ホットミルク」でストレスを軽減させることもできます。「ホットミルクを飲むと体が温まり、リラックスする」。多くの人が体験したことがあると思います。金沢工業大学の神宮教授は、この現象を科学的に実証しました。
まず、面倒な計算問題を解き、心理的ストレスを与えます。次に、ミルクと同じカロリーの砂糖を混ぜたお湯と、ホットミルクを飲み、飲む前と飲んだ後で、イライラ度にどのくらい違いが出るかを検証。
すると、砂糖入りのお湯を飲んだ時には、飲む前よりも飲んだ後の方が、イライラ度が増していたのですが、ホットミルクを飲んだ時には…飲む前よりも飲んだ後の方が、数値が低くなり、リラックスしていたのです。ホットミルクを飲むと、リラックスし、ストレスが軽減。免疫力UPが期待できるんです。
免疫力UP術 食べ物編③
免疫力UPが期待できる食べ物編!続いては、高い免疫力で健康長寿の静岡県から!元気なご長寿さんは、日ごろからよく運動するだけでなく、ある食生活にも秘密が。
まずは、ご長寿さんの血管年齢を調べてみました。
当時82歳の欣一さんが挑戦。血管年齢は71歳と出ました。番組で、ご長寿さん、12人の血管年齢を調べたところ、11人が実年齢よりも若かったんです。
健康の秘密はお茶!では、お茶の何がよいのか?ご長寿さんたちが飲んでいたのは普通のお茶。重要だったのは飲むお茶の量!例えばこの方は、一日に15杯ものお茶をのんでいたんです。
実は、お茶を飲むことによってカテキンが血管の老化を防ぎます。これが全身の老化を防ぐことにつながるんです。お茶も抗酸化作用が大変高く、免疫力UPが期待できるものだったんです。
さらに、健康寿命全国1位「山梨県」。山梨県はおいしいフルーツを多くつくるフルーツ王国。番組では食卓に上ったイチゴに注目!
イチゴはビタミンCをたくさん含んでいます。ビタミンCは免疫を活性化させたり、体の中の余分な活性酸素を抑えたり重要な働きを担ています。ビタミンCを多く含む食品は、抗酸化作用で免疫力UPに期待大!
本日、ご紹介した目がテン流!免疫力UP術。ポイントは、抗酸化物質たっぷりのバランスよい食事をとり、しっかり体を温め、ストレスをためないこと。
最後に免疫の専門家から、
「ウイルスなどの微生物が体になるべく侵入しないように、手を洗ったり、うがいをしたり、そういうことが大切。それで、100%防ぐことは難しいので、体に入ったウイルスに対抗するために免疫力を上げていく。この2つのことが両輪として重要になってきます」。
ウイルスに対抗するバリア、免疫力をアップさせ、体を元気な状態に保つことが一番大事だったんです。