第25話
2006年10月4日放送
707号室を出て2週間、ナナは、大事なライブを控え、メンバーたちと毎日のようにスタジオ入りして練習を重ねていた。だが、そんなナナたちの心の隅には、いつもスタジオに顔を見せている奈々のことがあった。
奈々が愛してしまったタクミは、トラネスがオフになったにもかかわらず、連絡が取れなかった。タクミの女癖の悪さを聞いていた奈々は、メールの一本もなかったこともあり、このまま連絡がなければそれでいいと思う。スタジオの帰りは、いつもノブが送ってくれた。奈々は、連絡がなければ全てをタクミのせいにして、ノブと付き合うことも出来るのだ。
そんなある日、いつものようにノブにマンションまで送ってもらった奈々は、タクミが来ていることに気付いた。タクミがノブにイヤミっぽい言葉を投げかける中、自分も「じゃあ、ありがとう、ノブ」と言って追い返してしまう奈々。自分が最低の女だと思いながら、奈々は当然のようにタクミを部屋に招き入れていた。そして、自分から断ち切らない限りこのろくでもない関係が続くと考えながら、奈々はいつしかタクミに抱かれていた。どうしようもない空っぽな奈々を知っているタクミ。奈々は、タクミがそんな自分を唯一許してくれる共犯者のように感じた。
一方、奈々から裏切りともいえる言葉を浴びせられたノブは、激しい屈辱感に襲われていた。いつもと様子が違うノブに、シンも掛ける言葉が見つからない。そして、ナナは、トラネスのオフが終わっても、707号室に戻ってこなかった。
ナナに会いたい奈々は、せめてスタジオに行こうと思ったのだが、ノブと顔を合わせるのが辛く、足が止まってしまった。タクミは相変わらずメール一本寄こさなかったが、奈々は、不思議と広い心になっていた。
第26話
2006年10月11日放送
ブラストのライブは、入口にファンの長蛇の列が出来る盛り上がりとなった。立ち見も出来ないほど混雑した会場の前の席に、美里と共に陣取った奈々は、回を重ねるほどに高まるその人気にめまいすら覚える。チケットはもちろん完売。ステージ上で圧倒的な存在感を発揮するブラスト見たさに、わざわざ飛行機でやってくるファンもいた。
ブラストのサウンドとカリスマ性に触れたプロダクションの川野は、演奏の後、感激した面持ちでナナらを食事に誘う。CDデビューが決定したと察したメンバーらは、笑顔でこれを受けた。
会場にやって来た淳子、京助と別れた奈々は、すぐに自宅に戻り、買ったばかりのオーブンレンジを使って料理の最後の仕上げを始めた。ブラストの打ち上げが707号室で行われると信じて疑わない奈々は、あらかじめ料理を作っていたのだ。ナナの部屋に泊まるためにやって来た美里も奈々を手伝い、パーティーはいつでも始められる状態になった。
ところが、そのナナから、メンバーが川野と食事をするとの連絡が入った。奈々は、ナナに気を遣わせまいと、打ち上げの準備はまだしていない、と答える。奈々は、ナナが自分と代わった美里と長話をしたことから、激しい孤独感に襲われた。そして、まもなく、タクミから連絡があったことから、奈々は、その宿泊先のホテルに向かってしまった。
そんな中、ナナは奈々の事が気になり707号室に帰ったが、奈々はタクミのもとに向かったあとだった。ナナは台所に奈々がローンで買ったというオーブンレンジがあることに唖然としてしまったが、ビールを取ろうとして開けた冷蔵庫の中には、打ち上げ用の奈々の手料理がギッシリと詰まっていた。お祝いのケーキを発見したナナは、美里の話から奈々の思いを知り、激しいショックを受けた。
第27話
2006年10月18日放送
ナナが、奈々の作った料理を持っていった先は、ノブのアパートだった。デザートのケーキまである料理を誰が作ったのかを悟り、奈々に冷たくしたことを反省するノブ。ナナは、料理を食べた後、シンやヤスにも食べさせるようノブに告げ、部屋を出た。
一方、ホテルのタクミの部屋で目覚めた奈々は、疲れからタクミが熟睡していると気付き、妙な罪悪感にとらわれた。奈々は、自分の方がタクミを、寂しさを癒してくれる都合のいい男として利用しているのではないかと考えたのだ。
奈々は、短期のバイトを繰り返す自分の進歩のない生活に行き詰まりを感じ始めていた。久しぶりに舞い込んだハガキに、以前バイトをしていた古道具店を畳んだ水越は幸せな新婚生活をしていることが記されていた。タクミとの結婚が絶対にありえないと考える奈々は、早く実りのない関係を解消し、生涯を掛けて愛し合える相手を見つけたほうがいいと思った。
707号室に戻った奈々は、美里の話から、シン、ヤス、ノブの3人が来ていると知った。ブラストの一員にはなれないという疎外感を勝手に抱いていた奈々は、みんなの心遣いが嬉しい。
やがて、みんなの話は、ブラストのメジャーデビューのことになった。メジャーが確実な状況に、メンバーらの意気は盛り上がる。そんな中、ヤスが、作曲担当のノブの才能に注文をつけてメジャーデビューに消極的な姿勢を見せた。これを聞いた奈々は、みんなが驚くようなスゴイ勢いで反論。情報通の美里が奈々の意見に賛成したことから、ヤスの消極論はかき消されてしまった。
まもなく、シンの気遣いで、奈々とノブが2人で酒を買い物に行くことになった。道すがらノブに自分の胸の内を明かして謝る奈々。そんな奈々を慰めるノブ。そんなノブと抱き合った奈々は、この腕の中に自分の欲しい未来が全て詰まっているように感じた。
第28話
2006年10月25日放送
多摩川の川べりを手をつないで買い物に行き、キスをした奈々とノブ。だが、奈々の性格を知るノブは、自分の信念もあって、それ以上のことはしなかった。今、自分が暴走すれば、奈々は必ずタクミとの板挟みになって苦しむ――そう読んだノブは、グッと心を抑えたのだ。
ノブは、その場の雰囲気に酔っている奈々に言い聞かせるように、タクミとちゃんと別れケジメをつけたら意地でも幸せにすると宣言、そのためには自分なりに最大限の努力をすると約束した。信じて待っているというノブの優しさに感激の涙を流した奈々は、必ずタクミと別れようと心に決めた。
まもなく、707号室に戻った奈々は、ノブと一緒ではなかった。ノブは、マンションの下まで来て、そのまま帰ったのだ。奈々の顔を見て状況を察したナナは、ノブの不甲斐なさを怒る。だが、奈々は、そんなナナの思いも知らず、タクミにどうやって別れの言葉を伝えようかと頭を巡らせていた。
まもなく勇気を振り絞ってタクミに電話を入れた奈々は、「もう、連絡しなくていい! さようなら!」とだけ告げた。そして、愛のないタクミとの夢を、本物の王子さまのようなノブのキスが覚ましてくれたように感じた。
翌日、ノブのバイト先に押しかけた奈々は、タクミとの関係を清算したことを告げ、その部屋に行って料理を作り始めた。ノブは、タクミとの関係の解消後1年間は時間を置くつもりだったが、奈々の可愛らしさに負け、ついに関係を持ってしまった。
第29話
2006年11月1日放送
ノブは奈々に、ナナやメンバーたちとの思い出を話した。メチャクチャ暗かった高校時代のナナに音楽への道案内をしたこと、レンにナナを紹介したこと――。正直に自分の弱さまで打ち明けるノブの話を聞いた奈々は、そばにいて、望む全てのことをしてあげたいと思った。
久しぶりに707号室に戻ってきたナナは、奈々からノブとのことを打ち明けられ、素直に祝福した。ノブは素直で純粋で真っ直ぐだから、奈々と同じ価値観で話せるとナナは思っていたのだった。以前淳子が言っていた『思いやり』の意味が、やっとちょっとわかった気になった奈々は、淳子や京助の作品が展示されているギャラリーにノブを連れて行き、淳子に紹介した。
淳子は、すぐさま2人のラブラブぶりを、京助にはもちろん章司、ジャクソンバーガーの佐藤公一にまで話す。だが、一方では、傷つけられるととにかく逃げ出し、相手と向き合おうとはしない奈々のことを、淳子は心配もしていた。
その頃、タクミは、奈々が携帯を非通知拒否設定にしていると気付き焦っていた。奈々にフられたことをレイラに突っ込まれたタクミは、プライドが高いだけにイラ立ちを強める。ナナから、奈々がノブと付き合い始めたと聞いていたレンは、タクミの気持ちがまだ奈々に残っていると知り、面倒なことが起きる可能性が高いと考え、係わりを避けようと心に決めた。
ナナは、奈々をモノにしたノブを大いに誉めたが、そのことにはワケがあった。奈々にずっとそばにいて欲しいナナは、ノブと奈々が一緒になればそれが可能だと思ったのだ。駆け寄る奈々の頭をなでるナナを見たノブは、何か複雑な思いにかられたのだった。
第30話
2006年11月8日放送
デビューの話に全く進展のないまま、ナナは、昼間引越し屋のバイトをやり、夜はバンドの練習をする毎日だった。週の半分くらいをレンの部屋で過したがすれ違いも多く、会えるのはほんの束の間。2人でいると求め合う衝動を抑えきれないナナとレンに、ゆっくりとお互いのことを話し合う時間はなかった。
そんなナナにとって、気になり始めたのが奈々のことだった。ワガママで泣き虫で甘ったれ、その上、異常なまでの恋愛体質の奈々は、上京後半年足らずで男はすでに3人目。だが、バンドにとってペットのような奈々は、いるだけで場が華やぎ、みんなが活気付く存在だった。その奈々が、初めて恋を知った少年のように、ナナの心をかき乱し始めていたのだ。
夏休みがあと3日で終わるという日、707号室では、美里がブラストの状況を心配していた。仮契約後1ヶ月も経つというのに、ブラストは所属事務所すら決まっていない。シンは、自分たちがレコード会社のスタジオを自由に使わせてもらっていたことから安心していたが、仮契約の意味が分からない美里は、自分なりに気をもんでいたのだ。
その頃、奈々の身に大事件が発生していた。相変わらずデモンストレーターの仕事をやっていた奈々は、仕事先で吐き気に襲われた。奈々が心配したのは妊娠。すぐさま妊娠検査薬を購入して、勤め先のデパートのトイレに駆け込んだ奈々は、チェックのスティックに陽性の反応が出ていると気付き、愕然となった。
第31話
2006年11月15日放送
美里に体調の悪さを気付かれ、夏バテと答える奈々。だが、デビューを控えているナナに体調の悪さを知られたくない奈々は、美里にそのことを固く口止めした。
産婦人科医院で診察を受けた奈々は、予想通り医師から妊娠6週目だと告げられた。出産希望の場合は2週間後に来るように、中絶する場合は1日も早い方がいい、という医師。胎児の超音波写真を見せられた奈々の目には、いつしか涙が溢れていた。
まもなく、帰郷する美里を東京駅まで送ったナナは、食欲のない奈々を見かねた美里の言葉を聞いてビックリした。しばらく707号室に戻って欲しいと美里に頼まれ、素直に了承するナナ。その場にいた奈々は、単なる夏バテだと説明するが、ナナは今夜にでも戻ると約束した。
そんな中、ナナたちの話はシンのことになった。海外で育ったらしいシンは、間違いなくハーフの顔付きなのだが、両親は共に日本人。母親が現地の男と浮気をして生まれたのがシンで、その結果、シンの家庭は崩壊したらしい。ナナは、どちらの子か分からないのに出産したシンの母親の無責任さを指摘した。だが、そばで話を聞いていた奈々は、子供が出来たら産んで育てたいと思うのが当然という。ナナは、ピルをもらいに行った先の女医から、それが状況や必要によって呼び覚まされる母性本能だと教えられるが、余り納得できなかった。
ブラストの練習が行われているスタジオは、ムードメーカーの奈々がずっと姿を見せなかったことから、全く盛り上がりに欠けていた。シンは、タバコを吸いに行ったトイレで、ブラストのデビューに消極的なレコード会社の事情を立ち聞きしてしまい、ガックリ肩を落とした。
一方、奈々は、突然707号室にやって来たタクミに妊娠を見破られてしまった。そのことを直接スタジオにいるノブに伝えるタクミ。涙を流す奈々は放心状態。そして、ノブも驚きの余り立ちつくした。
第32話
2006年11月22日放送
シンがレイラと、ヤスがナオキとそれぞれ会っている頃、タクミから衝撃的な連絡を受けたノブは、電話口で呆然となった。この様子を見て何か大変なこと起きたと察したナナは、ノブから携帯を奪い取りタクミと話す。ノブと一緒に707号室に至急戻ってきて欲しいと告げられたナナは、その時、まだ事情が飲み込めていなかった。
ナナは、そばにいるらしい奈々に電話を代わって欲しいと頼むが、奈々は携帯にも出られない状態だとか。そして、「つわりが酷くて相当辛そう」とのタクミの言葉を耳にしたナナは、ようやく奈々の状況に気付き、愕然となった。
ナナは、直ちに、奈々と関係した時に避妊していたかどうかをノブに確認。奈々のお腹にいるのがタクミの子供らしいと知ったナナは、悔し涙を流しながら崩れ落ちた。自分の子であろうと、例えノブの子であろうと認知すると約束したらしいタクミ。奈々が自分のそばからいなくなってしまうと考えたナナは、心の中で産まないで欲しいと願った。
その頃、707号室では、タクミが自分の姉が“出来ちゃった婚”だったことを明かして奈々を励ましていた。とにかく、母親である奈々がしっかりしなくてはいけない、と声を掛けるタクミ。奈々は、そんなタクミに意外な優しさを感じ、嬉し涙を流した。
まもなく、707号室にノブが姿を見せた。タクミとの話もそこそこに奈々の部屋に飛び込んだノブは、すぐに子供が出来たのかを直接確認する。奈々は、「ごめんなさい」という言葉で妊娠を肯定するが、自分が二股を掛けていたと誤解されていることに関しては、一切弁解しなかった。
この奈々の様子に裏切られた思いのノブは、涙を流しながら突っ伏した。
第33話
2006年11月29日放送
タクミに呼び出されたナナが向かった先は、奈々がいる707号室ではなくヤスのマンションだった。遊びに来ていたナオキが気を利かせて退散する中、ナナは、泣きながら奈々が妊娠した事実をヤスに伝えた。奈々が自分のそばからいなくなる寂しさ、タクミに対する憎しみなどをヤスにぶつけるナナは、その時、半ば放心状態。ヤスは、そんなナナの手を握りながら、黙って聞き役に徹した。
一方、707号室の奈々は、ノブが去った後、タクミを部屋に残して淳子と京助の部屋に向かった。話を聞き、奈々が子供を産むつもりだと知ってオロオロするばかりの京助。これに対し、さらに詳しく事情を聞いた淳子は、タクミが口にした認知という言葉に反応し、それが養育費を出す程度で済まされるのではないかと心配した。しかし、何としてもお腹の子供を産みたい奈々自身は、結婚までは至らなくても、養育費をもらえれば十分だと自分の思いを明かした。
ノブの誤解は解くべきだが、ノブを頼るべきではないと告げる淳子と京助。奈々は、産む覚悟を決めたからには二度と泣かないようにと励まされ、元気を取り戻した。
まもなく、707号室に戻った奈々は、帰ったとばかり思っていたタクミが心配して待っていてくれたと知り、驚きの表情を見せた。そんな奈々に、タクミは、買って来たグレープフルーツジュースを勧めながら、出産に関する思いを確かめる。そして、子供はタクミの子として産んで育てたいという奈々の言葉を聞いたタクミは、意外な言葉を返してきた。タクミは、なんと奈々に結婚しようと告げて、優しく微笑んだのだ。
第34話
2006年12月6日放送
奈々しかいないと思って帰った707号室にタクミがいると気付いたナナは、急に不機嫌になった。奈々が妊娠したことで我が物顔で部屋の中を歩き回るタクミ。無言でナナと目線を合わさない奈々。タクミはギクシャクした空気の中、ナナに大事な話があると言って、あっさり奈々と結婚することを伝えた。
新居への引越しの計画、707号室の奈々の分の家賃のことを立て続けに話し、さらにレンとの付き合いに関しても注文をつけるタクミ。そんなタクミの後を奈々が従うのを見たナナは、さらに不機嫌になり、涙がこぼれそうになった。その後、奈々の部屋から聞こえるベッドのきしみを耳にしたナナは、いつの間にか、奈々と初めて一緒に買ったペアのいちごのグラスを割っていた。
タクミは、やがて始まったトラネスのレコーディングの現場で、奈々と結婚することを公表した。タクミに気のあったレイラは、もちろん大ショック。だが、タクミ自身も、ナオキが口にした言葉で動揺した。ナオキは、奈々がタクミの妻の座とカネを狙って計画的に子供を作ったに違いないと話したのだ。タクミはすぐに反論するが、スタジオ内の乱れた空気は元には戻らなかった。
そんな中、ショックから立ち直れないレイラは、シンから聞いた携帯の番号を頼りに、ヤスの部屋を訪ねていた。レイラの辛い胸の内を知り、優しく部屋に招き入れるヤス。そして、ナナは、いちごのグラスの破片を見て奈々が泣いているとも知らず、ノブとの電話に出ていた。
第35話
2006年12月13日放送
ヤスが部屋にやって来たレイラから話を聞いている頃、レコーディングを控えたトラネスのスタジオは大騒ぎになっていた。関係者は、レイラが急に姿を消した原因が分からず右往左往するばかり。タクミは、レイラの世話役のマリに当り散らしていた。
タクミと二人きりになったレンは、鋭い言葉を浴びせかけた。実は、タクミ自身は、レイラが自分と奈々の結婚話にショックを受けたことに気付いていた。そんなタクミの胸の内を見抜いたレンは、レイラを愛してやらなければトラネスは空中分解すると警告したのだ。だが、タクミは、幼なじみで妹同然のレイラには手が出せない、とレンの提案を拒絶する。タクミは、レイラの心を掴み慰めてくれる男はいないかと思い巡らせた。
そんな中、レン経由でヤスから電話をもらったタクミは、すぐさま行動を開始した。所属事務所の社長に掛け合ったタクミは、レイラが歌えるようになるまでレコーディングの延期を求め、それが受け入れられたのだ。まもなく、ヤスの部屋にやって来たマリから、レコーディング延期の話を聞いたレイラは、自分がタクミに見放されたのではないか、と勘違いして愕然となった。
その頃、ナナに会って話をしたノブは、奈々とタクミが結婚すると知り、動揺を隠せなかった。ノブが懸命に平静を保とうとしているのを見たナナは、身体を固く抱きしめて慰める。そんなナナが涙を流していると逆に気付いたノブは、いつしかその頭を撫でてやっていた。
第36話
2006年12月20日放送
レンの部屋に泊まり始めて9日目。奈々とのいさかいから707号室に戻れなくなったナナは、これからどうしようかと思いあぐねた。その自己中の性格から考えると、レコーディングが延びて宿舎に缶詰状態のタクミが、奈々にマメに連絡しているとはとても思えない。ナナは、奈々が707号室で何をしているのか気が気ではなかったのだ。
だが、ナナの心配をよそに、実は奈々はルンルン気分だった。ナナに連絡せずに豪華な新居に引っ越した奈々は、生まれてくる赤ちゃんのために編み物をする毎日で、日に何度もタクミにメールを送っていた。タクミは、送られてくるメールが迷惑だという素振りを見せながらも、“パパにも編んで”と返信するほど幸せムードでいっぱいだったのだ。
レンとナナの関係を追う雑誌記者が極秘取材を進める中、新曲を完成させたブラストの面々は、デビューとレコーディングに向けて働きかけを強めていた。ナナたちは、シンが偶然トイレで耳にしたレコード会社の本音を知らされて落ち込むが、ヤスは川野から事情を明かされデビューを目指して待つ覚悟を固めた。
ノブの部屋にやって来たナナは、シンに当たるなどして大荒れだった。ナナにとって夢の実現が遅れることは苦しみそのもの。自分がレンのおこぼれみたいに扱われるのは、プライドの高いナナにとって耐え難いことだったのだ。
ノブは、連絡してきたレンに、感情の振幅が激しく記憶を失うことがあるナナの状況を伝える。話しを聞いたレンは、レコーディングが終わりしだいナナを迎えに行くと約束した。
ナナは、レンが到着する前、意を決して707号室に行ってみた。だが、部屋の中に奈々の姿はなく、1通の手紙が置いてあるだけだった。
第37話
2007年1月17日放送
奈々が引っ越した、それもセレブの街・白金の住人になったと伝え聞いた淳子、京助、章司らは、自分の耳を疑った。そして、奈々の相手が、まさかトラネスのタクミとは思いもしなかった。
引越しの後、初めて家賃70万円の新居のマンションに帰ったタクミは、可愛い奈々の笑顔に迎えられ、嬉しさを隠し切れなかった。偵察がてらタクミに付いて来たナオキは、ゴージャスで広い室内にビックリ。奈々が一生懸命に用意していた料理を頬張ったナオキは、その美味しさに思わずやっかむ。そのナオキが帰った後、タクミは、次の日曜に奈々の両親に挨拶に行き、結婚の日取りなどを相談すると約束した。
ナオキからの連絡でタクミの新婚生活を知ったレイラが悲しみの涙を流している頃、シンもまた思い悩んでいた。新居にいるとは知らずに奈々に電話を入れて一方的に切られてしまったシンは、裏切り者だからみんなに合わす顔がない、という奈々の言葉を思い出し、ふとレイラのことを考えたのだ。
それまでシンが体の関係だけで付き合っていたレイラは、タクミに惚れながら、その思いが届かなかった女だった。そして、ヤスでさえ支えてやることが出来ないレイラは、今頃、必ず一人で寂しい思いをしているはずなのだ。居ても立ってもいられなくなったシンは、ノブの部屋に戻って荷物をまとめ、そのままアコギを抱えてレイラの部屋へと向かった。
そして、もう一人、ナナも奈々がいなくなった悲しみから立ち直れずにいた。707号室にやって来たレンは、奈々が残していったナナ宛の手紙が熱烈なラブレターだという。ナナは、レンから奈々に会いに行ってやるように告げられて――。
第38話
2007年1月24日放送
レンの腕の中で眠り、久しぶりに穏やかな気分で目覚めたナナは、その日、奈々に会いに行こうと決めた。奈々との思い出のイチゴ模様のグラスを2つとも割り、電話番号やメルアドが入っている携帯を水没させたにもかかわらず、何も覚えていないナナ。その後の奈々の反応を知ったナナは、「電話より会いに行ってやれ」というレンの言葉に従い、雨の中を白金のタクミのマンションへと向かった。午後は、トラネス全員が何本もの記者取材を受けているため、部屋には奈々しかいないはずなのだ
だが、ずぶ濡れでタクミのマンションにたどり着いたナナは、結局、奈々には会えなかった。ファン対策のためか受付のガードは固く、ナナがタクミの本名を知らなかったこともあり、追い返される格好になった。奈々に直接電話しようにも、肝心の携帯がない。ナナは、よりによって自分がタクミのファンに間違えられたことが腹立たしかった。
その頃、奈々は、マンションではなく、近くの喫茶店にいた。そこでシンと会った奈々は、タクミと結婚することになったいきさつを話していた。シンの母親が父親の分からないシンを産んだ直後に自殺したことを知るブラストの面々は、気を遣って奈々のことを話していなかった。奈々が母親の自殺のことを全く知らないと気付いたシンは、子供を堕してタクミと別れたらどうかという自分の意見を翻し、奈々自身の考えを大切にやっていくよう勧める。そして、外の世界とも接触を持った方がいい、とアドバイスして勇気付けた。
翌朝、テレビのワイドショーを見たブラストの面々は、思わぬスクープにア然となった。何と、ナナが、人気バンドのトラネスのレンの熱愛の相手としてスクープされたのだ。
第39話
2007年1月31日放送
ナナとレンの関係がワイドショーなどで大きく取り上げられたことから、トラネスやブラストの周辺は急に慌しくなった。タクミは、仕事が忙しかったこともあり、奈々にまで当り散らしイラ立ちを隠せない様子。まもなく、2人は、互いに相手の言葉尻に難クセをつけ、言い争いになった。
タクミが止めるのも聞かず急にナナに会いたくなった奈々は、タクシーに乗り、車内から淳子と京助に電話をしてグチをぶちまける。事情を知った淳子たちは、ナナの家がマスコミに取り囲まれテレビ中継までされていたため、707号室に近づかないよう懸命に奈々を説得した。
そんな中、このテレビ中継をノブと一緒に見ていたシンは、番組内で、ブラストのライブ映像が近日デビュー予定として流され、プロモーション状態になっていることに気付いた。ホテルに隠れているように、と伝えに来たガイヤの川野の話によると、自分は何も知らされていないとのこと。シンは、善意か悪意か、何者かがある目的を持って陰で動いていると察知した。
大方のマスコミは、今回の騒ぎを、トラネスの人気に便乗しようとナナが自分でネタを売った、売名行為と見ていた。相変わらずナナのマンションの周辺に集まるマスコミ。ヤスは、そんなマスコミを身を挺して追い払おうとした。
レンにイギリスに行くようにとの指示が事務所から出る中、ナナは、テレビカメラの前で奈々に向かって、「ハチ公、望みは絶対叶えてやるからな!」とデビューを誓う。ブラストのデビューの流れは止まりそうになかった。
第40話
2007年2月7日放送
ナナとレンの仲がマスコミに取り上げられたことから、ガイヤレコードには、ブラストに関する問い合わせが殺到。様々な意見が飛び交う中、ガイヤ内ではブラストを早めにデビューさせようとする空気が強まった。制作部のスタッフと話をしてデビュー間近との感触を得たヤスは、ホテルに缶詰になっているナナたちに状況を説明する。
今回の騒ぎのきっかけとなったテレビのワイドショーの裏でガイヤの上層部が動いていると知ったノブは、こういう形でのデビューに難色を示す。だが、ナナ自身は、この世界でのし上がるためには、プライドを捨て、レンでさえ利用させてもらうと言い切った。
その頃、淳子の部屋に転がり込んでいた奈々は、テレビ画面からのナナの励ましのメッセージで勇気付けられ、トラネスの事務所にいるタクミに仲直りの電話をしていた。電話口で感情を露わにしゃべる奈々に対し、タクミは明日からレンが滞在しているロンドンに行くと連絡。里帰りして帰国を待つという奈々に、タクミが婚約指輪を買ってくると約束した。
ナナは、ノブと飲みながら、自分と係わったことで迷惑を掛けたことを謝った。これまでの人生で、奈々が決して消えてなくならない存在と言うノブ。ナナは、そんなノブに、奈々を取り戻すための作戦を明かした。それは、奈々の中で、ブラストがカッコ良く活躍し続けること。ナナは、シビアな現実をありのまま突き付ける冷酷なタクミが、甘ったれな奈々を幸せに出来るはずはない、と確信していた。
まもなく、ガイヤの会議室でデビューに関する契約書にサインをしたナナは、1曲目から日本一を目指す、と高らかに宣言した。
第41話
2007年2月14日放送
トラネスのメンバーたちをロンドンに残し、一足先に帰国したタクミが向かった先は、奈々の実家がある街のホテルだった。タクミの目的は、奈々の両親に結婚の挨拶をすること。奈津子らがその準備などで気を揉む中、奈々はそのホテルにチェックインするために向かった。
その頃、郊外のガイヤの施設でヤス、シン、ノブたちと合宿をしていたナナは、川野から、都内の繁華街5ヶ所でゲリラライブをすると告げられて、大いに張り切っていた。様々な意見が飛び交ったが、ナナは、その時、なぜかその話だけは素直に聞いてしまう相手――ヤスのことをふと考えた。
ナナと同じようにヤスのことを思い浮かべていたのは、ロンドンにいる元カノのレイラも同じだった。マリたちの話を総合すると、ヤスは、司法試験に受かったものの、まだ弁護士にはなっていない司法修習の期間。以前、ヤスは弁護士になるという理由でレイラと別れていた。そのヤスが弁護士への道を歩まずにバンドに向かっているということは、ナナに恋をしてしまったからに違いないのだ。
レイラたちの話を聞いていたレンは、今の自分がナナのためにヤスほど捨て身になれないと考え、自己嫌悪に陥った。だが、遠く離れた東京のガイヤの施設にいるナナも、実はレンと同じようなことを考えていた。故郷でレンと別れて2年半、ナナはレンよりヤスとの絆の方が強くなっているように思い始めていた。
タクミと会った奈々は、ロンドンのお土産として買ってきてもらったダイヤの指輪を受け取って、ご機嫌だった。そして、それ以上に、タクミがお腹の子供を大切に思ってくれていると知り、幸せを隠せなかった。
第42話
2007年2月21日放送
レコーディングを兼ねて強化合宿に入ったヤス、シンたちブラストのメンバーは、バンドの練習と湖での釣りに明け暮れる毎日だった。ロンドンにいるレイラとメール交換をしていたシンは、強化合宿の一番の目的がバンドのメンバーとスタッフの結束の強化だと教えられ、思わず納得する。スタッフに尻を叩かれたナナは、ボイストレーニングに励まざるを得なかった。
その頃、奈々の実家では、父・五郎、母・奈津子、そして、姉と妹が、緊張の面持ちで、結婚の挨拶に来たタクミを迎えていた。緊張していたのも一瞬で、タクミから素敵なロンドン土産を受け取り、家の中はすぐに明るく盛り上がった。固くなりながらも、五郎の質問にソツなく答えたタクミは、やがて家族の明るい雰囲気に感化されて、顔をほころばせ始めた。アル中だというタクミの父親の話なども飛び出したが、暗くなったのは一瞬。それまで明るい家庭の味を知らなかったタクミは、小松家の雰囲気が気に入ったようで、その顔にはいつしか笑顔が溢れていた。
7泊8日の合宿が終わったナナたちは、所属事務所となった『四海コーポレーション』の寮に住むことになった。都心の繁華街の裏通りにある寮は、全て個室だったがバスタブがなく、陽も入らず、隣はラブホテルという環境。おまけに寮内には、所属しているらしいAV女優も住んでおり、ナナもヤスも首をひねった。
そんな中、バンド活動と奈々との関係についてノブと話していたナナが、急に呼吸困難になり苦しみ始めた。ノブの連絡で駆けつけたヤスは、すぐに救急車を呼ぶよう指示。そして、ナナには、「ずっとついててやる」と励ます。これを聞いたナナは、思わず涙を流して――。
第43話
2007年2月28日放送
息苦しさを訴えて倒れたナナは、隣室の新人女優・美雨の話などから過呼吸らしいと判明。応急手当をした後、ヤスやノブたちによって医院に担ぎ込まれたナナは、予想通り過換気症候群〈過呼吸〉と診断された。医師の話によると、原因はストレスで、他に悪い所はなし。ナナは少しショックを受けながらも、みんなの優しさに涙が出る思いだった。
やがて、ナナたちブラストのメンバーのスケジュールは、次第に忙しくなり始めた。宣伝材料用の写真撮影、雑誌の取材、ゲリラライブの打ち合わせ、リハーサル、ボイストレーニング――。一応病み上がりではあったが、食欲もあり絶好調のナナは、今なら奈々に会っても、笑ってタクミと子供の話にも耳を傾けてあげられると思った。
そんな中、ノブは、ナナの発作がきっかけで美雨と親しく話をするようになった。生真面目なノブの話に、読んでいた台本を閉じ、真剣に答え始める美雨。奈々の傷をずっと引きずっていたノブは、そんな美雨に次第に心引かれるようになった。
新宿の駅前を皮切りに東京の各所の繁華街で行われたブラストのゲリラライブは、大いに注目を浴びた。集まったファンや通行人たちは、たちまちブラストのサウンドに引き込まれる。そんなファンたちの向こうに奈々の姿を見た思いのナナは、そのお腹の子供のことを思い浮かべ、心を込めて歌った。
寮に入って1ヶ月。いよいよブラストが、テレビの生放送の歌番組に出演する日がやってきた。もうヨリが戻る気がしないレンのことを思い出し、ナナは、急に息苦しさを覚える。レンがいなくても今まで何とか生き延びることが出来たが、それは全てヤスのおかげ。そんなヤスの大切さを実感したナナは、レンに会っても絶対に流されずに、ケジメをつけなければいけないと思った。
一方、ブラストが出演する番組に自分たちも出演すると知ったレンとレイラは、動揺を隠せなかった。
第44話
2007年3月7日放送
歌番組の生放送を前に、スタジオの入口で、リハーサルを終えたトラネスのメンバーと出会ったヤスは、レンの手が震えているのを目ざとく見つけてトイレに連れ込んだ。ポケットの中から大麻を取り上げたヤスは、レンを壁に押し付けて締め上げる。ナナがいないと不安定になるレンの性格を知っているヤスは、ナナも同じように過呼吸になっていることを打ち明けて叱り付ける。そして、ナナを奪う気はないことをレンに告げたヤスは、無理せず自分の思うようにやるようアドバイスした。
ブラストのデビューシングルの売り上げ枚数がトラネスのメンバーたちの話題になる中、リハーサルを終えたナナは、自分の控え室にレンがいることに気付いた。別れる覚悟を固めて話を始めるナナに対し、レンは1ヶ月も放置して悪かったと謝る。ナナは、レンとはケジメをつけようと思うのだが、肝心の話はなかなか切り出せない。レンからも言葉が出なかったため、ナナはいたたまれなくなった。そんなナナの手を握りしめ抱き寄せたレンの口から出たのは、プロポーズの言葉。思いもしない言葉を聞いたナナは、そのままレンと倒れこんだ。
まもなく、化粧室では、ナナの控え室からレンが出てきた、とメイクの美加が明かしたことから、一気にこの話題で盛り上がった。大胆だ、というシン。スタッフはみんなラブラブだということを知っているという美加。
そんな中、レンをかばうヤスの言葉を聞いたナナは、これまでのヤスの優しい行動がやっと理解できた思いがした。ヤスとレンは、生まれた時から同じ施設で育っており、強い絆で結ばれていた。つまり、ヤスが、これまで捨て身でナナを守ったのは、身動きの取れないレンを助けるためだったのだ。
ナナは、レンやヤス、そして、自分から奈々を奪ったタクミ、にこやかなレイラらにさまざまな思いを抱きながら、本番のスタジオに入った。
第45話
2007年3月14日放送
本番を直前に控え、ナナは、あの707号室で見守ってくれる奈々の姿を思い浮かべながら歌おうと決めた。余裕の態度で歌えば、奈々は必ず安心してくれる――ナナの心の中には、奈々しかなかった。
テレビに初めて登場したナナを、奈々は淳子と一緒に見ていた。タクミに関しては単純に“身内”として見てしまうが、奈々は、ナナに関してはミーハーファンになっていた。そして、頼ってもらえないもどかしさと寂しさを感じながら、画面の中のナナを食い入るように見つめた。
歌い終わったナナは、明るい明日へのシナリオを描きながら、プロポーズしてくれたレンと結婚してもいいと思った。本番終了後、タクミとレイラの関係をネタにレンに話しかけたナナは、結婚に関してやはり本気だったと知り、熱く抱き合った。
一方、寮のテレビでブラストの演奏を感激した面持ちで見ていた美雨と百合は、みんなで麻雀をやろうと計画した。2人のお目当ては、一番真面目そうなノブ。メンバーが戻ってくるや、美雨らはさっそくノブらを麻雀に誘い、やがて娯楽室は賑やかな声に包まれた。
その頃、淳子の部屋の奈々は、何も話さないまま別れたノブのことを考えていた。奈々は、章司にだまされた自分の経験をダブらせて、信じていた人に裏切られた辛い思いをノブが引きずっているのではないか、と心配したのだ。そんな奈々が考えたのは、明日の夜、多摩川で行われる花火大会をみんなで見に行くこと。上手くすると、ナナとも会えるし、ノブにも謝ることが出来るのだ。奈々は、すぐに花火見物に誘うメールをシンに送信した。
麻雀の席で、シンから話を聞いたナナは、もちろん舞い上がった。ノブの動揺に気付いた美雨と百合の心中は複雑。ナナは、明日もスケジュールが詰まっていると知りながら、シンに奈々へのOKのメールを送らせた。
第46話
2007年3月21日放送
ノブと奈々を元のサヤに戻したいナナ。しかし、そう考えたのはシンも同じだった。ノブが花火大会に行くと知ったシンは、何としても奈々を奪い返すよう煽り立てる。ノブ自身も、奈々が寂しそうにしているようなら放ってはおけないと思っていた。
ヤスがマネージャーの銀平を説得した結果、スケジュールの変更が認められ、晴れてみんなで花火大会に行くことが出来るようになった。
その頃、主治医から14週目となった妊娠が順調だと聞いた奈々は、思い出のジャクソンホールに行き、そこで章司や佐藤と再会した。奈々は、淳子からタクミのことを聞いていた章司からイヤミを言われるが、逆に浮気をしたことを責める。しかし、章司が素直に謝ったことから、次第にわだかまりは消え、2人は笑顔で別れることが出来たのだった。
一方、タクミとレイラは、レンの“悪い癖”のことを深刻に考えていた。これがバレればトラネスのバンド活動が停止になるのは間違いない。ナナがレンと一緒に暮らしてくれれば、精神的な依存症が原因のレンの“悪い癖”がすぐ治ることは分かっていた。また、事務所の社長・成田は、トラネスの営業戦略からも、レンとナナを結婚させることを計画していた。だが、レイラは、ファンへの影響を考えて、タクミと奈々、レンとナナが立て続けに結婚することには大反対。これを聞いたタクミは、自分の結婚をどうするかについて思いを巡らせた。
やがて、花火大会の待ち合わせ場所の707号室では、ファンを避けるために変装したナナ、ヤス、ノブ、シンらが、奈々が来るのを待って――。
第47話
2007年3月28日放送
夜空に大輪の花火が咲き始める中、707号室では、ナナ、ヤス、シン、ノブの4人が奈々の到着を待ちわびていた。まもなく、みんなとマンションを出たナナは、シビレを切らして、奈々の携帯に直接電話を入れ、早く来るよう告げる。そんなナナに、泣きながら、ノブに会うのが怖い、と答える奈々。ノブに対する罪悪感がまだ奈々に残っていると察したナナは、「ノブなら来ていない」とウソをつく。そして、ヤスやシンが会いたがっているから、と早く来るよう促した。
電話の話を聞いていたノブは、2週間後にタクミと結婚する奈々のためを思い、すぐに帰ると言い出した。だが、ノブの言葉を聞いたナナは、思わぬことを言い出した。奈々とタクミの結婚が近づく中、今、ノブと元のサヤに戻ったら、奈々は泥沼にはまる。ナナは、これを承知で、ノブに泥沼にはまれ、というのだ。
ヤスとシンは、もちろんナナの危険で、残酷な挑発を制止した。だが、ナナの挑発に乗ったノブは、一人、707号室に戻り、変装を外して、いつもの髪型に戻した。目の前に現われる奈々に、ノブは再び告白する決意を固めたのだ。やがて、奈々の押す707号室のチャイムが鳴った。愛する奈々と、ドア越しに立つノブ――。
しばらくして、奈々から連絡を受けたシンは、707号室に誰もいなかったと告げられた。奈々は、707号室のドアの向こうで、ノブが一人どんな思いでいたのかも知らず、ナナたちが待つ河川敷に行く、と話した。