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NANA-ナナ-

2006年4月~2007年3月 放送
ストーリー(第1話~第24話)

第1話

2006年4月5日放送

地元の女子高を卒業して2年。ごく普通の家庭に育った20歳の小松奈々が、今、新幹線で向かおうとしている先は東京だった。奈々がなぜ東京を目指しているのかというと、それは高校を卒業した後、1年間通った美術系の専門学校で知り合った大好きなカレ・遠藤章司に会うこと。1年前、美大を目指して上京した章司は、一浪してこの春、晴れて合格した。再会を目指してせっせとバイトをしてお金を貯めてきた奈々は、ようやく章司がいる街で暮らせると思ったのだ。

その奈々が、車中でギターケースを抱えたクールな雰囲気のステキな女のコと相席になった。情熱的な奈々とは正反対の性格の女のコの名前は、大崎ナナ。奈々よりずっと大人びて見えたが、ナナは同じ20歳だった。途中、新幹線が雪で遅れたため、奈々は、同じ名前、同い年という気安さもあって、章司とのなれそめをたっぷりナナに語った。やがて、新幹線は東京に到着。奈々が笑顔で出迎えの章司の胸に飛び込んだ時、もう1人のナナの姿はなかった。

奈々を駅まで出迎えてくれたのは、他に、女子高の時からの親友の早乙女淳子と専門学校時代の友達の高倉京助。奈々は、住むところが見つかるまで淳子の部屋に居候するつもりだったが、淳子が京助と同棲していると知り、あきらめざるをえない。結局、その日は、章司の部屋に泊めてもらうことになった。

翌日、奈々は、章司と一緒に暮らすことを夢見てせっせと家事に励んだ。しかし、章司から部屋探しをしていないことを責められ、未練たっぷりで不動産屋へと向かう。ところが、奈々が不動産屋と一緒に多摩川沿いの古いマンションを内見に行った時、なんと偶然にも別の不動産屋と一緒にやってきたあのナナと遭遇。この物件が気に入った2人の“NANA”は、部屋をシェアして使うことになった。

 

第2話

2006年4月12日放送

地方のある街で育った奈々は、ごく普通の家庭の三人姉妹の次女。淳子は、奈々が県内の女子高に進学した時に仲良くなった親友だった。

出会いなど望めないと落胆して入学した女子高での奈々の高校生活は、恋に始まり恋に終わったといっても過言ではなかった。美術の教師に憧れて淳子と一緒に美術部に入った奈々は、その後、レンタルビデオ屋の店員、ファミレスのシェフ、宅配ピザ屋と次々に一目惚れ。そして、3年生の夏の初め、浅野崇という自称29歳のサラリーマンと不倫の恋に落ちた。この関係は、卒業直前、浅野の“転勤”という形で終了。心に深い傷を負った奈々は、心機一転、淳子と一緒に地元の美術系の専門学校に進み、そこで絵の勉強をするつもりになった。

ところが、専門学校で、奈々は再び一目惚れをしてしまった。相手は、淳子の中学時代の友達の章司。淳子から男性との付き合い方をたしなめられた奈々は、章司をカレシではなく、まず男友達として考えようと心に決めた。

ある日、淳子の部屋に、奈々、章司、章司の友達の京助が集まってお酒を飲む機会があった。奈々は、友達なら腹を割って話さなければいけないと、酔いも手伝って、それまでの一目惚れ遍歴をペラペラ。そして、浅野の段になって、奈々は泣き出し酔いつぶれてしまった。翌朝、淳子の部屋で目覚めた奈々は、淳子から章司との仲を取り持ってもいいと告げられた。学校の授業で指を切ってしまった奈々を優しく手当する章司。淳子と京助がラブラブになったと気付いた奈々は、浅野との恋の傷を、章司との新しい恋で癒そうと思った。

 

第3話

2006年4月19日放送

地元の美術系の専門学校に通いながら楽しく盛り上がる奈々、淳子、章司、京助の4人。夏には揃って海水浴などに行き、若さを爆発させる。だが、淳子と京助がラブラブなのに対し、奈々と章司の表情がさえない。実は、淳子が、すぐに恋に走る奈々に、まず友達関係からスタートするようアドバイス。奈々は、そのアドバイスを守り、一方的に章司に“友達宣言”をしていた。このため、章司は、奈々が好きでありながら、ホテルの同じ部屋に2人だけで泊まることになっても手すら出せなくなったのだ。

そんな中、淳子、京助の2人が、来年揃って東京の美大を受験しようとしていることがわかった。それを知った章司は自分も東京の美大を受験することを考え始める。章司とはもちろん、淳子や京助とも一緒にいたい奈々は、自分も東京の美大を受験しようと猛勉強を始めた。

半年後、淳子と京助が見事合格したのに対し、奈々と章司は、あえなく失敗。章司は、東京で予備校に通い来年またチャレンジすると告げた。みんなと別れたくない奈々は、予備校で勉強するほど美大への進学に情熱がなかったこともあり、ただグズリまくる。これを見た章司は、これまでのうっ憤をぶつけるように奈々の甘さと身勝手さを責め、東京の夜の路上でケンカをしてしまった。

繁華街で道に迷った奈々は、偶然にも別れた浅野と再会した。奈々は、大人になった自分をアピールするが、浅野は奈々が全然変わっていないという。そんな浅野に、付き合っていた当時の本音を始めてぶつける奈々。浅野にホテルの近くまで送ってもらった奈々は、結局、浅野との恋が素晴らしい思い出として残ったと思った。

その頃、一人でホテルに戻った章司は、淳子に奈々の本心を明かされ、罪悪感と愛しさから慌てて捜しに出かける。一方、ホテルの部屋に電話をした奈々は、残っていた京助から、自分を愛してくれていた章司の思いを聞き、胸がいっぱいになった。

 

第4話

2006年4月26日放送

東京の夜の路上で、捜しにきた章司と涙の仲直りをした奈々。そのままホテルに戻った奈々は、京助と一緒らしい淳子からカバンを渡され、章司と同じ部屋に泊まることになった。だが、愛し合っているにもかかわらず、2人の間にそのムードはまるでない。

そんな中、章司は、自分が浪人中に奈々が東京にいても何もしてやれない、と素直に自分の考えを明かした。その優しい胸の内を知った奈々は、章司が浪人している間に、地元で上京した際の資金を貯めると約束。2人は1年後の愛を誓い合った。やがて、地元に戻った奈々は、遠距離恋愛に耐えながら1年後の章司との再会を目指し、懸命にバイトを始めた??。

父親の顔を知らず、母親にも捨てられたナナは、4歳の時に海沿いの街にやって来た。ナナを育ててくれたのは、地元で小料理屋を営むイヤミの耐えない祖母。ずっと家庭には恵まれなかったが、ナナは今バイトに明け暮れしながら夢のかけらを磨いていた。

高校を中退してナナたちが結成したバンド『ブラスト』は、今日もライブハウスで圧倒的な人気を集めている。センターでマイクを握りしめて歌うナナに、ファンの女のコたちが群がった。バンド仲間のレン、ノブ、ヤスらは、打ち上げの飲み会でライブの成功を喜んだ。

ナナとレンの出会いは、ノブに連れられて行ったクリスマスのライブハウス。ナナは男にだらしなかった母のようになるなと祖母から赤やピンクの女の子らしい服を着ることを許してもらえなかった。その祖母が亡くなった後、自分へのクリスマスプレゼントで赤いワンピースを買ったナナ。その赤いワンピースを着てライブに行ったナナは、ここでギターを弾くレンに恋をし、一緒に暮らすようになった。

そんなある日、ナナは、さらに上を目指すつもりのレンから、「東京に行く」と告げられた。

 

第5話

2006年5月3日放送

ナナが、レンとヤス、ノブの作ったバンド『ブラスト』のボーカルになったきっかけは、全くの偶然からだった。レンが新しいバンドの女性ボーカルを捜していた時に、たまたまノブの家に借りていたCDを返しにいったナナは、そこにいたレンの目に留まりボーカルに誘われる。ライブハウスでレンを一目見た時からレンに憧れていたナナは、それ以降、レンのため、そして、何より自分のためにマイクを握ってきた。

ところが、結成後1年半ほどして、以前、地元で同じようにバンド活動をしていてプロを目指して東京に上京した「トラップネスト」がメジャーデビューすることになり、直前のいざこざでギターが抜けてしまったことから、ギターの腕を見込まれたレンにお呼びがかかった。レンは、仲間たちのことを考えたのだが、結局、上京を決めたのだ。

これを知ったヤスは、早々とプロにはならない、と宣言。ノブは、旅館の跡取り息子という気楽な立場もあり、ナナに東京で新しいバンドを結成しよう、と持ちかけた。だが、ナナは、歌でプロになりたいことは認めつつも、「今はイヤ!」と断った。今、もし上京すれば必ずレンと暮らし、ボーカルの実力を養えないまま、部屋でその帰りを待つことになる。それではプロを目指すナナのプライドが許さなかった。ナナは、レンがいなくてもちゃんと歌える実力をつける必要がある、と考えたのだ。

レンが東京へ向かう日、新幹線のホームに立つナナは初めてレンに会った時の赤いワンピース姿だった。レンと暮らした1年3ヶ月。レンを愛し抜いたナナの思いは、出発する間際の新幹線のホームで交わした熱いキスで終わったのだった。

 

第6話

2006年5月10日放送

「ねえ、ナナ。あたし達の出会いを覚えてる? あたしは運命とか信じちゃうタチだから、これはやっぱり運命だと思う…笑ってもいいよ」707号室の中で、奈々はナナに初めて会った時の事を思い出していた。

奈々が章司から“サクラサク”の合格メールを受け取った場所は、バイト先のビデオ屋のカウンターの中だった。即バイトを辞め、笑顔で家に戻った奈々は、荷物をまとめて東京行きの新幹線に飛び乗る。そして、そこで奈々は、ギターを持って同じく東京に向かうナナと出会った。

奈々は、雪でストップした新幹線内のたいくつな時間を埋めるように、同じシートに座ったナナに、東京に行く目的を話した。大好きな章司のこと、大学受験で別々になったこと、章司の合格を祈りながら懸命にバイトをしていたこと――。ナナと同い年、同じ名前だったことも、嬉しさいっぱいの奈々の口を軽くした。新幹線は、結局、5時間もかかって東京駅に到着。奈々は、迎えに来た章司とホームで再会を喜ぶ間、いつの間にかナナの姿はそこにはなかった。

奈々は、当分の間、淳子の部屋に居候をするつもりだったが、あいにく淳子は京助と同棲中。内心大喜びで章司の部屋に泊まることになった奈々は、このまま一緒に暮らし続けようと、料理や家事などで頑張った。だが、章司から仕事探しと部屋探しをするようたしなめられた奈々は、仕方なく不動産屋を訪ねた。その奈々が、不動産屋に案内された物件は、川沿いに立つ7階建ての古いレンガ作りのマンション707室。奈々は、そこで別の不動産屋に案内されてきたナナと再会したのだ。

 

第7話

2006年5月17日放送

奈々とナナの2人が気に入ってしまった707号室。2人ともこの部屋を気に入っていると気付いた奈々を案内してきた不動産屋の安藤は、2人が顔見知りだったと知り、部屋をシェアして借りたらどうかと勧めた。幸い707号室内の2部屋は、“振り分け”の設計になっており、風呂もキッチンも広い。そして、なによりシェアをすれば、家賃は半分ずつですむのだ。奈々はこの提案をあっさりOKし、ナナも続いて了承。仲良く握手をした2人のNANAは、雪の新幹線からの不思議な縁で一緒に暮らすことになった。

話を聞いた淳子は、人に騙されやすい奈々の性格を知り尽くしているだけに、この同居には反対した。もちろん、章司は声を荒げて大反対し、最後には奈々と一緒に暮らそうとも言い出した。実は、章司は京助に、奈々といずれは結婚したいとの胸の内を明かしていたのだ。だが、自分なりにステキな女になりたいと思っている奈々は、これ以上章司に迷惑はかけたくない、と別居を宣言。奈々の勢いに押された章司は、仕方なく、同居するというもう一人のナナに会った上で、改めて奈々にアドバイスしようと思った。

奈々に連れられ、保護者代わりの思いで707号室にやって来た章司、淳子、京助の3人は、ドアからいきなり顔を出したヤスと呼ばれるスキンヘッドの男を見て思わずビビった。おまけに、ルームメイトとなるナナは、シャワーを浴びる寸前らしく、裸にバスタオルを巻いただけの姿なのだ。

だが、章司らに名刺を差し出したヤスこと高木泰士は、ナナの友達で、見習い中の弁護士。見た目とは違うヤスの話しっぷりに安心した章司らは、奈々のナナとの同居をようやく認める気になった。

 

第8話

2006年5月24日放送

707号室に落ち着いたナナと奈々。だが、身の回りの品を揃えるために買い物に出た2人は、すぐに互いの性格、好み、感性などがまるで違うことに気付いた。100円ショップで売っているイチゴ柄のコップに感激する奈々に対し、モノには全くこだわらないナナ。奈々が妙に人なつっこく従順で、かつ世話がかかると知ったナナは、犬っぽいという理由で、“ハチ”と命名。

中古品の家具を扱う店『サブリナ』にナナを引っ張り込んだ奈々は、冷蔵庫や洗濯機を購入。家具を買う短い時間の間に店主の水越が29歳の独身だということを聞き出していた奈々をみてナナは、“一目惚れの鉄人”の正体を知った思いだった。そのうえ、奈々はその店でバイトをする約束をちゃっかり取り付けた。

まもなく、CD店に連れて行かれたナナは、奈々がレンの所属するロックグループ・トラネスの大ファンだと知った。ニューアルバムを買った時にもらったというポスターを見せられたナナは、そこに写っているレンを認める。レンについて一番人気だが無口で怖そう、という奈々。ナナは、そんな奈々の話を聞いて思わず笑みをもらした。

章司たちの行きつけの店「ジャクソンホール」で食事をするという奈々が外出した時、ナナはその部屋にあったトラネスのCDを手に取った。そして、そこに写っているレンの胸元を見て、かつてレンと過ごした時のことを鮮やかに思い出した。今でもレンの胸元を飾っている南京錠のネックレスは、かつてナナが愛の証としてプレゼントしたものだったのだ。

一方、章司と食事をしたものの、奈々はナナのことが気になって仕方がなかった。早々に章司と別れた奈々は、お土産のハンバーガーをナナに渡そうと急いで部屋に戻っていった。

 

第9話

2006年5月31日放送

『サブリナ』に初出勤の日、奈々は、ナナと家の近所でプチピクニックを楽しんだ後、店に行った。その奈々の前に現れたのは、章司から話を聞いてやって来たという淳子。働いている奈々の姿を見て安心した様子の淳子は、章司の近況を報告する。淳子から、いつも思ってくれている章司をもっと大事にするようアドバイスされた奈々は、ちょっぴり考え込んだ。

奈々は、章司を大切にするとはどういうことなのか分からなかった。東京に来たらいつも章司と会えると思っていた。だが、実際は、自分にも章司にも授業やバイトなどいろいろと都合があり、上手くはいかない。東京で順調に生活を始めたものの、奈々は自分に何か物足りなさを感じてもいた。

ある日、707号室に、ノブがナナの荷物を運んできた。家出をしたというノブの顔を見るなり、すぐに帰るよう告げるナナ。ナナは、大きな旅館の跡取り息子のノブは故郷にいれば絶対に幸せになれると思っていたのだ。

その時、ヤスからの電話に出たナナは、ノブのマジな覚悟を知った。ノブの願いは、ナナをボーカルに据えて、東京でバンドを結成すること。そのために、ノブはすごい新曲を作ったというのだ。電話口のヤスから、その曲に詞を付けて歌ったらどうかと勧められたナナは、心が大きく揺れた。

ラジカセから流れるノブの新曲を聴いたナナは、吸っていたタバコの灰を忘れるほど聴きほれた。そばで一緒に聴いていた奈々は、もちろん感激し大騒ぎ。曲を聴き終えたナナは、ノブにギターを渡し、歌ってみたいとつぶやく。

やがて、ノブの携帯をマイク代わりに握ったナナは、たった1人の観客を前で、東京でのファーストコンサートを行った。ノブの奏でるメロディーに、心の底から湧き出す言葉を並べて歌うナナ。奈々は、まるで不思議な呪文を掛けられたようにその歌声に陶酔した。

 

第10話

2006年6月7日放送

ご近所の人たちの話から、家賃の安い707号室が“ワケあり物件”と判明。707号室内で殺人事件があったと思い込む奈々は、ナナやノブに報告し失笑される。

そんな中、ノブと二人っきりになった奈々は、ナナが上京した理由を聞いた。ナナたちのグループが故郷でかなり人気のバンドだったこと、ヤスが腕の立つドラマーだったこと、ナナはプロのミュージシャンになりたいと思っていること――。奈々は、ナナの歌を大勢の人に聴いてもらいたい、そのためにはバンドの新メンバーを探してあげたい…、とメンバー探しなら手伝えるかもしれないと思った。

まもなく、奈々がバンドのメンバー募集の張り紙を出した『サブリナ』に、章司がやってきた。章司は、奈々が前日送信した“一緒の時間を作って”というメールに応え、忙しい時間をさいてやって来たのだ。けれど奈々はメールを送信したことさえ忘れていた。章司との別れ際メールの事を聞かれた奈々は、自分が無意識のうちに章司に甘えていたこと、身勝手さを大いに反省した。しかし、そんな奈々の思いも、目の前にベースを抱えた美少年・シンが現れたことから、すぐに消えてしまった。

奈々がシンに書かせた履歴書を燃やしたナナは、その音を聴かせるよう要求した。これに応えて近くのスタジオに場所を移したシンは、少しスコアを確かめた後、ノブのギターに合わせて、見事なベース音を刻み始めた。舌を巻くようなテクニックとレンそっくりのその音色に、驚きの表情を見せるノブ。ナナも、レンが弾いているような錯覚を起こしながら、マイクを握りしめた。

曲が終わった後、シンは、自分がレンを尊敬していると明かした。ナナはそんなシンにOKを出し、レンを超えるようなベーシストになって欲しいと告げた。

 

第11話

2006年6月14日放送

上京して1ヶ月。解放感から貯金をほとんど遣い果たしたことに気付いた奈々は、当面の生活費に困りナナに相談した。だが、ナナは、奈々の計画性のなさを責めるばかりでつれなく、助けを求めた淳子や京助の反応も冷たい。実家から届いたという米を淳子に分けてもらった奈々は、嬉しさ半分で給料日までの生活を考えた。

まもなく、水越から食事に誘われた奈々は、食事の後、経営難から近々店を畳みたいと告げられた。突然の話にショックを受けた奈々は、章司の部屋にやってきた。そして、章司が留守だと知るや、その携帯に泣きながら電話をした。

ちょうどその頃、章司は、バイト先で知り合った川村幸子と帰宅の途中だった。幸子はバイト先が同じなだけではなく、大学も学部も章司と一緒だった。おのずと仲がよくなる2人を京助は複雑な思いで見ていた。終電へ急ぐ2人だったが、幸子の靴が駅の階段で脱げてしまったことで2人は終電に乗り遅れてしまう。その時不意に幸子が「わざとだよ?」つぶやく。

そんな時、水を差すように掛かってきた奈々からの電話に、幸子は複雑な思いを抱く。タクシーで部屋に戻り、部屋の前で大泣きの奈々を見つけた章司だが、事情を聞いたがパソコンを買ったばかりの章司にもなす術はなかった。

翌日、自分の預金通帳を見た奈々は、30万円ものお金が振り込まれていると気付き、目を丸くした。それが水越からの退職金だと思った奈々は、大喜びでナナに事情を説明する。だが、もう一度通帳をチェックすると、振り込み主は、小松奈津子。母親がお金を振り込んでくれたとようやく気付いた奈々は、今度は嬉し涙。そんな奈々に、ナナは珍しくすぐにお礼の電話を入れるよう勧めた。

そんな中、故郷も家族もないとつぶやくナナに、思わぬ人が現れた。なんとカバンを一つ持ったヤスがナナの前に現れたのだ。東京の弁護士事務所で働くというヤス。兄とも慕うヤスの出現に、ナナは思わずその胸に顔を埋めて涙を流した。

 

第12話

2006年6月28日放送

駆け落ちしたと勘違いした実家の母・奈津子からの30万円の送金で、ホッと一息つく奈々。しかし、電話で「出戻ってこないで!」という奈津子の声を聞いた奈々は、自分が結婚のために東京に行ったと思われていると知り、ア然。その事もあり、4年後に大学を卒業する章司との結婚を真剣に考えた奈々は、今はしっかりお金を貯めようと思った。奈々が上京した後、「一緒に暮らそう」と言ってくれた章司。奈々は、そんな章司の優しい言葉を胸に、新しい仕事を探そうと決意した。

珍しくナナが酔ってヤスに送られて帰ってきた翌日、奈々は、ナナに仕事の面接に行くと告げた。奈々が狙う仕事は、“デキる女”に見えそうな出版社でのバイト。その夜、ナナたちのバンドがヤスのドラムを入れてスタジオで練習すると聞いた奈々は、みんなが夢に向かってまっしぐらだと知り、自分にも気合を入れた。

その頃、章司は、幸子との仲を淳子から非難されていた。章司は、懸命に弁解するが、幸子を傷つけていることには違いないのだ。フォローの仕方が分からず悩む章司を見た淳子は、幸子とはきっぱり別れるよう告げ、奈々の面倒をとことん見るよう命じた。

出版社に採用された奈々は、笑顔でスタジオに駆けつけ、メンバーが全て揃ったナナのバンド練習に参加した。そんな奈々が、部屋に帰る途中、バイトが終わっているはずの章司のケイタイが留守電のままだと知り首をひねった。これを知ったナナは、章司の浮気の可能性を冗談で口にする。だが、奈々は、章司のことを信じて疑わなかった。

その頃、章司は幸子に2人の仲のけじめをつけようと話を切り出したが、別れを切り出されることを覚悟して涙を流す幸子を見た章司は、思わず抱きしめてしまい…。

 

第13話

2006年7月5日放送

章司から、幸子との関係を打ち明けられた京助の反応は厳しかった。過去、何人もの女のコと付き合ってきた京助の現在の相手は、淳子だけ。その理由を聞かれた京助は、「淳子を失うのが怖いから」と答える。京助の真面目な表情を見た章司は、それ以上話を続けることが出来なかった。

奈々と会った章司は、バイト先の出版社でコキ使われているというグチの聞き役になった。奈々は、そんな会話の中で仲直りをしたいのだが、その機会がない。結局、奈々自身は、章司の前だとイマイチ可愛い女になりきれないもどかしさを感じながら、自分からは謝れなかった。

そんな中、ナナらのライブが5月5日の夜に行われることが決定した。ナナから話を聞いて喜ぶ奈々は、一緒に行こうと章司に連絡する。だが、章司は、その日がちょうど幸子の誕生日だったことから、バイトが忙しいと嘘をついて断ってしまった。

一方、章司から打ち明けられた秘密を1人で背負いきれなくなった京助は、淳子に相談していた。しかし、相談された淳子に答えが出るはずもなく、2人は抱え込んだ“爆弾”に戦々恐々。もし、奈々が章司の裏切りを知ったら、その性格から考えて、自殺する可能性もある。章司がナナらのコンサートに行かないと知った淳子らは、奈々が恋人の行動に疑問を抱き始めていると知り、気が気ではなかった。

まもなく、奈々は、ナナらを連れて章司が働くレストランにやって来た。章司のカノジョ・奈々が突然姿を見せたことに気付き、動揺して指を切ってしまう幸子。そんな幸子に、奈々は何も知らずにハンカチを差し出す。奈々の優しさに触れ、罪悪感にさいなまれた幸子は、章司に別れようと告げた。

 

第14話

2006年7月12日放送

章司から大切な話があると告げられた奈々は、自分の部屋でではなく、そのバイト先のファミレスの通用口で待った。章司のバイトが終わるまで1時間。帰ったと思わせて実は待っていたという意外性で章司を感激させようという奈々の作戦だ。付き合いのいいナナは、そんな奈々の可愛い胸の内を聞かされてニガ笑い。寒々とした夜空からいつしか雪が降り始めていた。

まもなく、奈々は、ナナと共に衝撃的なシーンを目の当たりにすることになった。通用口から出てきた章司が、先に出ていた“幸子”という女を固く抱きしめた。指にケガをしている幸子は、どうやら奈々がハンカチを手渡したバイトのウエートレスらしい。

章司と幸子が奈々に気付き、凍るような空気となる。ナナの詰問に、覚悟を決めたように、「彼女」と答える章司。「ごめんなさい」と謝る幸子。奈々は、2人の言葉をすぐには受け入れられず、その目からは涙がこぼれ落ちる。だが、章司を殴ろうとするナナを懸命に止める幸子の姿を見た奈々は、自分の負けを悟った。

翌日、奈々の部屋に、章司から話を聞いたという淳子が様子を見に来た。淳子は、ケジメもつけずに他の女になびいた章司が悪いと言いながら、奈々にも落ち度があったと話す。奈々は、相手を思いやらなければ恋愛は上手くいかない、という淳子の話を黙って聞いていた。

その夜、傷心の奈々の元に、奈津子から思わぬプレゼントが届いた。奈津子は、奈々のヨレヨレ状態を予想していたかのように、大好きなトラネスのライブのチケットを送ってきたのだ。その最前列のチケットが2枚あると知った奈々は、ナナに一緒に行こうと誘った。

 

第15話

2006年7月19日放送

ナナらのライブ公演を翌日に控えた日、淳子と京助の話の内容は、もっぱら章司に捨てられた奈々のことだった。章司は完全に幸子にのめり込んでいて、奈々とヨリを戻す気配は全くなさそう。淳子らは、ナナのライブが終わったら、傷心の奈々が死ぬかもしれないと本気で心配した。

だが、ライブ当日、奈々を車に乗せて会場に向かった淳子らは、思った以上に表情が明るいことに気付いた。その原因は、近々、故郷のホールで行われるトラネスの最前列のチケットを、奈々が2枚連番でゲットしたため。はしゃぐ奈々は、ナナと一緒に行くつもりらしいのだ。カレシなどいらないと言い切る奈々の話を聞いた淳子と京助は、その性格を知り抜いているだけに落ち込んだ。

ナナらのライブは、“単独”というわけではなかった。ブラストの実力を知らないお客たちは、その番が来ると次々に席を立ち始める。これを見た奈々は、「次のバンド、めちゃめちゃカッコイー」と懸命にブラストをアピール。その甲斐あって、演奏が始まる頃には、お客はかなり席に戻っていた。そして、始まったブラストの演奏。ビジュアルはもちろん、音もいいブラストは、たちまちお客の心を掴み、会場は総立ちの熱狂状態となった。そのプロ並みの演奏は、他のバンドがどれも学芸会に思えるほどで、淳子らもその実力に舌を巻いた。

やがて、演奏が終わり、ナナらメンバーや淳子、京助らが、707号室に戻ってきた。そんな中、奈々は、みんなと一緒にやって来た“キンパのタテロール”の可愛い高校生・上原美里に注目した。美里は、ブラストのかなり古くからの熱狂的なファンらしく、ライブがあると知りわざわざ泊りがけでやって来たのだ。奈々は、ナナがこの美里を自分の部屋に泊め、必要以上に大切にしたことから、激しく嫉妬し反発してしまった。

 

第16話

2006年7月26日放送

奈々の言葉に707号室を飛び出したナナは、美里をホテルに送り届けたものの、その後の行き場所に困った。ヤスの部屋を訪ねるが、理由を明かせぬまますぐに靴を履く。ナナがようやく部屋に戻ったのは、多摩川が朝日に輝く頃であった。

その夜、自分の行為を恥じて一睡も出来なかった奈々は、玄関のドアが開く音に反応してすぐさまリビングに行き、ナナに謝った。ナナ自身も身勝手さを反省していたらしく、自分の落ち度を口にする。これでようやく元気を取り戻した奈々は、美里にも謝りたいとナナから美里の携帯の番号を聞き、夕食も自分が作ると約束した。

奈々が美里に謝りの電話をした時、美里は家に帰る新幹線の中にいた。奈々の言葉を素直に受け入れた美里は、ナナやブラストのメンバーと一緒に過ごせたことが死ぬほど嬉しかったと話す。そんな中、奈々は、美里の話から、憧れのトラネスのベーシストのレンが、以前、ブラストに所属していたと知り、ア然。さらにナナの左腕に蓮の花のタトゥーがあったことを思い出した奈々は、ナナとレンがかつて恋人同士だったのではないかと考えを巡らした。

ノブを訪ねた奈々は、すぐに自分の推理が正しかったと知った。ノブの話によると、ナナとレンは一緒に暮らしていたが、2年前、レンがトラネスのベーシストとして引き抜かれて上京したため、音信不通になったのだ。レンに付いて行くことより、プライドを守ることを選んだナナ。だからこそ、ナナは絶対にミュージシャンとして成功しようと意地になっているらしかった。

だが、レンのことに触れないでおこうと決めた奈々に、ナナは、トラネスのライブに行ってもいいと話した。

 

第17話

2006年8月2日放送

トラネスのレンがナナの元カレだと知った奈々は、ふとピアスや話し方など様々な点で2人がとても似通っていると気付いた。ファンクラブ会報の記事の中で、いつも首から下げている南京錠の鍵はなくした、と言っているレン。奈々は、ひょっとするとナナがその鍵を持っているのではないか、2人が心の隅でつながっているのではないか、とも思った。そして、レンとのことを聞けないまま、奈々は、ナナと共に、トラネスのライブが行われる故郷に向かった。

奈々の実家に着いたナナは、明るくにぎやかな小松家の女性陣に迎えられた。会社勤めの姉・奈緒、ゴン黒女子高生の妹・奈美、そして、優しく大らかな母の奈津子。そんな家族たちに緊張の笑顔で応えるナナ。親兄弟のいないナナにとって、奈々の実家で初めて感じた家庭の温もり、楽しさは想像以上に素晴らしく感動的だったのだ。

家庭のありがたみが分からない奈々は、ナナから、余りにも寂しい生い立ちを明かされてショックを受ける。しかし、奈々は、ナナが暗い少女時代のことまで気を許して明かしてくれたことが嬉しかった。そして、ごまかさないで何でも話してくれると言ってくれたナナに、「今でも、レンを好き?」という質問をぶつけてみた。ナナは答えてはくれなかったが、トラネスのライブに誘ってくれたことには心から感謝してくれた。

トラネスのライブ会場に入ったナナは、ふとレンたちと一緒にブラストを結成した時のことを思い出した。レンとまた会える。ナナの胸は高鳴る。そして、客席が暗くなり、いよいよライブが始まった。観客の歓声の中、最前列のギターの真ん前に立った奈々は、姿を見せたレンの首から例の南京錠が下がっているのを見つけた。そんなレンをにらみつけるように見つめるナナ。感激の涙で舞台を見ていた奈々は、隣のナナも涙を流していることに気付き、思わず胸にこみ上げてくるものを感じた。

 

第18話

2006年8月9日放送

デビューして3年目のトラネスは、シングル、アルバム共にミリオンセラーの人気バンドだった。ボーカルのレイラの日本人離れした声量と音域の広さは群を抜いていて、その曲のほとんどをレンが書いていた。

奈々の故郷で行われたライブ超満員。ファンが熱狂する会場の最前列にいた奈々は、トラネスのサウンドに酔いながらも、その視線はずっとレンを追っていた。レンが隣にいるナナに気付いてくれるように、と奈々はそれしか考えていなかった。しかし、奈々の祈りも虚しく、ライブはファンの熱い声援の中、終了してしまった。

だが、実は、レンは、ライブの途中からナナが来ていることに気付いていた。動揺してミスったレンは、アレンジで何とかカバーする。そして、アンコールの前、ステージ裏のトイレに駆け込んだレンは、慌てて事情を知るヤスに連絡していたのだ。

ナナと一緒に実家に戻った奈々は、ヤスから、“レンから連絡が行くかもしれない”とのメールを受け取り、慌ててナナに伝えた。これを知ったナナは、ヤスと話をするよう奈々に頼み、途中から電話を代わる。だが、ナナの抗議に対し、ヤスはレンの方から電話があったと明かし、直接話をするよう告げた。この言葉に煽られたナナは、意を決してレンの携帯の番号を聞いた。ナナは、その時、レンが首から下げている鎖――捨てられずに取っておいたその鍵を返すつもりだった。

レンに連絡を入れてホテルにやって来たナナは、例の鍵を握りしめていた。だが、その部屋に入り、レンに固く抱きしめられたナナは、「放せ! あんたとやり直す気はねぇんだ!」と言う言葉とは裏腹に、涙を浮かべて抱きかえした。

 

第19話

2006年8月16日放送

ナナがレンに会いに行って2時間、奈々は実家のベッドの中で2人のことをいろいろと想像していた。女として幸せになって欲しいと願う奈々は、ナナが帰ってこなかったことから、きっと上手くいっていると考える。そして、奈々の予想通り、ナナはレンとの愛を復活させ、昔一緒に暮らしていた頃の思い出や、将来への夢を話していた。

翌日、奈々は、いつの間にか戻っていたナナに、レンとのことを聞いた。これに対し、レンと元のサヤに戻ったことをボソボソと明かすナナ。奈々は、携帯を持っていないナナから、レンからの連絡の中継役を頼まれ、もちろんOK。そして、お礼にと、タクミのサインをナナに頼んだ。

淳子と京助に会って近況を報告した奈々は、心優しいヤスに引かれているのではないか、と指摘された。そして、淳子にけしかけられた奈々は、急にヤスを意識するようになった。女にはモテない、とつぶやくヤス。そんな言葉に敏感に反応した奈々は、思わず「あたしは大好きですけど」と言ってしまう。

レイラの声量に対抗意識を燃やしたナナが腹筋を鍛え始め、メンバーにも禁煙を強制した。翌日、仕事中の奈々にレンからメールが入った。奈々は、感激のあまり、ナナになり代わり、“是非来て! ダーリン”と返信し、その夜ナナに報告した。

そんなこともあり、707号室で、レンが加わって麻雀大会が行われることになった。仕事どころではない奈々は、終業時間より10分も早くバイト先を飛び出す。そして、レンに会えると緊張気味の奈々は、自分の部屋のチャイムを鳴らした。

ドアを開けた奈々は、目の前の人物を見て思わず立ちすくんだ。奈々を笑顔で迎えに出てくれたのは、ナナでもレンでもなく、なんと憧れのタクミだったのだ。夢のような出来事がナナの用意してくれたご褒美だと気付いた奈々は、思わず涙を流した。

 

第20話

2006年8月23日放送

707号室で行われた麻雀大会には、ノブ、シン、そして、トラネスのレン、タクミが集まり大いに盛り上がった。奈々は、かっこいいタクミやレンの普段の姿を目の当たりにして夢見心地。キッチンで憧れのタクミと言葉を交わした奈々は、緊張のあまりしどろもどろになり、包丁を持つ手が震えてしまうほどだった。

まもなく、ヤスが姿を見せたのがきっかけで、ブラストとトラネスの不思議な繋がりが明らかになった。2つのグループは同じ故郷の出身者同士で、ヤスとタクミは同じ中学の同級生。さらに、レイラですらみんなが知っており、ヤスはなんとそのレイラと付き合っていたというのだ。奈々は、ブラストとトラネスの驚きの人間関係に、ア然とするばかりだった。

まもなく、買い物を頼まれたノブを追いかけて部屋を出た奈々は、2つのグループの因縁について話を聞いた。ノブの話によると、プロを目指して上京したレイラと、弁護士になるために勉強中だったヤスは、別れるべくして別れたとのこと。そして、ヤスとレイラは、レンとナナが2年間の音信不通状態を乗り越えて関係が復活したようにはいかないという。

話をするうち、奈々は、ギターを愛するあまり親にも勘当されたノブの屈託のない明るい性格が、何となく気に入ってしまった。そして、ノブに彼女がいないと知った奈々は、自分が立候補してもいいかな、とも思った。買い物を終えた2人が部屋に戻った時、タクミは、急な呼び出しで帰った後。だが、奈々は、その夜、目一杯飲んでみんなと楽しんだ。

翌日、ヤスの電話で起きて午後出勤をしてしまった奈々に、思わぬ処分が待ち構えていた。バイト先の編集室に入った奈々は、その直後、編集長からクビを通告されたのだ。仕事ぶりからするとクビは当然なのだが、全く予想していなかった奈々は半泣き状態。しかし、坂上から、「あなた世の中なめているでしょ!」と一喝された奈々は、処分を受け入れるしかなかった。編集室を出た奈々は、改めて自分にたった一つでも夢中になれるものが欲しいと思った。

そんな奈々に、思いもかけない人から呼び出しの電話が入った。

 

第21話

2006年8月30日放送

タクミの車に乗った奈々の脳裏に、“タクミはスケコマシらしい”とのナナの声がよぎった。奈々自身も、一回寝て捨てられるのがオチだと考えた。だが、ホテルのスイートルームで奈々は、一生に一度の思い出作りとばかり、あとさき考えず今の幸せに酔いしれた。

途中、奈々に、レンから携帯をもらったというナナから連絡が入った。早く帰って来い、というナナに対し、淳子の家に泊まると嘘をつく奈々。尻軽女のような自分の行動がナナに知れれば、必ず軽蔑される。淳子にアリバイ工作を頼むメールを入れ、タクミとベッドに倒れこんだ奈々は、また自分が傷だらけになるかもしれないと思った。

夜中、タクミが部屋から出て行ったと知った奈々は、早く現実に戻り、仕事を探して今度こそ真面目に働こうと思った。だが、タクミが、携帯番号とメルアドを書いたメモを残していたと気付いた奈々は、ちょっとだけ期待して待ってみようと思った。

翌日、スタジオでは、過去レイラとデキていたヤスを、隠し事が多すぎるとナナがなじっていた。レイラの腹筋が割れていたと告げられたナナは、その天才的とも思えた歌声が努力によって生み出されたと知り、気を引き締める。奈々に好意を抱いたノブは、その姿が珍しく見えないと知り、スタジオ内をキョロキョロ。ナナにその思いを言い当てられたノブは、思わず赤面し動揺した。

その夜、奈々は、出版社をクビになり、バイト探しに行った経緯をナナに説明した。受けに行った3ヶ所のバイトは面接でことごとく失敗。泣いて事情を説明する奈々に、ナナは、自分なりにアドバイスをする。奈々は、そんな親身になって心配してくれるナナだからこそ、タクミとのことは打ち明けられなかった。

 

第21.5話

2006年9月6日放送

今夜は、コミックの巻末で人気のコーナー「淳子の部屋」が再び登場。
淳子の部屋で、京助・章司が飲んでいると今までに登場した印象的な人達が来店。

最近、出番が少なくなったと嘆くジャクソンホールの佐藤公一、奈々が働いていた出版社の坂上たちと、これまでの名場面を振り返ります。

 

第22話

2006年9月13日放送

出版社をクビになって1ヶ月。そして、トラネスのツアーが最終日に近付いた頃、奈々は、デモンストレーターのバイトに励んでいた。七夕の夜、ナナたちの練習スタジオを訪ねた奈々は、みんなに仕事の内容を説明した。

そんな中、メンバーの話は、翌日に行われるトラネスの最終公演のことになった。レンのはからいで招待席に入れることになったノブ、ヤス、シンの3人は、興味津々の面持ち。そのまま707号室にやって来たメンバーたちは、奈々が作った七夕飾りにそれぞれ自分たちの願いを書いた。つかの間、童心に戻ったメンバーたち。だが、奈々には、そんな3人に、そして、ナナに打ち明けられない願いがあった。

翌日、タクミが来た時のことを考えた奈々は、たくさんの手料理を作った。たとえタクミが来なくてもレンは来るに違いない、と奈々は思ったのだ。しかし、話を聞いたナナは、レンが来ないと断言し、会うにしても自分がそのマンションに行くと告げる。奈々がタクミが来ることを期待していたとにらんだナナは、その心を傷つけまいと、懸命にフォローした。

その頃、トラネスのライブに行った3人だったが、ノブとシンはそのまま打ち上げのパーティー会場に流れていた。だが、まもなく、タクミがさらりと言った一言が、レン、ノブ、シンの3人を凍らせた。タクミは、奈々の話が出た時、「次の日にやった」と洩らしたのだ。ショックのノブは、思わずタクミの胸倉を掴む。シンは、別れ際にグラスの酒を掛ける。そして、レンは、タクミの軽率な行動を淡々と戒めた。不機嫌になったタクミは、そのまま姿を消してしまった。

その夜の明け方近く、ナナは、玄関のチャイムが鳴るのに気付き、ベッドを出た。寝ぼけ顔のナナは、玄関で抱き合ってキスをしている奈々とタクミを見つけ、愕然とした…。

 

第23話

2006年9月20日放送

突然、発覚した奈々とタクミの関係は、ブラストのメンバーに大きな衝撃を与えた。奈々に本気でホレてしまったノブは、目の前の宝物をいきなり強奪された思いで、同じくペットを横取りされたというシンと寂しさを紛らわす。シンから、奈々を奪い返すよう煽られたノブは、ダメモトで自分の思いを伝えようと心に決めた。

タクミが奈々の元を訪れたことに気付いたナナは707号室から逃げ出すように飛び出した。ナナは深夜にもかかわらずヤスをファミレスに呼び出して事情を説明していた。話を聞いたヤスは、すぐにタクミの女グセの悪さを口にして心配を募らせる。ナナは、奈々を友達として応援してあげようとは思うのだが、やはり寂しさを隠し切れない。ナナは自分の大事なものはすべてトラネスに取られてしまうと、不安になっていたのだ。

そんな時、ナナの携帯にレンから連絡が入った。一瞬訪ねるべきかどうか迷ったナナだったが、ヤスのアドバイスでレンを訪ねた。レンから「一緒に住む?」と冗談まじりで言われたナナは思わず「考えとくよ…」と答えた。

一方、憧れのタクミと幸せな時を過ごした奈々は、その余韻が冷めないうちに早くナナに報告しようと落ち着かなかった。タクミは、間違いなく「誰にも渡したくない」と奈々に言ってくれたのだ。

その奈々がナナにメールをして程なく、奈々に告白するつもりのノブが707号室に姿を見せた。だが、奈々と面と向かったノブの口からは、“好きだ”という一言が出てこない。結局、ノブは、“絶対、タクミを越えてやる”としか言えずに、部屋から出て行ってしまった。

レンの部屋に泊まるためのグッズを買い揃えるナナ。レイラを相手に“商売”をしてしまうシン。奈々は、自分がタクミと関係を持ったことで、様々な影響を及ぼしているとは、思いもしなかった。

そんな折、デモテープを送ってブラストの売り込みを図っていたヤスの元に、とあるプロダクションからコンタクトがあった。

 

第24話

2006年9月27日放送

レコード会社からコンタクトがあった、とのヤスの報告を聞いたナナらブラストのメンバーは、お祭り騒ぎとなった。その会社は、業界大手のガイアミュージック。ガイア側は、次のライブの様子を見て、話を本格的に進めたいというのだ。ライブに絶対の自信を持つナナは、勝ったも同然と大はしゃぎ。当然、ナナらは、月末のライブに向け、気合の入った練習を開始した。ナナから話を聞いた奈々は、もちろん大喜びで、熱狂的なファンの美里にも連絡を入れた。

そんな中、ナナは、タクミとの関係を報告する奈々に、2週間程レンの部屋に行くと伝えた。それはナナの気遣いに違いなかった。だが、奈々自身は、タクミとの関係がどれほど続くか全く予想もつかない。ナナの話から判断すると、ノブが奈々に一人で会いに来たのは、愛の告白のため。奈々は、優しく純粋なノブが嫌いなわけでは決してなかった。

シンは、再びレイラに呼ばれてその部屋を訪ねていた。最初に関係を持った時、自分がハーフだということなど生い立ちを明かしたレイラ。悪女を装って接近してきたレイラの寂しさを見抜いたシンは、この次は“商売”抜きで付き合うと約束した。

その頃、ノブは707号室にやって来て今度はしっかり奈々に告白していた。ノブの誠意あふれる話を聞いて激しく乱れる奈々の心。ノブの話は、本気かどうか分からないタクミの言葉より何倍も嬉しい。タクミとの関係がなければ、奈々は、絶対にノブのことが好きになっていた。しかし、奈々は、タクミがまた会いにくれば、結局関係してしまうに違いないのだ。

翌朝、ナナの書き置きを見つけた奈々は、大切な話し相手がいなくなったと気付いて、激しい寂しさに襲われた。

 

第25話~第47話はこちら

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