第1話「おじいさん先生 死す」
私立エンペラー学園の3年D組教室は、今日も大荒れだった。
授業中にもかかわらず、不良たちは麻雀の卓を囲み、タバコの煙が教室内に充満している。教師はというと、授業をしながら麻雀卓の灰皿を掃除し、校長(きたろう)や教頭(柳沢慎吾)は、不良たちのパシリとして買い物に行かされている。だらしない校長らを見つけた安藤ことマドンナ先生(松本莉緒)は注意をし、不良たちを叱り付ける。そんなマドンナ先生を不良たちが廊下まで追い駆けたその時、廊下の端に姿を見せた奇妙な年寄りが、小さな声で「やめなさい」と告げた。
イキリ立つ不良たち。いっぽう、よろけながら、まるで遅い歩みの年寄り。終了チャイムを聞いた不良たちは、シビレを切らしてどこかに行ってしまった。マドンナ先生が校内に入り込んだ徘徊老人だとばかり思ったその年寄りは、山之内金太郎(ピエール瀧)という3D担当の新任教師だったのだ。
3Dの教室で自己紹介したおじいさん先生は、ニッコリと笑顔を振り撒いた。不良たちは、殴ったり物を投げつければ、ヨボヨボのおじいさん先生が死んでしまうような気がしたため、なかなか行動に移せない。
話を聞いて学校にやって来た不良たちの頭、関東髑髏党総帥の老沼(松村雄基)は、他の教師にしているのと同じように、おじいさん先生にマルボロを1カートン買って来るよう命じた――。
第2話「おじいさん先生 VS ワル四十人」
ヤクザも黙る関東髑髏党総帥の老沼(松村雄基)がすっかりおじいさん先生(ピエール瀧)になついてしまったことから、3Dの教室は思わぬ雰囲気となった。教室の一番後ろに陣取った老沼が、授業を受けるよう睨みを利かせたため、生徒たちはイヤイヤおじいさん先生の話を聞くはめになったのだ。
我慢が限界を越えた生徒たちは、困り果てた。何しろ、老沼は、凶器を持った30人のヤクザをまとめて倒したとの伝説がある暴れん坊。下手に文句でも言えばボコボコにされるのは、目に見えていたからだ。生徒たちは、考え抜いた揚句、クラス全員が一丸となって老沼を闇討ちにしようと決め、そのチャンスをうかがった――。
第3話「夜回りおじいさん先生」
今日は、教師たちが市内の繁華街・銀天街をパトロールする夜回りの日。職員室では、教師たちが、教頭(柳沢慎吾)が花壇で拾ったメロンを食べながら、苦労話に花を咲かせていた。そんな中、職員室にやって来た老沼(松村雄基)は、隠しておいたメロンが教師たちに食べられたと知り、逆上。マドンナ先生(松本莉緒)と、その場にいなかったおじいさん先生(ピエール瀧)を除く全員をKOしてしまった。
その夜、婚約者の桜井(松岡俊介)と一緒に銀天街にやって来たマドンナ先生は、メロンのことで怒りが冷めやらない老沼と、東関東最強の丸山敬(中村有志)がにらみ合っている場面に遭遇した。マドンナ先生は、2人の喧嘩を止めさせようとするが、一触即発の状態。
そこにヒョコヒョコと遅れてやって来たおじいさん先生は――。
第4話「おじいさん打法」
エンペラー学園と、やはりワルの巣窟といわれるコブラ工業高校との、恒例の野球大会の開催が決まり、その監督を選ぶことになった。校長(きたろう)と教頭(柳沢慎吾)は、職員室で立候補者を募るが、誰も手を挙げない。それもそのはず、15年も続く伝統行事となったコブラ工高との野球大会は、毎回乱闘で、お流れになっているのだ。
困り果てた教頭は、ヒョコヒョコと姿を見せたおじいさん先生(ピエール瀧)にこの大役を引き受けて欲しい、と懇願。おじいさん先生は、ワケも分からずこれを引き受けてしまった。
野球選手急募のビラで集まったのは、殺人スライディングや釘バットが大好きな3Dの生徒たちばかりだった。中には、西寺(荒川良々)のように心の底では野球が本当に好きな生徒もいたのだが、クラス内の空気に流されてその思いを明かすことが出来ないでいた――。
第5話「合コンだよおじいさん先生」
岩田(川村陽介)に突然トイレの個室に連れ込まれたおじいさん先生(ピエール瀧)が、思わぬ頼みごとをされた。岩田が好きになった相手にラブレターを書いて欲しい、というのだ。相手は、ガーベラ女学園の生徒で、二階堂ユリ子(岡本奈月)という名前らしい。
教室に戻ったおじいさん先生は、筆でサラサラと恋文を書き上げた。ガーベラ女学園で見つけたユリ子は、清楚なお嬢様だった。その姿を見てたじろぐ岩田。だがおじいさん先生は、すたすたと近づき、恋文を手渡した。
しかし、ユリ子ではない女生徒に手渡してしまった!! それを見て、岩田はもうダメだと思ったが――。
第6話「おじいさん先生は、すぐに死ぬ」
おじいさん先生(ピエール瀧)は、買ったパスモを学校中で自慢げに見せてまわっていた。校長先生にも見せびらかそうと、校長室で校長の帰りを待っていたとき、自分の身体に止まった蚊を潰そうとして叩いてそのままショックで死んでしまった。
またまたやって来た三途の川でおじいさん先生が出会ったのは、侍の格好をして、「野武士が来るゾ」と叫ぶ三船敏郎(松尾スズキ)。不意に倒れた三船の具合が悪いと気付いたおじいさん先生は、その住みかに連れて行き、看病を始めた。
一方、生徒のパシリで自腹を続けてお金がなくなった校長(きたろう)と教頭(柳沢慎吾)は、困り果てていた。教師たちから借りるわけにもいかず、マドンナ先生(松本莉緒)の恋人・桜井(松岡俊介)にも断わられる始末。
そして「私に考えがある」という校長は…
第7話「おじいさん先生、老人ホームへ」
おじいさん先生(ピエール瀧)は、突然、学校に姿を見せた娘のミドリ(池津祥子)とその夫ヤスオ(佐伯新)から、老人ホームに空きができたと告げられる。教師を続けたいおじいさん先生は、自分の存在価値をマドンナ先生(松本莉緒)や同僚たちに懸命にアピールしたが、結局、老人ホームに入ることになってしまう。
学校から出る前に死んでしまいたいと思ったおじいさん先生は、老沼(松村雄基)に驚かせてもらったり、殴ってもらったりするが死ぬ気配はまるでないのだった…。
第8話「愛のおじいさん先生」
おじいさん先生(ピエール瀧)は、同僚の小野寺先生(大政知己)に助けてもらいながらネットオークションに挑戦。ところが、そのやり方をよく理解しないまま次々と落札してしまったので、おじいさん先生の家は、配達されたたくさんのタンスで一杯になってしまった。
タンスのせいで悪夢まで見たおじいさん先生は、誰かにプレゼントしようとするが、老沼(松村雄基)など生徒たちだけでなく、校長(きたろう)や教頭(柳沢慎吾)など教師たちも受け取ろうとはしない。そんな中、その日が誕生日だったマドンナ先生(松本莉緒)だけは、喜んでタンスを受け取ると答え、おじいさん先生はようやく笑顔を見せた。
第9話「おじいさん先生の修学旅行」
校長(きたろう)から、修学旅行のことを聞いた教師たちは、みんな憂鬱な表情を見せた。エンペラー学園では、例年、修学旅行先で他校の生徒との喧嘩、国宝や重要文化財へのイタズラなどが多発。教師たちは、いつもその対応で頭を悩ましていた。
そんな教師たちの心配とは裏腹に、教室では、老沼(松村雄基)、西寺(荒川良々)、仲手川(ジェイ・ウエスト)たちが、修学旅行の話で盛り上がっていた。ところが、おじいさん先生(ピエール瀧)は背中の痛みのため、修学旅行に参加しないという。
一緒に修学旅行を楽しみたいと考えていた生徒たちは、もちろん意気消沈。おじいさん先生がみんなに迷惑をかけまいとして決断した、と知った生徒たちは、修学旅行の間の介護費用を作ろうと、それぞれがお金集めを始めた。
第10話「おじいさん先生の夢」
職員室では生徒たちの進路希望が話題。おじいさん先生(ピエール瀧)は、自分に夢がないことに気付いてショックを受け、老沼(松村雄基)を呼び出して相談した。夢なら常に500はあるという老沼は“とてつもなくデカいステーキを食べたい”という夢を語った。これを聞いたおじいさん先生は羨ましがる。
話をするうちに、老沼は、おじいさん先生がおならをし続けていることに気づく。そして、ふと用務員の和歌山(五月女ケイ子)の言葉を思い出した。おならが3日止まらないと死ぬ――。おじいさん先生の透き通る目を見た老沼は、すでに死を覚悟していると考えて、思わず涙を流したのだった。
第11話「オレオレ詐欺 VS おじいさん先生」
ここ数年、生徒が授業料を払おうとしないため、エンペラー学園の借金が1億円近くになっていたことが判明した。校長(きたろう)は、職員たちに、明日までに借金が払えなければ、学園が人手に渡ると告げた。小野寺(大政知己)、具志堅(高橋周平)たち教師は辞表を出し、校長は学園の最期が近付いたと覚悟を決めた。
1億円は、エンペラー学園の全生徒350人が1人30万円ずつ払えば用意できる額なのだが…。
この状況をなんとかしようとおじいさん先生(ピエール瀧)は、授業を全て自習にして内職を始めた。用務員の和歌山(五月女ケイ子)の協力で、学園内のゴミなども売り払うが、1000円ほどにしかならかった。
第12話「さよなら!おじいさん先生」
今日は、おじいさん先生(ピエール瀧)の88回目の誕生日。
教室では、老沼(松村雄基)が中心となって、飾り付けやプレゼントの買出しなど、誕生パーティーの準備で大わらわ。
いっぽう、校長室では、教育委員会からの指示を受けた校長(きたろう)と教頭(柳沢慎吾)が、定年をとっくに過ぎたおじいさん先生に、退職勧告をしていた。仕事は本日限り。頭を下げて自分たちの努力不足を詫びる校長たちだったが、明日から遊んで暮らせると、最高の笑顔だった。
教室では、生徒たちがクラッカーなどを手にして、おじいさん先生の到着を待ち構えていた。だが、教室に入ったおじいさん先生の口から突然別れの言葉が・・・。