第一幕「頼光」
蛮族、土蜘蛛族に奪われた伝説の勾玉を、都に取り戻すように命じられる武士、源頼光(みなもとのらいこう)。しかし、頼光は病に倒れ、とても長旅に出われるような状態ではない。
そこで源家の末娘、光が、武士の出で立ちに男装し、兄に成り代わって、勾玉を求める旅に出ることになる。
兄と義兄弟の契りを交わした隻眼の武者、渡辺綱(わたなべのつな)を従えて、土蜘蛛族の住むという常陸国に向かう光は、その途中で、土蜘蛛族の奇襲を受けてしまうのであった…震える手で弓と矢を握る光は、生まれて初めて、人に向けて弓を引くのだった。
第二幕「貞光」
土蜘蛛族との戦闘で、負傷してしまった頼光=光は、綱の説得により、近くの里におりて、体勢を立て直すことにする。
里に向かう途中で、貞光(さだみつ)と名乗る、2人の女を引き連れている村人に出会う。初対面なのにもかかわらず、なぜかその男は、頼光と綱を異様なまでに敵視していた。
一方で、土蜘蛛とはうまく共存をしているので、戦うのはやめて欲しいと里の長に懇願される頼光は、その言葉に一人、思い悩む。しかし、そんなさなか、村に関する、ある驚愕の事実が発覚する…
第三幕「土蜘蛛」
貞光を仲間に加え、土蜘蛛の住む洞窟に向かった光と綱。
洞窟の奥へと進む光の前に、大勢の土蜘蛛族の姿が映る。三人の手勢で討つには多すぎる敵。自ら囮役をかってでた綱は、土蜘蛛族の中に身を投じる。
光たちは、はたして土蜘蛛の頭領、星熊を討ち倒し、勾玉を奪還することができるのか。
第四幕「羅城門」
都に持ち帰られた伝説の勾玉を、人々は歓喜の声とともに迎え入れる。
しかし、屋敷に戻った光を襲う悲しい知らせ。屋敷を飛び出した光は、都を一望できる羅城門にのぼる。
悲嘆に暮れ笛を奏でるうち、いつしか現れた申楽師、万歳楽(まんさいらく)が、光の笛の音にあわせて舞い始めるのだが…。
第五幕「卜部」
卜部を仲間に加えた光たち一行。水の勾玉を持つ海賊の本拠地があるという、瀬戸内海に浮かぶ呪島へと向かう。
身分と姿を偽り、隣接する村に潜入する光たち。村人の歓迎を受け、新たなる水の勾玉奪還に向けての動きは順調かと思えた。
そんな矢先、卜部のとある行動により事態は急変するのだった。
第六幕「呪島」
靄の中に浮かびあがる卒塔婆にも似た、無数の不気味な塔。
それは、瀬戸内の海に浮かぶ島々に建てられた櫓であった。
その島の中の1つ、呪島に水の勾玉を持つという海賊の頭、虎熊がいると聞き、島へと渡る光たちだが……。
第七幕「万歳楽」
鎮西にむけた船が難破してしまい、見慣れぬ地に流れ着いた光は、仲間ともはぐれ、熊襲の斥候に発見されつかまりそうになる。
しかし、そのとき突如として、万歳楽が現れる。劇的な再会を果たす光と万歳楽。光は、自分が頼光に成り代わって旅をしていることを隠し通さなければならないのだが…
第八幕「赤鬼」
残る火の勾玉を求めて熊襲の地に足を踏み入れる光たちは、新たに仲間になった怪力の少年、金太郎をともない、ついに、酒呑童子率いる熊襲の居城に到着する。
密かに一計を案じ城内に潜入した光たちは、そこで一人の不思議な風貌の男と出会う。しかしその男の瞳は、なぜか悲しげであった。
第九幕「暗闇」
急ぎ都に帰り着く光たち一行。
しかし、先に都に赴いていたはずの酒呑童子率いる熊襲軍の姿はどこにも見えなかった…
第十幕「酒呑」
酒呑童子の持つ最後の勾玉を取り戻すために、急ぎ大枝山へと向かう光たち。
しかし熊襲軍は思いもよらぬ方法で都を攻め落とそうとしていた。
第十一幕「相克」
大枝山にて火の勾玉を取り戻した頼光たちを襲う、思わぬ刺客。
炎に蹂躙され、焼け焦げた骸をさらす都の姿にただ呆然と立ち尽くす一行。
都の惨状を尻目に宮中では公家たちが蠢めき始め、事態は急変の一途を辿るのだった。
第十二幕「晴明」
動き出した星を止めることが出来るのは、光ただ一人のみ。
陰陽師たちの謀略により、都を守る検非違使たちまでもが光たちを亡き者にせんと襲いかかる。
残された時間は少ない。それを知る光たちが取った行動とは!?
第十三幕「光」
兄の遺した言葉、仲間が自分に託した希望、都の人々の願い、その全てを受け止め羅城門に立った光。
女である事、頼光である事、全てをかなぐり捨て、今、生まれて初めて人の命を殺めるための矢を放つ。